バイデン米大統領(81)は7日、東部ニューヨークで11月の大統領選に向けた資金集め集会で演説した際、ドイツのメルケル前首相のことを「コール首相(2017年に死去)」と言い間違えた。4日にもフランスのマクロン大統領を「ミッテラン大統領(1996年に死去)」と混同し、独仏首脳の氏名を立て続けに言い間違えたことで、再選に向けた懸念材料になっている「高齢不安」に拍車がかかりそうだ。
大統領の同行記者団によると、バイデン氏は演説で、就任後初の外国訪問となった21年の主要7カ国首脳会議(G7サミット、英コーンウォール)でのエピソードを紹介。同年1月の米連邦議会襲撃事件に関連して、「ドイツのヘルムート・コール氏が私を見て、『大統領、仮に(英国の)タイムズ紙の朝刊に“英首相の就任を阻むために1000人が議会のドアを壊して押し入り、死者も出た”という記事が載っていたら、何とおっしゃいますか』と言った」と述べた。21年のG7サミットに参加していたのはメルケル氏だった。
バイデン氏は4日に西部ネバダ州の選挙集会で演説した際も、21年のG7サミットに言及。マクロン氏のことを「ドイツの、いや、フランスのミッテラン大統領」と言い間違えていた。
米NBCニュースの1月の世論調査では、バイデン氏に関して、76%が「2期目を務めるのに必要な心身の健康に懸念がある」と回答。4歳下の政敵である共和党のトランプ前大統領に同様の懸念を持つのは48%にとどまっており、バイデン氏の衰えを不安視する声は強い。【ワシントン秋山信一】