デリカフHD Research Memo(3):2026年3月期は原価低減施策が奏功し、大幅増益を達成
■デリカフーズホールディングス<3392>の業績動向
1. 2026年3月期の業績概要
2026年3月期の連結業績は、売上高で前期比5.9%増の62,219百万円、営業利益で同161.9%増の2,109百万円、経常利益で同145.7%増の2,172百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同179.6%増の1,515百万円と好調な決算となった。売上高は5期連続の増収、各利益は2期ぶりの増益に転じ、過去最高を更新した。売上高はインバウンド需要等を追い風に主力の外食業界向けを中心に拡大が続いたことに加え、物流事業も外販強化により順調に伸長したことが増収要因となった。利益面では増収効果に加えて、新たな原価低減施策が奏功して、原価率が前期比1.9ポイント改善したことも大幅増益要因となった。
経常利益の増減要因を見ると、ボリューム効果で844百万円、仕入率の改善で1,307百万円の増益要因となり、カット野菜等の製造原価率悪化で162百万円、販管費の増加で685百万円、営業外損益の悪化で16百万円の減益要因となった。仕入率は前期比で2ポイント強改善したが、要因として野菜市況が前期と比較して落ち着いて推移したことに加えて、2025年6月より取扱量の多い主要4品目(レタス類、キャベツ、トマト)について本部集中購買を実施し、適切な価格での仕入れや在庫管理に取り組んだこと、さらには入荷時の検品業務を従来よりも厳格化し、基準を満たさない商品については仕入先に返品するなどしたことで廃棄ロスを削減できたことなどが挙げられる。購買については従来、各事業拠点の担当者に委ねられていたが、担当者の能力によって仕入・在庫管理に差があり、市況高騰時などは廃棄ロスの増加も含めて仕入率の悪化につながっていた。主要3品目を本部で一括購入することで、各事業拠点の購買担当者は、他商材の仕入れや在庫管理をより精緻に行うことが可能となり、仕入率の改善につながった。
製造原価率の悪化は、輸入野菜の国産化を目的に2025年4月より大阪茨木工場で新たに立ち上げた玉ねぎ加工業務において、国産玉ねぎの生育不良により生産性が低かったことが影響した。ただ、下期には改善しており、2027年3月期には黒字化する見通しだ。販管費増加の主な内訳は、人件費で279百万円、運賃で168百万円、支払手数料で73百万円、租税公課で56百万円となっている。
期初計画に対しては、売上高、各利益ともに上回って着地したが、特に利益面では大幅に超過した。これは新たに取り組んだ原価低減施策の効果によるものと見られる。2025年10月に上方修正した計画比で見ると、利益面では上振れ着地したものの、売上高がやや未達となった。食材費や人件費の高騰に対応して値上げを実施した一部の外食企業において客離れが生じて売上が落ち込んだ影響や、同社が顧客ポートフォリオの見直しを進めるなかで、第4四半期は顧客入れ替えの端境期にあたったことなどが影響したものと見られる。
四半期ベースの売上高の前年同期比伸び率を見ると、2026年3月期中間期までは外食業界全体の伸び率(7%台)を上回って推移していたが、第3四半期に3.8%増、第4四半期に0.7%増と外食業界全体の伸び率を下回る伸びとなった。前述した2つの要因に加えて、前下期は市況高騰の影響で販売価格が高かったことも一因で、外食業界、とりわけ大手外食チェーンのなかでの同社のシェアは引き続き拡大しているものと見られる。
なお、新規事業として2025年9月より熊本県内に1ha分のビニールハウスを取得し、業務用の赤系トマト※や種無しピーマンの栽培を新設子会社であるデリカファームで開始した。年産能力は約80トンで売上高への影響は軽微だが、自社農場で収益化できることを確認したのちに契約農家で大量栽培を進め、輸入野菜の国産化推進と調達価格の安定化につなげることを目的としている。これまでの収量は想定をやや下回っているようで、今後もトライアンドエラーを繰り返しながら収益化を目指す。
※ 海外では赤系が主流だが、国内の一般消費者向けではピンク系トマトが主流のため、生産者もピンク系トマトを主に生産してきた。赤系トマトはハンバーガーやサンドウィッチなど主に業務用として利用されており、韓国等の輸入品が大半を占めている。
(1) 商品別売上動向
部門別売上高を見ると、カット野菜は前期比7.9%増の27,210百万円、ホール野菜は同3.6%増の24,529百万円、その他は同6.4%増の10,479百万円とすべての部門で増収となり、過去最高を更新した。特にカット野菜については、外食業界における慢性的な人手不足を背景に需要拡大が続いており、高い成長率につながっている。小売業界向けは一部顧客向けが減少した影響で伸び悩んだものの、中食業界、給食業界などその他市場向けも順調な増収が続いたようだ。その他に含まれるBtoC事業については、ミールキットの主要OEM先の販売低迷をその他OEM先や「楽彩」によるEC売上並びに小売店経由での販売拡大等でカバーし、増収基調が続いた。
(2) 事業セグメント別業績
青果物事業の売上高は前期比5.4%増の60,976百万円、セグメント利益(経常利益)は同145.8%増の2,033百万円と過去最高を更新した。インバウンドを含めた外食需要の拡大や人手不足を背景とするカット野菜の需要の高まりに加え、グループ総合力を生かした提案型営業の強化を図った結果、主に既存顧客における取引シェアが拡大し増収につながった。新規顧客の開拓では、ユニシアホールディングス<3547>が運営する「串カツ田中」への納入が第4四半期からスタートした。利益面では、既述のとおり増収効果に加えて原価率の改善施策が奏功し大幅増益となった。
物流事業の売上高は前期比10.7%増の5,421百万円、セグメント利益は同15.1%減の120百万円となった。売上高はグループ内取引の拡大に加え、外部顧客の獲得が進んだことにより過去最高を更新した。外部顧客向けの売上高は同41.7%増の1,201百万円となり、同事業に占める外部顧客売上比率も前期の17.3%から22.2%に上昇した。既存顧客との取引拡大に加えて、食品スーパーなどの新規顧客開拓が進んだ。外部顧客向けは、自社トラックの空いたスペースや時間を活用した受託物流サービスを展開しており、売上高は手数料収入を計上しているが、今後は物流倉庫の運営まで含めた3PL事業を開始する予定としている。その第一弾として2026年4月から稼働を開始した東海マザーセンターにかかる賃借料等の先行投資負担が発生した影響により、利益面では減益となった。
研究開発・分析事業の売上高は前期比18.4%減の73百万円となり、セグメント損失12百万円(前期は12百万円の利益)を計上した。売上高は大手企業からの受託分析事業の獲得が伸び悩んだことで減収となり、利益面では減収による売上総利益の減少に加えて、人件費の増加が減益要因となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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