お笑いタレントの明石家さんまさん(67)が、1月15日に放送された『週刊さんまとマツコ』(TBS系)に出演。女子プロレスラーのジュリアさん(28)の悩み相談を受けて、自身の “引き際”について語っていた。おおよその流れは以下のとおりであった。
この日、ジュリアさんは「すごく言いづらいんですけど、さんまさんにお聞きしたい」と、前置きし、
「どの業界にもあると思うんですけど、女子プロレスの大御所さんがずっと現役でバリバリやられていると、本来なら全盛期を迎えているはずの若手の妨げになってるんじゃないかなって思うんですけど」
……と、質問。すると、さんまさんは「オレのこと言ってるの? 聞きたいことちゃうやろ。それ、辞めろっていうことやろ?」と、場を盛り上げながらも、次のようなことを告白し、ジュリアさんをはじめとする他の共演者を唸らせていた。
「人気がどうこうより、一人でもオレを応援してくれる人がいるかぎり、辞めるのは(応援してくれている人に)失礼だろ、ということで今でも頑張らせていただいている」
「若手のことは考えてない。ファンのことを考えてる、オレは」
「(逆に、若手には)もうオレたちの時代やないな……と思わせてほしい」
「キングオブコント、M-1……ずっと観てても、大丈夫大丈夫と思って(テレビのスイッチを)切ってるから。よっしゃ、被(かぶ)ってないって」
まさしくの “神発言”ではないか。そして、アラカンのベテラン老文筆業者の一人である私も、このさんまさんの珠玉すぎる金言に、大いなる勇気をいただいた。
「老害」なる言葉がメディアやネット上でやたら目につくようになった昨今……とくに、我々みたいな “人気稼業”に就く者は、プロ(団体)スポーツ界や企業などと違って明確な「解雇」の勧告がないためか、
「いつまでも大御所ぶってないで、とっとと引退しろや!」
……といった “圧”が、まるで真綿で首を絞めるようにしっとりとまとわりついてくる。一応断っておくが、(一部を除く)我々ベテランはみずから「大御所」を気取っているわけでは決してない。大半は「どんな汚れ仕事でもバリバリ引き受けまっせ〜!」と、謙虚な姿勢で日々に臨んでいる。勝手に若いヒトたちが我々を大御所扱いしているだけなのだ。ちなみに、この負の連鎖によって大御所世代の仕事が無くなる状態のことを私は「大御所貧乏」と呼んでいる。
しかし、いっぽうで高齢化対策の一環として、たとえば勤め人の「定年の引き伸ばし」を試みたりする風潮も見て取れる。「結局のところはどっちやねん!」と、ゴメスじいさんは、ただ戸惑うばかりである。
たしかに、若い世代と比べ、ITツールに対する適応力なんかは圧倒的に劣っている。つい最近も、ここcitrus編集部の皆さまに『Slack』の導入で散々のご迷惑をおかけした。
しかし、さんまさんのおっしゃるとおり、私のコラムを楽しみにしてくださっている人が、仮にたった一人でも実在するならば……(すべてのクライアントさまから「連載終了」を告げられないかぎり)私はやはり、自分から引退する気は毛頭ない。万一、私が居座っているせいで一人の若手が仕事からあぶれているとしても、そんなの知ったこっちゃない。私の “席”が欲しけりゃ、実力で奪い取ればいいのだ。
こうして「大御所」という名の “老害”世代が、未練がましく “現役”にしがみついて、若い世代とガチで “席”を奪い合う、ある意味 “健全”とも言えるエイジレスな関係を築くことこそが、ニッポンの高齢化社会における真の活性化へとつながるのではなかろうか。
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