世界に羽ばたく鮨職人を目指す手子(てこ=職人のたまご)の修行の場として知られる「鮨 銀座おのでら 登龍門」。ここで厳しい修行に耐え抜き、鮨職人として一人前の技術を身につけて卒業する者は「昇り龍」と呼ばれ、卒業後は高級価格帯の「鮨 銀座おのでら 総本店」のカウンターに握り手(職人)として立つことが許される。その門戸は狭く、2022年4月のオープン以来、これまで「昇り龍」の称号を手に入れたのはわずか3人のみ。だがそれでも、超一流店「鮨 銀座おのでら」直轄で寺子屋的存在の登龍門での修行で得た技術は確かで、これまでの登り龍は皆、おのでらの主要店で活躍を見せている。そんな中、ついに4人目となる登り龍が誕生。8月1日の卒業を前にした7月29日、メディアへお披露目を兼ねた試食会が開催された。
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「昇り龍」第4号は鮨歴7年の都川裕介さん(30歳)。アメリカ・シアトルでの語学留学中に海外でのコミュニケーションツールとして鮨を身につけたいと閃き、帰国後「GINZA ONODERA 鮨アカデミー」へ飛び込んだという。在学中に「鮨 銀座おのでら 総本店」をお客として訪れた際、坂上親方の凄さに圧倒され、深く感銘を受けた彼は、アカデミー卒業後には迷うことなく「鮨 銀座おのでら」へ。総本店での追い回し、手子を経て登龍門オープンからカウンターに立ち、実際にお客さんと接することで腕を磨いてきた。
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お披露目会には坂上親方も登場し、記念すべき門出の時を見守っていた。
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取材陣に振る舞う鮨を握る都川裕介さん。さすが登龍門での厳しい修行をくぐり抜けただけあって、握る姿は堂に入ったもの。一流の鮨職人はカウンターでお客さんと談笑しながら握るのが当たり前のこと。登龍門でお客さんに揉まれてきた都川さんはこの日、握りながらの取材陣との質疑応答という技を見せてくれた。
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試食会では握り3貫、巻き物1本が振舞われた。
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まず最初は愛知県産キスの昆布じめ。丁寧に仕込まれたネタと赤酢の酢飯がとてもよく合う。
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続いては、この日一番おすすめしたいと都川さんが言う山口県産アジ。肉厚のネタに包丁で細かく切れ目(飾り包丁)を入れることで風味を壊さずに噛みやすくする、細かい仕事が光る一品だ。
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握りの最後は鳥取境港産マグロの赤身。表面に軽く落とされた柚子の皮の香りが爽やか。細かいところに江戸前の仕事が光る。
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すぐ横で親方に手元を見られているというプレッシャーの中で、巻き物に包丁を入れる都川さん。やはり今でも親方の前では緊張するのだとか。
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見事等分に切り分けられた巻き物。この日は親方や取材陣が見守る中という特殊な環境下で緊張やむなしだが、そのうちこんなことはなんでもないくらい熟練していくのだろう。
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試食会を終え、いよいよ昇り龍の名札掛けにその名を入れる時が。
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途中、何度も親方に名札を入れるのを邪魔されながら、ようやく4番目の場所に「都川裕介」の名が。
日本のみならず、今や世界中で大人気のSushi。だが、なかなか海外では「鮨 銀座おのでら」のような本物の寿司を提供するところは少なく、相変わらず“すし”ではなく“Sushi”しか口にしたことのない人がほとんど。だから来日した時にはこぞって鮨店を訪れるのだろう。今回「昇り龍」の称号を手にした都川さんは、そもそも海外で鮨を握りたいという思いで門を叩いた人。ゆくゆくは「鮨 銀座おのでら」の海外店を任されて、本物の鮨を世界に広めてくれることだろう。