韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領は3日夜、緊急の談話を発表した、国会での野党の行為が「内乱を企てる明白な反国家行為だ」と指弾。「非常戒厳を宣布する」と表明した。
韓国軍によると、金竜顕国防相は軍に対し、非常警戒と態勢強化を指示した。ただ、尹政権が具体的にどのような措置を取るのかは不明だ。
尹氏の突然の表明に、与党「国民の力」も強く反発している。同党の韓東勲代表は尹氏の会見終了直後、「非常戒厳令は間違っている。国民と共に阻止する」との声明を発表した。
国会では最大野党「共に民主党」が過半数を占めている。国会の委員会では11月下旬、来年度の予算案のうち野党が一部を削減して可決。また検事や政府幹部らの弾劾を試みている。尹氏はこうした野党の攻勢に耐えきれず、「非常戒厳」という極端な手法に打って出たとみられる。
尹氏は野党を念頭に「韓国国会は犯罪者集団の巣窟となり、立法独裁を通じて国家の司法・行政システムを麻痺させ、自由民主主義体制の転覆を企てています」と一方的に批判。「できるだけ早い時期に反国家勢力を撲滅し、国家を正常化させる」と訴えた。
「中央日報」によると、戒厳令は1980年5月に全斗煥大統領(当時)が宣言して以来、44年ぶり。「朝鮮日報」によると、戒厳令は憲法で定められている。非常戒厳令では、「戒厳司令官」が戒厳地域内の全ての行政事務と司法事務を掌握する。【ソウル日下部元美】