藤井聡太名人(20)と羽生善治九段(52)が対戦する第71期王座戦挑戦者決定(挑決)トーナメント(日本経済新聞社主催)の準決勝が、28日午前10時から東京都渋谷区の将棋会館で指される。将棋の8タイトルのうち7冠を持つ藤井名人が獲得していないのは王座のみで、タイトル通算100期まであと一つとなっている羽生九段との注目の対局となり、7冠を達成した新旧の棋士同士の対戦ともなる。
藤井名人が勝って挑戦者決定戦(決勝)に進むと、最後の1冠挑戦にあと1勝と迫る。逆に敗れると年内8冠の可能性は消え、達成は早くても次期王座戦以降へと1年以上遠のく。
タイトル通算獲得数99期で足踏みが続いている羽生九段が挑戦者決定戦に進出すると、通算100期の大台への挑戦に王手がかかる。羽生九段は9日に日本将棋連盟会長に就任しており、現役会長のタイトル戦登場は1986年の名人戦で中原誠十六世名人(75)に挑戦した大山康晴十五世名人以来となる。
藤井名人と羽生九段との対戦は、両者が初めてタイトル戦で顔を合わせた今年1~3月の第72期ALSOK杯王将戦七番勝負以来。その時は藤井王将が4勝2敗で羽生九段の挑戦を退けた。
王座戦は、永瀬拓矢王座(30)への挑戦権を巡り、全棋士が参加して1次予選からトーナメント戦が行われている。羽生九段は名人戦順位戦B級1組所属のため2次予選から、藤井名人はタイトル保持者のため予選が免除されて挑決トーナメントから登場した。挑決トーナメントで、藤井名人は中川大輔八段(54)と村田顕弘六段(36)に勝ち、羽生九段は久保利明九段(47)と斎藤明日斗五段(24)に勝ってそれぞれ準決勝に駒を進めた。
挑決トーナメントでは他に、豊島将之九段(33)が4強入りを果たしており、28日に指される準々決勝の渡辺明九段(39)―石井健太郎六段(31)戦の勝者と準決勝で対戦する。【丸山進】