NCD Research Memo(5):IT関連事業は高水準推移、パーキングシステム事業はコロナ禍前を上回る水準
NCDのIT関連事業は、システム開発とサポート&サービスを中心に成長しています。2024年3月期には初めて売上高100億円を突破し、利益率もプロジェクト管理や品質管理の徹底によって14.8%に上昇しています。また、パーキングシステム事業もコロナ禍から回復し、2024年3月期には売上高、利益率ともに過去水準を上回りました。リスク対策として、同社は見積段階から採算性を厳格にチェックする体制を整え、プロジェクトごとの不採算を防ぎつつ、業務プロセスを改善し効率化を進めています。また、ニアショアリソースの活用も積極的に推進中です。これに伴い、ストック型の売上基盤が強化され、収益構造の安定化が図られています。特にパーキングシステム事業は管理現場数の拡大を背景に業績拡大を続けています。
6. セグメント別推移
過去6期(2019年3月期~2024年3月期)及び2025年3月期上期のセグメント別売上高(外部顧客への売上高)と構成比、セグメント別利益(全社費用等調整前営業利益)と構成比、及びセグメント別利益(同)率の推移は以下のとおりである。
売上高構成比は2024年3月期がシステム開発事業40.9%、サポート&サービス事業30.4%、パーキングシステム事業28.6%、2025年3月期上期がシステム開発事業41.8%、サポート&サービス事業31.3%、パーキングシステム事業26.9%だった。パーキングシステム事業がコロナ禍の影響を受けた時期があるものの、おおむねIT関連事業(システム開発事業、サポート&サービス事業)が7割、パーキングシステム事業が3割で推移している。またセグメント別利益構成比は2024年3月期がシステム開発事業41.8%、サポート&サービス事業23.1%、パーキングシステム事業34.9%、2025年3月期上期がシステム開発事業39.2%、サポート&サービス事業20.0%、パーキングシステム事業40.6%だった。パーキングシステム事業の構成比がコロナ禍の影響で2021年3月期から2022年3月期にかけて大きく落ち込む局面があったが、その後は回復に転じている。
事業別に見ると、システム開発事業は売上高、セグメント利益とも拡大基調である。売上高は2024年3月期に初めて100億円を突破した。そして利益率は、プロジェクト管理・品質管理徹底などの施策の成果により、2024年3月期と2025年3月期上期には14.8%へ上昇した。サポート&サービス事業の売上高とセグメント利益も拡大基調となっている。利益率については、2020年3月期(4.9%)に新規大型案件受託に伴う一時費用発生によって低下したものの、2022年3月期以降は10%台で安定的に推移し、トレンドとしては右肩上がりとなっている。2024年3月期は11.0%まで上昇した。パーキングシステム事業は2021年3月期にコロナ禍の影響を大きく受けたが、2022年3月期以降は回復基調となり、2024年3月期は売上高、セグメント利益、利益率ともコロナ禍前の2019年3月期を上回る水準となった。さらに2025年3月期上期には価格改定効果なども寄与して利益率が23.8%へ急上昇した。
IT関連事業は、プロジェクト管理・品質管理を徹底、パーキングシステム事業はBPRを推進
7. リスク要因・収益特性と課題・対策
一般的なリスク要因として、IT関連事業(システム開発事業、サポート&サービス事業)においては、大型案件などの受注や個別案件ごとの採算性によって売上や利益が変動する可能性がある。この対策として同社は、受注委員会において見積段階から採算をチェックするとともに、受注後も審議会においてプロジェクト進捗・品質管理状況を厳重にチェックするなど、プロジェクト管理・品質管理を徹底して不採算化防止・採算維持に取り組んでいる。全社ベースの取り組みとしても業務プロセス改善による効率化を推進している。さらに長崎と福岡のニアショア活用を推進し、さらなるコスト削減を推進している。また、システム開発事業は開発後の保守・運用サービス受託拡大によって、サポート&サービス事業は継続受託案件の積み上げによって、いずれもストック売上が拡大しているため安定した収益構造となっている。
パーキングシステム事業は、管理現場数・管理台数の積み上げによって駐輪場利用料収入や駐輪場管理運営受託に係るストック売上が主力となり、入札等によって受注変動する機器販売のフロー売上の比率が低下している。コロナ禍の影響で業績が一時的に影響を受けたが、その後は経済活動・人流の回復に加え、価格改定を含めたBPRの成果などにより、2024年3月期にコロナ禍前を上回る業績に回復し、さらに2025年3月期は業績拡大を加速させている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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