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大幸薬品 Research Memo(3):経営基盤の強化を最優先課題として構造改革推進中


■トピックス

1. 経営基盤の強化を最優先課題として構造改革推進中
2021年12月期の業績悪化をうけて、大幸薬品<4574>では前期より経営基盤の強化を最優先で進めている。そのための2本柱としては、(1)事業戦略の再構築と(2)構造改革の推進である。「(1)事業戦略の再構築」においては、医薬品事業では、「正露丸」の原点(120周年)に立ち返り、古くから万能薬とされてきた科学的根拠を明らかにし、若年層などへもわかりやすく伝える方針である。感染管理事業においても、2004年から開始した二酸化塩素研究を継続しエビデンスを積み上げる方針である。2021年12月には、二酸化塩素は有人環境で使用できる唯一の消毒法であるとする「室内空気中のウイルス消毒」に関する同社の総説論文が英文薬学雑誌「World Journal of Pharmaceutical Research」にて受理されている。「(2)構造改革の推進」に関しては、社長直下のプロジェクトチームを編成し、事業戦略に基づく組織設計とリソース(ヒト・モノ・カネ)の再配分、徹底したコストの見直し(広告・販売促進費比率、在庫保管費用、外注・業務委託費用、その他)、外部環境に柔軟に対応できる意思決定メカニズムの確立、などに取り組む。前期は、過剰な在庫の評価損等(2021年12月期に約37億円)や感染管理事業の工場投資等に係る固定資産の減損損失(同約24億円)が大きな業績悪化要因となったが、整理はほぼ完了しており、進行期には影響しない見込みである。一方で、操業停止関連費用(同13億円)は金額は減少するものの、進行期も継続的に発生する予想である。

中長期的には、2024年12月期までの3ヶ年で経営基盤の強化を完了し、その後の安定的な成長を実現していくシナリオである。感染管理事業の復活がカギとなるだろう。

2. 消費者庁による措置命令に関して、「クレベリン置き型」以外の4商品は係争中
同社は、2021年11月、クレベリン商品の空間除菌効果に関する表示が不当表示に当たるとして、消費者庁から、景品表示法に基づく措置命令案についての弁明の機会を付与され、司法の場で争うことになり、現在も一部係争中である。2021年12月には、措置命令の差止訴訟を提起し、併せて仮の差止めの申立てを行った結果、東京地方裁判所は、2022年1月には、主力商品である「クレベリン置き型」(60g及び150g)の2商品について、同社から消費者庁に提出した試験結果等が二酸化塩素による除菌・ウイルス除去効果の裏付けとなる合理的根拠に当たることを認め、措置命令の仮の差止めの決定がなされた。しかし、東京地方裁判所は、クレベリン置き型以外の4商品(スティック ペンタイプ、スティック フックタイプ、スプレー、ミニスプレー)の空間除菌効果に関する表示については、同社の主張を退けている(即時抗告を申し立て)。クレベリン置き型以外の4商品は、売上高に占める構成比では約5.9%にあたる。同社では、返品調整引当金繰入(約7億円)などを2021年12月期決算にて計上しており、進行期決算への影響を軽減する対策をとった形である。“クレベリン”ブランドの棄損や空間除菌市場の将来の成長性にも関わることであるため、今後の動向に注視したい。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)

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