『最高の体調』
(クロスメディア・パブリッシング)
「最高の体調を手に入れて、もっとパフォーマンスを高める」には? 『最高の体調』著者・鈴木祐氏(愛称:パレオな男)のアドバイスをもとに、ビジネスライフ社長がさまざまなミッションにチャレンジしながら情報をお届けします。 第3回のテーマは「筋トレ」について。短時間でできて脳疲労&カラダの疲れやすさに効く筋トレメニューを教えていただきます!
◆睡眠編はこちら
「6時間睡眠でも脳疲労がつきまとうのはなぜ?|最高の体調-パレオな男に聞いてみた-」
「睡眠効率「だけ」優秀でも意味がない!|最高の体調-パレオな男に聞いてみた-」
社長、筋トレに燃える
——鈴木氏のアドバイスで睡眠にアプローチし、手応えを感じはじめた小早川社長(43)。
「この調子で睡眠がとれれば最高のコンディションで仕事ができるかもしれない」
仕事柄、頭をフル回転させたり人間関係に気をつかったりと脳を酷使する機会は多い。最高のコンディションで仕事をするには脳疲労をいかに取り除くかが重要だ。
実はこの脳疲労、睡眠だけでなく運動によって回復することもできる。「アクティブレスト」(積極的休養)と呼ばれる疲労回復法だ。軽い有酸素運動を行うことで各細胞へ十分に酸素が供給され、疲れが取れやすくなるという。
◆参考記事「本当に疲れていたのは脳だった?「アクティブレスト」で心も体もスッキリしよう」
「最高のパフォーマンス」を目指すなら、運動も極めたい——。
そんな思いを抱えていた小早川氏は、さっそく鈴木氏に助言を求めることにした。
運動にやる気を見せる小早川社長(左)と、アドバイザー鈴木裕氏(右)
小早川「『アクティブレスト』と言うくらいですから、運動も脳疲労に効きますよね。忙しくてもできる筋トレってないですか」
鈴木「短時間でできる効果抜群な筋トレ法ならありますよ。しかもこのトレーニング法、
脳神経を鍛えつつ疲れにくい身体をつくることができるんです」
小早川「脳と身体が同時に鍛えられるんですか?それはいいですね!」
満面の笑みを浮かべる小早川氏
脳機能&疲労回復力を底上げ!忙しい人こそやるべき筋トレ法
鈴木氏がオススメするのは「HIIT」と呼ばれるトレーニング法。「短時間で高負荷な運動→休憩」を繰り返すもので、なんと有酸素運動の6倍の効果があるという。
鈴木「時間対効果が高い分、かなりキツイです。短時間でできるというより『短時間しかできない』と言ったほうが正しい」
身体に一気に高い負荷をかけ、心肺機能を高めることで「疲れにくいカラダ」が手に入る。しかもたったの5分〜30分程度で効果が出るというのだから驚きだ。具体的な実践方法は次の通り。
①数分間だけ限界ギリギリまでエクササイズ
②数秒だけ休む
③再び数分間だけ限界ギリギリまでエクササイズ
④数秒だけ休む
※①〜④を数回くり返す
行う運動の種類はダンベルや全力ダッシュなどなんでもOK。
小早川「筋トレだけでなく有酸素運動も合わせた方がいいんでしょうか?」
鈴木「HIITでは全力運動が要求されます。HIITの後ではそもそも有酸素運動をする余裕が残らないと思いますよ。
有酸素運動の後に筋トレをしても疲れが影響してフォームが崩れ、関節を痛める可能性が高いです」
“キツイけど短時間”がウリのHIITだが、「毎日やらなければ」と気負う必要はないという。
「週2回でも効果は出ます。僕は週3回トレーニングするうち、1回をHIITでやってますね」
オススメHIIT①タバタ式トレーニング
「HIIT」と一口に言ってもその種類はさまざま。そのうちの一つがタバタ式トレーニングだ。70年代に田畑泉博士がアスリート向けに開発したもので、世界中で高い評価を受けている。
①強度の運動を20秒間
②10秒間お休み
※①〜②を8回繰り返す
◆参考記事「たった4分で60分のエアロビより体力がつく?タバタ式トレーニング初級ガイド」(パレオな男)
オススメHIIT②ノルウェイ式トレーニング
こちらはノルウェイでの研究でよく利用されているテクニック。1回の全力運動と休憩の時間が長いのが特徴だ。
①5分のウォームアップ
②4分だけ全力で運動(最大酸素摂取量の85〜95%)
③3分だけ軽い運動
※②〜③を3回繰り返す
④(最後にもう一度)4分だけ全力で運動
⑤5分のクールダウン
◆参考記事「「ノルウェイ式HIIT」で体が細胞レベルで若返ることがわかったぞー」(パレオな男)
鈴木氏オススメのHIITを教わった小早川氏。しかし、どちらのトレーニングを選ぶかは決めかねたようだ。
小早川「具体的な方法と効果がわかっているとやる気が出ますね。次回の会議までに両方試してみます!」
→NEXT:1ヶ月後、筋トレメニューの成果は?
1ヶ月後、筋トレメニューの成果は?
——「HIIT実践宣言」から1ヶ月後。小早川氏は順調にトレーニングを進めているようだ。
小早川「今、タバタ式とノルウェイ式を2週間続けているところなんです」
鈴木「お、続いてますね!」
小早川「タバタ式でダッシュ、ノルウェイ式でジムのウェイトトレーニングというように使い分けています。
どちらも運動後の爽快感が素晴らしいですね。夜の住宅街をバーッと走るときなんか最高に気持ちいい。ダラダラとトレーニングするより、ずっと気持ちが楽でした」
HIITのリフレッシュ効果を存分に味わった小早川氏。しかしこれからのトレーニングには少し不安がある。「寒くなると外やジムに行くのが億劫になるんじゃないかと心配で。自宅で激しい運動をするのは難しいと思うんです」
ところが、「HIITで行うような高負荷運動は室内でも十分できますよ」と鈴木氏。
「自分の体重を負荷として利用する自重トレーニングでも高負荷は達成できます。例えばこの机を使っても高負荷トレーニングは行えますよ」
そう言いながら鈴木氏が指し示したのは会議室のテーブル。
「机の縁に足をのせて床に手をつき、腕立て伏せをするんです。かなり効きますよ。会社でもできるんじゃないでしょうか(笑)」
「息するように筋トレ」できるのは66日目から
自宅でも会社でも(!)即チャレンジできるHIIT。疲れにくい身体を手に入れるためには、何日ほど続けるべきなのだろうか。
鈴木「3週間もすれば目にみえて体が変わってくるはず。負荷の記憶は筋肉に残りますから、途中で継続を断念してもトレーニングは無駄になりません」
小早川「3週間でも効果があらわれるんですね! ただ、筋トレは強い動機がないと続けにくいと思う。『細マッチョになってモテたい!』や『おじさんと思われたくない』など、はっきりした目標を持つべきだとは思いませんか?」
鈴木「入り口として目標はあってもいいと思いますが、最終的には運動自体が楽しくならないと続きませんね。
運動が楽しいというのは脳内麻薬であるアドレナリンがドバドバと出ている状態。習慣づけるなら脳をアドレナリン中毒状態にしましょう」
ただ、中毒状態になるまでの期間は人によって大きな差がある。鈴木氏によれば、習慣が身につくまでにかかる日数は平均66日。場合によっては180日かかる人もいるという。
小早川「分かりました。まずは66日間を目指してタバタ式を続けます!」
鈴木「トレーニングの際は、主観的でいいので『今日の追い込み度は75点』のように成果を数値化するといいですよ。『どこまで自分を追い込んだか』を記録につけると続けやすくなります」
再び登場、疲労回復度チェックもできる「Oura ring」
疲れにくい身体が手に入ったとしても、自分の疲労回復力を客観的に評価するのは難しい。そこで鈴木氏が利用しているのが、連載第1回でも紹介された「Oura ring」だ。
Oura ring公式サイトより
◆参考記事「6時間睡眠でも脳疲労がつきまとうのはなぜ?|最高の体調-パレオな男に聞いてみた-vol.1」
◆参考記事「Oura Ring: the most accurate sleep and activity tracker」(Oura ring公式サイト)
「Oura ring」は鈴木氏がアツく推す高機能ウェアラブルデバイス。指にリングをはめるだけで睡眠の質・心拍数・体温・運動強度などを自動計測しスマホのアプリに送信してくれるのだが、計測できるのはそれだけではない。
Readiness Scoreと呼ばれる「疲労の回復度」も数値化してくれるというのだ。
鈴木「疲労回復度をジムなどで測るのは難しい。そうした設備のある施設はあまり思い浮かびませんね。その点ouraringなら常に疲れにくさをデータ化してくれるので便利です」
鈴木氏の言葉に、連載第2回でOura ring購入を諦めた小早川社長も、がぜん乗り気になった様子。
「睡眠計測のために買ったbeddit(連載第2回参照)だと、計測できる項目が少ないんですよね。睡眠と合わせて疲労回復度も測れるなら、今度こそOura ringが欲しくなってしまうな」
——睡眠だけでなく運動効果もまとめて計測してくれるOura ring。社長の指に嵌るリングを見る日は近いのかもしれない。
・高負荷&短時間のHIITで脳機能&疲労回復力アップ
・まずは66日続けてみると楽になる
・疲労回復度チェックなら「Oura ring」
次回の「パレオな男に聞いてみた」は「メンタルコントロール編」。認知行動療法を参考に、思考回路の歪みを整え、眠りを深める効果もあるというテクニックをご紹介します。
次回もお楽しみに!