毎日の食事作りに欠かせない冷蔵庫。維持するにはどうしても電気代がかかってしまいますが、少しのポイントを押さえれば節電もできます。節電するにあたり注意したいポイントや、冷蔵庫・冷凍庫など各部屋別の適切な使い方を紹介します。
それぞれの温度と使い分け方
メーカーや機種によって違いはありますが、家庭向けの2ドア以上の冷蔵庫は、大まかに冷蔵室、冷凍室に分かれているのが一般的。
温度は、冷蔵室が0~10度、冷凍室が-18度以下に設定されているのが標準的です。しかし、実際には食品ごとに保存にもっと適した温度があり、高機能な冷蔵庫にはより細かく温度を設定した専用の個室が設けられています。
例えばその1つが野菜室。冷蔵室の1つではあるものの、低温障害を起こしやすく乾燥しやすい野菜用に、3~8度前後の温度帯に設定されています。野菜室は温度が低すぎず、深さのある冷蔵スペースであることが多いため、開封後の調味料の保存にも適しています。
冷蔵庫の節約ポイント
冷蔵庫は常時電源を入れっぱなしにして使用することもあり、家庭内の電化製品の中でも電気代がかかる家電の1つ。しかし、使い方次第では、消費電力を抑えることができます。
金額的にどれくらい電気代を節約できるというのは、機種の違いや容量はもちろん、冷蔵庫の設置状況などさまざまな条件や環境によっても異なります。
そのため具体的にいうことは難しいのですが、メーカー各社に問い合わせたところ、使い方の違いだけでも10%以上節電になった例や、冷蔵庫の省エネ設定により20%以上も電気代を抑えることができた例があるとのことでした。
代表的な節電方法は以下のとおりです。
ドアの開閉は最小限に。開け閉めの際は素早く、しっかり閉めること
ドアの開け閉めが多いと、中の冷気が逃げて電気代を余計に消費してしまいます。そのため、食品の出し入れはなるべく効率よく行い、よく使う食品は手前に置くなど工夫をしてみましょう。
食品を詰め込みすぎない
食品を詰め込みすぎると、冷蔵庫内で冷気の流れが妨げられてしまうため、庫内が均一に冷却できないことから、余分な電力消費につながります。理想は奥の壁が見えている程度。食品を余裕を持って保存できる容量の冷蔵庫のほうが冷却効率が上がり、電気代を比べた時にはお得になることも。
熱いものは冷ましてから保存する
熱いものをそのまま冷蔵庫に入れると、庫内温度が上昇して電力消費アップの一因に。周囲の食品温度も上げてしまい、保存状況にも悪化させてしまうため厳禁です。
設置の際には周囲に隙間を設ける
冷蔵庫の周囲をほとんど隙間がない状態で設置してしまうと、放熱しにくく、冷却機能を低下させてしまうため、電力のムダにつながります。具体的な間隔は機種により異なるため、取扱説明書で確認を。また、製品によっては上面に物を載せるとNGな場合もあります。
高温になる場所への設置を避ける
直射日光のあたる場所やガスコンロなどの熱源近くへの設置は、冷却性能に影響を与えます。
日本電気工業協会(JEMA)によると、周囲の温度が30℃から35℃に上がったことで消費電力量が約47%も上昇した例があるとのことなので(※)、夏場の影響は甚大。できるだけ涼しい場所に設置しましょう。
※参考:一般社団法人日本電機工業会「最新冷蔵庫の基礎知識」
傷んだパッキンを取り替える
ドア部にあるパッキンが傷んでいると、その隙間から冷気が漏れてしまい、電力のムダに。名刺などの紙を挟んでズリ落ちるようであれば、取り替えの目安です。
背面を掃除する
冷蔵庫の背面や底面の放熱部周辺にホコリが溜まると、放熱効率が悪化して無駄な電力消費や、冷えの悪化につながります。設置状況や冷蔵庫のサイズによっては掃除しづらい場所ではありますが、可能であれば掃除をして節電につなげましょう。
各部屋別節電方法
冷蔵室・野菜室の節電方法
食品は詰め込みすぎず、余裕をもった収納を
冷蔵室と野菜室の節電のコツは、基本的には前述の冷蔵庫全体の方法と変わりません。
食品を詰め込みすぎず、冷気の流れを妨げないように冷気の吹き出し口の前に食品を並べるのは避けて、できるだけ間隔を持たせて収納をしたほうが節電効果が上がります。
庫内の整理整頓でドアを開く時間を短縮
また庫内を整理整頓しておくことで食品を探す時間が短くなるため、ドアを素早く開け閉めすることも可能に。冷気が外に漏れて庫内温度が低下するのを防いでくれるので、無駄な電力消費を抑えることにもつながります。
冷蔵室の場合はできるだけ真ん中を空け、コの字に収納すると、見渡しやすくなり、食品の取り出しも素早く行えます。
2段・3段式の野菜室は、野菜・果物をそれぞれに適した深さのケースに保存しておくと、食品の位置を覚えやすく、スムーズに取り出しができ、ドアを開ける時間を短くできます。
温度帯は低温よりも通常設定のほうが節約に
またチルド室などがあり、温度帯の選択ができる機種ならば、低温よりも通常設定のほうが消費電力を節約できます。
室内温度が高くなる夏季の利用は避けたほうがよいものの、節電モードやecoモードを搭載している機種であれば、冷やしすぎず、使用電力も下がるため、結果として節電につながります。
冷凍室
庫内に多くの物を隙間なく詰めておく
冷凍室の場合にも、ドアの開け閉めの時間を短くし、庫内の温度上昇を防ぐことが節電のコツ。ただし、冷蔵室・野菜室と違って、庫内に多くの物を詰めておくほうが電力消費低減につながります。
というのも隙間なく食品を保存することで、凍った食品どうしが保冷剤の役割を果たしてくれるため、ドアの開け閉めの際に温度上昇を抑えることができるというわけです。節電効果と同時に、食品の低温保持にも効果があります。
使用方法やちょっとした心がけ次第で、節電が可能な冷蔵庫。24時間365日稼働している"生活必需家電"なので、家計に及ぼす節約効果は絶大!今日から実践してみてください。