一正蒲 Research Memo(4):2026年6月期中間期は増収減益。原材料価格の上昇が利益を圧迫
1. 2026年6月期中間期の業績概要
2026年6月期中間期の連結業績は、売上高19,587百万円(前年同期比2.8%増)、営業利益852百万円(同16.7%減)、経常利益836百万円(同23.3%減)、親会社株主に帰属する中間純利益606百万円(同36.4%減)と、増収減益となった。2025年3月1日納品分から実施した価格改定の効果に加え、「カニかま群」や「小判てんぷら」「はんぺん」など主力商品の販売数量が伸長し、売上高は前年同期を上回った。損益面では、合理化投資による省人化や歩留まり改善などによるコスト削減を進めた。エネルギーコストの上昇も一服したが、すり身等の原材料価格の上昇が大きく響き、売上総利益率は20.3%と前年同期を1.8ポイント下回り、売上総利益は同5.8%減少した。販売費及び一般管理費は全体として減少したものの、原価上昇分を吸収しきれず、営業利益は2ケタ減益となった。
2026年6月期中間期の業績予想に対して、売上高は予想(19,910百万円)を1.6%下回る着地となった。これは、業績への影響が大きい「おせち商戦」において消費者の節約志向から価格訴求力の高いセット商品へ需要がシフトしたことに加え、きのこ事業が苦戦したためである。同事業では残暑の影響による需要の立ち上がり遅れに加え、相対的に安価な「えのき」など他のきのこ類へ消費が流れたことで、まいたけの販売数量が計画を割り込んだ。一方で、継続的なコスト削減策が奏功し、営業利益は予想(800百万円)を6.6%上回る852百万円を確保した。経常利益は支払利息の増加等により予想(850百万円)を1.6%下回ったものの、親会社株主に帰属する中間純利益は606百万円となり、予想(580百万円)を4.5%上回って推移している。前年同期に計上したインドネシア子会社化に伴う段階取得に係る差益が剥落したものの、投資有価証券売却益75百万円の計上が利益を下支えする形となった。
なお、営業利益の増減分析では、価格改定や主力品の数量伸長による増収効果で5.3億円、合理化による省人化や歩留まり改善等のコストダウンで1.6億円、燃料価格一服によるエネルギーコスト減で0.3億円、販管費の0.8億円の減少など計8.0億円の利益拡大要因となった。一方、主原料のすり身価格等の上昇による製造コストアップで8.4億円、設備投資による減価償却費等の経費増により1.3億円で計9.7億円の減益要因となり、全体の利益を圧迫した。
2. 事業セグメント別の動向
(1) 水産練製品・惣菜事業
売上高は17,309百万円(前年同期比2.3%増)、セグメント利益は805百万円(同21.1%減)と、増収ながら2ケタ減益となった。売上面では、2025年3月から実施した価格改定の効果に加え、物価高における節約志向を背景にコストパフォーマンスの高さが注目された「はんぺん群」や、主力商品の「カニかま群」などの販売数量が伸長した。損益面では、工場内の小集団活動を通じた歩留まり改善や省人化等のコストダウンを図ったものの、すり身をはじめとする原材料費や労務費の上昇分がこれらを上回った。さらに、価格改定に伴う数量減少を防ぐための販売促進費の増加も利益を圧迫し、セグメント利益率は4.7%と前年同期を1.3ポイント下回り、減益となった。
同社は、猛暑対策や人口減少・高齢化といった消費者ニーズの変化に対応した商品提案に注力している。買いだめ需要や利便性を捉えた冷凍保存可能な「小判てんぷら」が大きく売上を伸ばしたほか、即食可能な「お椀で食べるおでん」などの販売も堅調に推移した。一方で、2025年12月のおせち商戦においては節約志向の影響を受け、通常サイズの板かまぼこや伊達巻が苦戦した。需要が価格訴求力の高いセット商品や小サイズ商品へシフトしたことで、おせち商品の売上は前年同期水準にとどまった。ただし、「おせちハック発表会」の開催、「ちいかわ」のキャラクターを起用したかまぼこ商品の投入などにより、若年層への訴求については一定の成果を確認している。また、国産甘鯛を使用しながらも付加価値と価格のバランスを取った「禄シリーズ」では、「御蒲鉾 京禄」が第75回全国蒲鉾品評会において最優秀賞にあたる農林水産大臣賞を受賞したことをきっかけに、認知度向上も漸次進んでおり、シリーズ全体のけん引役となった。
(2) きのこ事業
売上高は2,103百万円(前年同期比8.1%増)、セグメント損失は25百万円(前年同期は88百万円の損失)と、増収かつ赤字幅縮小となった。野菜相場が高値で推移した影響を受け、まいたけを含むきのこ市場全体の販売価格が堅調に推移し、売上を押し上げた。また、前年同期に発生した猛暑による生育不調への対策として、栽培センター内の空調設備の増強や栽培環境の整備を行った結果、安定供給が可能となり、販促機会ロス防止に寄与した。一方で、秋口以降も残暑が続いたことで消費者の需要繁忙期の立ち上がり自体が遅れたことに加え、消費者の節約志向の高まりから安価なほかのきのこ類へ需要がシフトしたことで、販売数量の伸びはやや鈍化した。損益面では、人件費や原材料価格、エネルギー価格などの製造コストが上昇したものの、包装部門の合理化・省人化や生産効率の向上によるコスト削減を進めた結果、損失幅を縮小した。なお、2025年10~12月においては単価・販売数量ともに回復し前年同期比で増収増益となっている。
(3) 倉庫・運送事業
売上高は175百万円(前年同期比6.2%減)、セグメント利益は68百万円(同22.2%減)と減収減益となった。運送部門は、自社定期便の新規輸送案件の獲得や標準運賃の改定が奏功し、増収増益を確保した。一方、倉庫部門では、新規入庫に向けた営業を強化したものの、顧客側の調達方針の変化が影響した。原材料価格の高騰を背景に、食品関連の顧客が保管コストを抑制するため、必要な分のみを調達する当用買いへと切り替えたことで、平均在庫量が減少した。これに伴う保管回転率の低下が収益を圧迫し、同部門の業績がセグメント全体を下押しする結果となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 若杉 孝)
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