コーア商事HD Research Memo(5):長期事業計画に従って、中長期の成長戦略を推進。出足は順調(2)
コーア商事ホールディングスは中長期的な成長を目指し、独自のビジネスモデルで医薬品業界に新たな価値を提供する戦略を進めている。まず、医薬品専門商社への転換を図り、ジェネリック医薬品だけでなく高収載品や新しいモダリティにも注力する。また、国内のジェネリック医薬品のシェアを拡大し、新規品目や生産設備の強化を通じて市場成長を目指す。現在の収益構造を多角化し、安定した事業基盤を構築しつつ、成長投資と株主還元を両立させる戦略を進行中。これにより企業価値の向上を狙う。
2. 長期事業計画の成長戦略
長期事業計画では、第1にグループの経営方針“New Business Model Innovation”を掲げ、商社機能と製造機能を併せ持つビジネスの独自性とそのシナジー効果を十分に活用して、国内の医薬品業界に新しいビジネスモデルを確立する。第2に、コーア商事(株)を原薬輸入商社から医薬品専門商社へ転換し、ジェネリックのみならず長期収載品※1・AG※2への展開、新しいモダリティへの対応であるライセンスイン活動※3を推進する。第3に、コーアイセイ(株)は、注射剤を主としたジェネリック医薬品メーカーから特長のある注射剤国内トップメーカーを目指し、蔵王工場シリンジラインの増強や、バイアルラインの本格稼働に向け、新規品目を追加していくとともに、医薬品倉庫や注射剤製造設備等へ投資し、生産能力強化や安定供給体制を推進する計画である。
※1 既に特許が切れ、同じ効能・効果を持つジェネリック医薬品が発売されている新薬。
※2 先発医薬品メーカーから許諾を得て製造される、原薬、添加物及び製法等が新薬と同一のジェネリック医薬品。
※3 知的財産が絡む場合において、開発、製造、販売の権利を買うこと。
成長戦略によって医薬品セグメントの成長を加速させ、現在の原薬セグメント中心の収益構造から2030年6月期までに2本柱の事業ポートフォリオとすることで、より安定した事業基盤を持つ企業グループを目指す。また、成長投資と株主還元にも配慮し、設備投資、回収・リターン、株主還元というサイクルを回すことで、持続的な成長と資本コストを意識した経営、すなわち、ROEの向上、流動性改善策(積極的なIR活動の実施、株主還元策、資本政策等)の検討などによる企業価値向上を図る。
3. 中期事業計画の成長戦略
同社グループでは、長期事業計画の達成に向けて、今後3年間の中期事業計画を策定した。ジェネリック医薬品業界では、医療費の適正化に向けて市場の拡大が見込まれる。ジェネリック医薬品の使用促進を進めるため、2024年3月14日に開催された「社会保障審議会(医療保険部会)」において、「後発医薬品(ジェネリック医薬品)の金額シェアを2023年度の56.7%から2029年度末までに65%以上とする」新目標が設定された。また、2024年10月1日よりジェネリック医薬品が販売されている先発医薬品である長期収載品に対して選定療養の仕組みが導入され、対象となる医薬品においてはジェネリック医薬品との差額の4分の1は患者負担が増えるため、今後はジェネリック医薬品の使用が促進されると想定される。これらのジェネリック医薬品の促進策により、さらなる市場の拡大が見込まれている。
このような事業環境を前提に、原薬セグメントの中期事業戦略としては、(1) 新規収載品や長期収載品、既存品のシェア拡大等をターゲットとした新規採用活動促進(新しいジェネリック医薬品を取り扱うために、厚生労働省の承認を得る準備活動)、(2) 海外サプライヤーとの関係性強化、(3) 「医薬品専門商社」「モダリティ革命」に向けた対応、(4) 製販のベストパートナーとしての医薬分析センター及び品質保証機能の活用、(5) グループ間のシナジー効果の具体的施策の実施などを掲げている。成長が見込める新規収載品を中心に新規採用活動を進めるとともに、既存品の新規採用やシェア拡大、長期収載品の増加を目指す。
一方、医薬品セグメントの中期事業戦略では、ESGに配慮し、開発から製造まで開発提案型の受託事業(CDMO)による持続的成長、医薬品倉庫及び製造設備投資による安心・安全な医薬品の安定供給体制の構築を目指す。その実現に向けて、(1) 業務全般にわたるコンプライアンス意識の向上、(2) 開発提案型の受託事業戦略推進、(3) 蔵王工場受託事業の本格展開、(4) グループシナジーの強化による新規開発検討、(5) 人への投資を積極的に行い人材の育成強化並びに登用により医薬品製造販売業を行う責任体質強化、(6) 経営計画に基づく投資計画、修繕計画による安心・安全な医薬品の安定供給、(7) 企業指標を踏まえた適正価格販売などを掲げている。工場別には、蔵王工場においては、シリンジラインでは、医療現場で高評価な「マキサカルシトール」について市場ニーズに応え安定的にシェア拡大を進めるため、さらなる増産を予定する。また、バイアルラインでは、抗がん剤「ベンダムスチン塩酸塩」を2024年6月より販売開始している。さらに、蔵王第2工場建設に向けて新規受託獲得を推進する。一方、本社工場では、炭酸ランタンは薬価改定により減少する見込みで、今後の利益確保が課題だが、「セファゾリン」等のその他の注射剤の拡販を目指す。
以上の中長期事業計画は緒に就いたばかりであるが、2025年6月期中間期は順調なスタートを切っており、今後の進捗についても期待をもって注視したい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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