デリカフHD Research Memo(2):業務用青果物の流通加工で業界最大手
デリカフーズホールディングスは業務用青果物の卸売と加工で日本国内の業界をリードする企業です。グループは5社から成り、その中心であるデリカフーズは全国19ヶ所の拠点を持ち、約3万店舗に新鮮な青果物を供給しています。同社は特にカット野菜の需要増加に応え、事業を拡大してきました。コロナ禍以降、外食業界向けの売上構成比は減少したものの、量販・小売やテイクアウト向けの比率が上昇しています。また、食品安全認証を取得した物流網と製造拠点により、高い信頼性を確保し、特に外資系企業からも一目置かれています。デリカフーズはまた、生産者と外食産業を結びつける情報流通機能を強化し、メニュー提案力を強みにしています。
1. 事業内容
デリカフーズホールディングス<3392>は、業務用青果物の卸販売及びカット野菜の製造販売で業界トップ企業であるデリカフーズ(株)を中心に、物流事業を担うエフエスロジスティックス(株)、青果物の研究・分析事業及びコンサルティング事業を行うデザイナーフーズ(株)、たれ・調味液等の製造販売を行うデリカフーズ長崎(株)、ミールキット等の商品をECや小売店経由で消費者へ販売する楽彩(株)の5社をグループとする持株会社である。主要子会社のデリカフーズは2025年3月末時点で北海道から長崎まで19ヶ所に事業拠点を構築し、エリア協力企業も含めて全国約3万店舗(社数で約800社)に日々、新鮮な野菜を安全・安心に供給している。
事業セグメントは、主力事業である青果物事業(デリカフーズ、デリカフーズ長崎及び楽彩)のほか、物流事業(エフエスロジスティックス)、研究開発・分析事業(デザイナーフーズ)の3事業で開示している(持株会社分除く)。2025年3月期の売上構成比(外部顧客売上ベース)は、青果物事業で98.4%、物流事業で1.4%、研究開発・分析事業で0.1%となっており、大半を青果物事業で占めている。
部門別売上構成比では、仕入れた野菜をそのまま配送するホール(丸)野菜が40.3%、顧客の要望に応じて形状を加工し販売するカット野菜が42.9%、その他(日配品、ミールキット等)が16.8%となっている。2010年代半ばまではホール野菜が50%を超えていたが、外食業界で人手不足が慢性化し、手軽に調理できるカット野菜の需要が増加したことで2021年3月期以降はカット野菜がホール野菜を上回って推移している。また、2021年3月期より開始したミールキット事業の成長等により、その他部門の売上構成比が2021年3月期の12.5%から2025年3月期は16.8%まで上昇している。
業界別売上構成比については、コロナ禍を機に事業ポートフォリオの変革を推進したことで2020年3月期以降、大きく変化した。2024年3月期までの推移を見ると、2020年3月期は外食業界向け(コロナ禍に強い外食除く)が売上高の78.4%を占めていたが、2024年3月期は55.4%まで低下した。この間にコロナ禍に強い外食(テイクアウト、宅配・デリバリー、ドライブスルー業態等)が4.9%から14.3%に上昇したほか、量販・小売が8.1%から14.2%、給食が2.7%から5.6%に上昇した。また、新規事業として育成に取り組んできたBtoC事業やミールキット事業が合わせて6%強の構成比を占めるまでになっている。2025年3月期も構成比に大きな変化はなかったものと見られる。同社が外食以外の業界で顧客開拓をスムーズに進めることができたのは、これまで業務用青果物卸として培ってきた安全・安心な物流サービスと、品質の高いカット野菜等が評価されたためと考えられる。なお、2024年3月期の外食業界向け全体の売上構成比率は69.7%とコロナ禍前(2020年3月期で83.3%)と比較すると低くなっているが金額ベースでは上回っており、2025年3月期においても過去最高を更新しており、外食業界の動向と相関が高いことに変わりない。
青果物の安全・安心な供給体制を全国に展開
2. 同社の強み
同社の強みとして、卸売事業者として国内外で開拓してきた多くの契約産地(仕入高の60%が国内契約農家、20%が国内流通市場、20%が輸入品)から安定した仕入れを行うことができる調達力のほか、高品質で安全・安心に商品を顧客のもとに配送する物流網や製造加工拠点を全国に構築(委託業者を含む)していることが挙げられる。流通・製造加工拠点となるFSセンターは2024年4月に稼働開始した大阪FSセンターで8拠点目となる(奈良、東京、西東京、中京、埼玉、仙台、九州、北海道)。食品安全マネジメントシステムの国際標準規格ISO22000や、その上位規格となるFSSC22000※の認証も各事業拠点で取得している。
※ FSSC22000:「ISO22000」に食品安全対策(フード・テロ対策、原材料やアレルギー物質の管理方法など)や、「食品安全に関連する要員の監視」「サービスに関する仕様」などを追加したもので、オランダの食品安全認証財団が認証機関となっている。
BCP対策の観点でも、物流センターや貯蔵センター、カット野菜の製造拠点を主要拠点で複数構築することで万全を期している。こうした食の安全・安心を確保するうえでの取り組みを業界に先駆けて実施していることで、顧客からの高い信頼・評価を獲得している。特に外資系企業からは国際標準規格の認証やすべての地域で同一基準の品質管理体制が求められるため、シェア獲得という面で強みとなっている。
また、生産者と外食・中食企業等をつなぐ情報流通機能を持つことも同社の強みである。生産者に対しては、どのような野菜が求められているのか、どれだけの需要量があるのかという情報を提供し、販売先となる外食・中食企業等に対しては野菜の市況やトレンド、さらには15年以上にわたって蓄積してきた野菜の機能性に関する研究データ※をもとに、野菜を活用したメニューの提案などを行っている。特に、ここ数年は天候不順や自然災害に起因する野菜価格の高騰が外食・中食企業等にとって悩みのタネとなっており、同社のメニュー提案力は他社にはない強みとなっている。
※ デザイナーフーズにおいて、野菜の機能性を研究しており、日本中から取り寄せた野菜に関する栄養価などの分析データ(約4万検体、年間分析件数1,730検体(2024年3月期))は世界でも類を見ないデータベースとなっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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