
将棋の8冠再制覇を目指していた藤井聡太名人(22)は25日、大阪府高槻市の関西将棋会館で指された第10期叡王戦(不二家主催)の本戦準決勝で糸谷哲郎八段(36)に敗れ、伊藤匠叡王(22)への挑戦はならなかった。
8冠への返り咲きが1年以上遠のいた藤井名人は終局後、「今期は敗退ということになってしまったんですけど、またもっと実力を高めて来期のトーナメントに臨めるように取り組んでいきたいと思います」としっかりした口調で語った。
先手番の藤井名人が横歩取りから前例のない形に踏み込んだが、昼食休憩明けに糸谷八段が8筋の飛車を浮いた手を見落としていたといい、「早い段階で思わしくない展開になってしまった。その後は基本的には自信がなかった」と振り返った。
先に持ち時間を使い切る苦しい展開が続き、そのまま押し切られる展開に「全体的に苦しい将棋だったので、結果もやむを得ないかなと思っています」と完敗を認めた。【丸山進】