ヒラメ筋はふくらはぎの両側に出っ張った腓腹筋の下にある筋肉。足首を伸ばして体を支える役割を持っています。じつはこのヒラメ筋、太もも裏のひざを伸ばす筋肉ハムストリングよりも強い力を発揮するのです。ヒラメ筋が強い力を発揮する秘密は羽状筋という構造にあります。
ヒラメ筋は太くて短い羽状筋
筋力は筋肉の大きさに比例するイメージがあるもの。ふくらはぎの大きな出っ張りとなる腓腹筋の下に位置するヒラメ筋は、サイズ的にはかなり小ぶり。太もも裏にあるハムストリングスのほうが強い力を発揮しそうです。
しかし、ヒラメ筋はハムストリングスや大殿筋といったサイズの大きな筋肉よりも、強い力を発揮できます。ヒラメ筋が強い力を発揮できる秘密は羽状筋という筋肉の構造にあるのです。
羽状筋は短くて太い筋線維が斜めに配列された構造。平行に重なる腱と腱とを羽状筋は太く短くつないでいます。一方、一般的に筋肉は平行筋と呼ばれる構造。腱と腱とを長い筋線維でつないでいます。
ヒラメ筋の力でクッション
ここで筋肉の力は構造上、筋肉の太さに比例するもの。短いながら太い羽状筋であるヒラメ筋は、強い力を発揮できるというわけです。平行筋は長い筋線維が束になっているため、結果的に太さは細くなります。
ヒラメ筋は数ある羽状筋の中でもとくに筋線維が短く3cmしかありません。一方で、典型的な平行筋であるハムストリングスは10cm、大殿筋は15cmくらいとかなり長い構造です。
このため、体積としてはハムストリングスはヒラメ筋の2~3倍あります。しかし、発揮する力に関してはヒラメ筋のほうが2倍ほど大きくなるのです。このヒラメ筋の力で、階段を下りるときのクッションの役目を果たしています。