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「愛車遍歴の1台が左ハンドル+MTっていいかも」という話


筆者だけの思い込みかもしれないが、ハンドルの位置が右から左になるだけでずいぶんと景色が変わるものだと驚くことがある。 さらにMTともなれば、右ハンドルのときは左手で操作していたものが、左ハンドルになると右手に変わる。たったそれだけのことでも、運転する行為そのものが新鮮に思えてくるから不思議だ。 右ハンドル+MT車の選択肢が減りつつあるなか(それでもシビックRSのようにMTのみのモデルがいまだに発売されたりする)、左ハンドル+MT車ともなればもはや絶滅危惧種だ。 それなら、乗れるうちに乗っておいてもいいかも…。今回はそんな話だ。 ■初めて運転した左ハンドル+MT車の思い出 人生初の左ハンドル+MT車はというと、当時、最新モデルとして販売されていた993型のポルシェ911だ。当時ハタチ。なんでそんなクルマに乗れるんだ!と突っ込まれそうなので先に白状しておくと、当時の正規ディーラーに、友人と連れ立って「運転させてください」と乗り込んだんである。いま考えると、若葉マークがようやく外れたばかりの若者によく試乗させてくれたと思う。 「準備するので中で待っててください」と、ショールームに案内され、色っぽい美人のお姉さんが出してくれたディーラー物(?)のコーヒーを味わっていると、メカニック氏が「準備できました。どうぞ!」と、ポルシェ911をショールームの前に横付けしてくれていた。 自分から乗りたいといってショールームまで来てみたものの、クラッチミートが難しいとさんざん聞かされてきた911、果たして自分に運転できるのか!? ここまで来たら後には引けない。 覚悟を決めて運転席に乗り込み、シートポジションを調整する。左手でキーを捻り、背後で空冷エンジンがウォン!!と目覚める。クラッチペダルを踏み、おそるおそる右手でギアを1速に入れた。なんじゃこのガッシリしたシフトノブは!サイドブレーキを下ろし、いろいろクラッチミート。911はアイドリングのままクラッチミートするんだっけ…。するするっと…正しくはおそるおそる左足を床から離す。すると…動いた!エンストせずに発進できた! 2,30分くらいだったか、夢中で911を走らせた。実はこのとき、実はいろいろあって、結果としてホロ苦い思い出となってしまったのだけど…。 ■30万円のゴルフ2 GTIを買い逃した話 都内でウィンドウフィルムを施工するアルバイトをしていたおよそ30年前、勤め先の専務から「ゴルフ2 GTIのMTの売り物があるんだけど、買わない?3ドアの左ハンドル。30万円でどう?」と話を持ち掛けられた。 いまなら飛びつきたいくらいの話だけど、当時はまだ「ゴルフはダサい(すいません)」というイメージしかなかった。どうもハッチバックのクルマが好きになれなかったし、この時点でゴルフを運転したことがなかったことも関係していたように思う。このときハタチ。まだまだ頭でっかちだった時代だ。 アルバイト先であるフィルムの施工場に入庫してくるのは、メルセデス・ベンツやアウディ、当時流行りのボルボのエステート、たまにポルシェやジャガーといった高級車ばかり(在籍中、なぜかゴルフのフィルム施工は機会がなかった)。そんなわけで、仕事とはいえ高級車に触れる日々。だからこそ、余計にゴルフがチープに思えたのかもしれない。…というわけで、30万円のゴルフ2 GTIを手にすることはなかった。 それからおよそ4年後、就職した会社の社長が発売されたばかりのゴルフ4 GTI(MT)の新車を手に入れ、打ち合わせに同行した際には運転させもらった。このとき、初めて実際にゴルフを運転したことでようやくその魅力に気づいた。その後、ゴルフ4ワゴンを手に入れて以来、現在のゴルフ トゥーランまで都合6台のゴルフに乗ることになろうとは。 ■身近なところに左ハンドル+MT車があった! これまで、仕事を通じてさまざまな左ハンドル+MT車を運転する機会に恵まれた。ちなみに、現在、趣味車として所有しているクルマも左ハンドル+MT車だ。ふと思うのは、若いときのホロ苦い経験を埋め合わせたかったのかもしれない。 いまや、プライベートでもたびたびお邪魔している、東京都青梅市にある「Garage, Café and BAR monocoque/ガレージ・カフェ&バー モノコック」の駐車場に1台のハッチバックモデルが目に留まった。 店舗を訪れた人であれば「あぁ。あのクルマね」となるかもしれない。 2011年式 ルノー トゥインゴ ゴルディーニ ルノー・スポール。まさに「左ハンドル+MT車」そのものだ。 同店のマスターであるRYOさんに伺ったところ、走行距離は約10万キロ、価格はASKとのことだが、100万円前後(車検2年付き)を考えているらしい。 内装はというと、エアバッグ付きの純正ステアリングの代わりにOMP製のディープコーンステアリングが、運転席にはスパルコ製のフルバケットシートが装着される他、リアシートやカーペット類が取り外されており、実にスパルタンだ。また、タコメーターの隣にはPIVOT製のdigital monitorが装着され、水温・エンジンの回転数・電圧を表示することができる。 アラフィフ世代以上のクルマ好きにとっては、どこかで見覚えのある仕立てではないだろうか。かつて、スターレットやマーチ、シビック、CR-Xなど、国産ホットハッチで愛車をこんな感じに仕上げて峠道を攻めたり、朝から晩まで(翌日の明け方まで?)乗り回していた人も少なくないはずだ。 折からの旧車人気の影響を受けて、いずれのクルマは信じられないような価格帯になってしまった。オリジナルが是とされ、おいそれとカリカリにチューニングができない雰囲気ができつつある。そもそも、いじりたくても部品そのものがレアになり、安価に仕上げること自体が夢物語になってしまった感がある。 その代わり…ひと昔の輸入車が手頃な価格で手に入るようになってきた。その代わり、かつて高嶺の花だった「ガイシャ」が手頃な価格帯となり、一時期は「タダ同然で引き取ってきた」国産旧車がとんでもない相場で取り引きされる時代となった。 であれば、比較的手が届きやすい輸入車、しかも左ハンドル+MT車がその枠に含まれるのなら…これは楽しんだ者勝ちだと思う。特に、若い世代の方たちにとっては「左ハンドル+MT車+内燃機関のクルマを安価で楽しめる」またとない機会かもしれない。 ●2011年式 ルノー トゥインゴ ゴルディーニ ルノー・スポール ・価格:ASK(100万円前後を予定)・走行距離:約10万キロ・左ハンドル/5速MT・車検2年付き・BS Speedline ホイール・Pro Racing サブコン・BC Racing 車高調・PIVOT digital monitor・ブレーキ冷却ダクト・ボディ補強・アーシング・DIXCEL 特注スリットローター/Zタイプ ブレーキパッド・実測160馬力 ●問い合わせ先:クルマ&バイク好きのオアシス「Garage, Café and BAR monocoque/ガレージ・カフェ&バー モノコック」 ・Facebook:https://www.facebook.com/monocoquecafebar・Instagram:https://www.instagram.com/monocoque.cafebar/・営業時間:11:00〜23:00・定休日:不定休(facebook、Instagramに情報あり)・住所:東京都青梅市畑中1-126-1・TEL:0428-84-0644 ■まとめ:愛車遍歴の1台が左ハンドル+MTっていいかも 新車で買える左ハンドル+MTというと、基本的には輸入車、または逆輸入車だ。正規ディーラーで販売されているクルマで見ていくと、アバルトF595(448万円)あたりが現実的なところだが、それでもコミコミで500万円コースだ。正直いって決して安いクルマとはいえない。 しかし、中古車であれば、それこそピンからキリまである。カーセンサーで調べてみたら、もっとも高価な左ハンドル+MT車は1996年式のフェラーリF512M(RKスペシャル)の1億5千512万円(!)。そういえばこのフェラーリ、某ミュージシャンの元愛車だった個体のはず。反対に、もっとも安いクルマは、2004年式フィアットパンダの33万2千円(いずれも支払総額)だった。 欧州車を中心に、コミコミ100万円以下で買える左ハンドル+MT車もそれなりに選べる。安く買える分、低年式や過走行の個体も含まれている。そこはある程度割り切って「壊れたら、その都度直していく」くらいの心持ちの方がいいかもしれない。 2024年の時点で、新車で購入できる左ハンドル+MT車が限られている以上、10年後にはいまよりも確実に選択肢が限られていることは間違いない。交差点の右折が大変(特に対向車の右折待ちがいる場合)、駐車場などの料金所が左ハンドルに対応していない等、不便に感じることも少なくない。 しかし、左ハンドル+MT車には、それを補って余りある魅力があると個人的には感じている。右ハンドル+MT車も充分に楽しいけれど、ちょっと変化が欲しいと感じたら、左ハンドル+MT車を選択肢に入れてみてほしい。初めてMT車を運転したときのような、新鮮な感覚、そしてワクワクする気持ちが蘇ってくることは間違いない。 そして、行きつけのカフェに立ち寄って居合わせた人たちとクルマ談義を楽しむ…。きっと充実した時間を過ごせるはずだ。 [画像・Porsche、Volkswagen/撮影&ライター・松村透] ...続きを読む
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