デリカフHD Research Memo(2):業務用青果物の流通加工で業界最大手
■会社概要
1. 事業内容
デリカフーズホールディングス<3392>は、業務用青果物の卸販売及びカット野菜の製造販売で業界トップ企業であるデリカフーズ(株)を中心に、物流事業を担うエフエスロジスティックス、青果物の研究・分析事業及びコンサルティング事業を行うデザイナーフーズ(株)、ミールキット等の商品をECや小売店経由で消費者へ販売する楽彩(株)、グループ初の農業法人として業務加工用野菜の生産を行うデリカファーム(株)の5社※をグループとする持株会社である。主要子会社のデリカフーズは2026年5月末時点で北海道から長崎まで19ヶ所に事業拠点を構築し、エリア協力企業も含めて全国約3万店舗(社数で約800社)に日々、新鮮な野菜を安全・安心に供給している。
※ たれ・調味液等の製造販売を行うデリカフーズ長崎(株)は2026年4月にデリカフーズが吸収合併した。
事業セグメントは、主力事業である青果物事業(デリカフーズ及び楽彩、デリカファーム)のほか、物流事業(エフエスロジスティックス)、研究開発・分析事業(デザイナーフーズ)の3事業で開示している(持株会社分除く)。2026年3月期の売上構成比(外部顧客売上ベース)は、青果物事業で98.0%、物流事業で1.9%、研究開発・分析事業で0.1%となっており、大半を青果物事業で占めている。
部門別売上構成比では、仕入れた野菜をそのまま配送するホール(丸)野菜が39.4%、顧客の要望に応じて形状を加工し販売するカット野菜が43.7%、その他(日配品、ミールキット等)が16.8%となっている。2010年代半ばまではホール野菜が50%を超えていたが、外食業界で人手不足が慢性化し、手軽に調理できるカット野菜の需要が増加したことで、2021年3月期以降はカット野菜がホール野菜を上回って推移している。
業界別売上構成比については、外食業界向けが約7割と大半を占めており、次いで量販・小売業界向けが1割強となっている。そのほか中食業界や給食業界、BtoC向け(ミールキット含む)がそれぞれ数%を占める。このため、売上高は外食業界の動向と相関性が高い。
青果物の安全・安心な供給体制を全国に展開していることが強み
2. 同社の強み
同社の強みは、卸売事業者として国内外で開拓してきた多くの契約産地(仕入高の60%が国内契約農家、20%が国内流通市場、20%が輸入品)から安定した仕入れを行うことができる調達力のほか、高品質で安全・安心に商品を顧客のもとに配送する物流網や製造加工拠点を全国に構築(委託業者を含む)していることが挙げられる。流通・製造加工拠点でコールドチェーン※1に対応したFSセンターは2024年4月に稼働開始した大阪FSセンターで8拠点目となり(東京、西東京、中京、埼玉、奈良、九州、仙台(提携拠点))、国内全体をカバーする体制を構築した(総投資額約150億円)。食品安全マネジメントシステムの国際標準規格ISO22000や、その上位規格となるFSSC22000※2の認証も各事業拠点で取得している。
※1 コールドチェーンとは、生産地から消費地まで商品を一定の低温状態に保ったまま途切れることなく流通させる仕組み。単に冷やして運ぶだけでなく、熱の侵入を防ぎながら厳格に温度を管理する体制を構築する必要がある。
※2 FSSC22000:「ISO22000」に食品安全対策(フード・テロ対策、原材料やアレルギー物質の管理方法など)や、「食品安全に関連する要員の監視」「サービスに関する仕様」などを追加したもので、オランダの食品安全認証財団が認証機関となっている。
BCP対策の観点でも、物流センターや貯蔵センター、カット野菜の製造拠点を主要拠点で複数構築することで万全を期している。こうした食の安全・安心を確保するうえでの取り組みを業界に先駆けて実施していることで、顧客からの高い信頼・評価を獲得している。特に外資系企業からは国際標準規格の認証やすべての地域で同一基準の品質管理体制が求められるため、シェア獲得という面で強みとなっている。物流網に関しても、2014年から自社物流を段階的に拡張し、全国の幹線物流網を構築したほか、ラストワンマイル物流も行っており、トラックの保有台数で160台超、自社配送比率で35%以上となっている。
また、生産者と外食・中食企業等をつなぐ情報流通機能を持つことも同社の強みである。生産者に対しては、どのような野菜が求められているのか、どれだけの需要量があるのかという情報を提供し、販売先となる外食・中食企業等に対しては野菜の市況やトレンド、さらには15年以上にわたって蓄積してきた野菜の機能性に関する研究データ※をもとに、野菜を活用したメニューの提案などを行っている。特に、ここ数年は天候不順や自然災害に起因する野菜価格の高騰が外食・中食企業等にとって課題となっており、同社のメニュー提案力は他社にはない強みとなっている。人財力という点でも、多くの優秀な若手・女性社員を有しており、成長を支える原動力となっている(2026年3月末時点の連結従業員数は前期末比56名増の850名、臨時雇用者数は同155名増の2,429名といずれも過去最高を更新)。こうした強みを背景に、現在は大手外食チェーンや小売・中食企業などが顧客として並んでいる。
※ デザイナーフーズにおいて、野菜の機能性を研究しており、日本中から取り寄せた野菜に関する栄養価などの分析データ(約4.5万検体、年間分析件数1,433検体(2025年3月期))は世界でも類を見ないデータベースとなっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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