“脳が溶けそうになる味わい”とも形容されるビールを創造する「Omnipollo(オムニポロ)」。2010年にスウェーデン・ストックホルムで設立されたクラフトビール/ライフスタイルブランドで、世界40カ国以上で販売され人気を博しています。
オムニポロのビールの特徴といえば“料理からインスパイアされたフレーバー”。ピーナッツバタークッキー、マンゴーラッシーなど、今までのビールの概念を覆すような作品を次々に生み出しています。
そんな常に変革を起こし続けるOmnipolloの直営ビールスタンド「Omnipollos Tokyo(オムニポロス・トウキョウ)」が、アジア初進出で日本に上陸しました。
今回は、オープンしたばかりのオムニポロス・トウキョウのお店をレポート!また、オンラインで、Omnipollos共同設立者のデザイナーのKarl Grandin(カール・グランディン)さん、ヘッドブルワーのHenok Fentie(ヘノク・フェンティ)さん、Omnipollos Tokyo 共同代表の松井明洋さんにお話を伺ったので、そちらも併せてご紹介します。
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縁起のいいうなぎ屋さんをリノベーション
Omnipollos Tokyo(写真奥)、Human NatureとSR Coffee(写真手前)
お店は細い路地に面し、入り口の引き戸、鰻の姿があしらわれた引き戸の取っ手や出窓など、当時の姿が活かされています。入り口上部に光るOmnipollos Tokyoのカラフルなロゴが目印。
店内に一歩足を踏み入れると、一面青色の店内に驚かされます。天井を見上げると、木造の屋根裏が見られ70年の歴史を感じます。
タップハンドルやテーブルもカラフルで、ここにいるだけで元気をもらえそう!店舗奥にある天窓から入る陽の光が幻想的で、まるで水の中にいるような感覚になります。
店舗デザインを担当したのは、これまでのオムニポロのビールスタンドも手がけてきたFredrik Paulsen(フレドリック・ポールセン)さん。Fredrikさんは、クリーンでシンプルなデザインながらも非常に創造性豊かな店舗に創り上げる方。カールさんとへノクさんも信頼を寄せており、東京店舗でも依頼したそう。
店舗デザインコンセプトは、“Dissolving Borders of Perception(認識の境界線を溶かす)”。Omnipolloのブランドビジョンと同じく“さまざまな概念やイメージを根底から覆す”ような工夫が施されています。大切にしたのは、Omnipollosのパッケージやロゴ、文化などを、そのままお店に当てはめるのではなく、周辺にある要素(お店のある兜町という場所、うなぎ屋の建物そのもの)などに溶け込ませること。
色あせた外壁や趣きのある引き戸など、ここが老舗のうなぎ屋だった歴史を感じます。引き戸を開けると場の空気は一転し、一気にOmnipolloの世界観に引き込まれ、どんなおもしろい体験ができるのかワクワクします。
なぜ東京にビールスタンドを?
左からKarl Grandinさんと、Henok Fentieさん
また、もともと東京に興味を持っていたヘッドブルワーのへノクさんも2〜3年前にカールさんと初めて日本を訪れ、東京でいろいろな物を食べたり飲んだりすることで、非常に刺激を受けます。日本での素晴らしい経験の数々にすっかりハマってしまったヘノクさん。その後、8ヶ月の間に3回も日本を訪れたのだとか!
そして、2人の訪日を機に、Omnipolloの日本出店が具体性を帯びることになるのです。
スウェーデンには1000年にもわたるビールの歴史があり、Omnipolloは伝統的な空気に身を置きながらビールづくりに挑んできました。そのため、日本で出店するなら歴史あるエリアにしたいと検討していたとき、日本橋兜町の再活性化プロジェクトを知ります。歴史を重ねた築70年の木造建築と出会い、出店を決めた2人。再活性化を目指す兜町、その未来の可能性に共感して集まった他の飲食店とともに、街の新しい空気を醸造していきたいと考えているそう。
もともとは2人とも東京に来るつもりで、Omnipollos Tokyoをつくりました。しかし、新型コロナウイルスの影響でオープン日には訪日が叶わず、事態が終息したら、店舗を訪れるつもりなんだそう。2人とOmnipollos Tokyoで乾杯する日が待ち遠しいですね!
オムニポロ?オムニポヨ?
「Omnipollo」という名前は、英語で「全能の、無限の力を持つ」という意味がある「Omnipotent」と、 スペイン語で「鶏肉」の意味を持つ「Pollo」を組み合わせた言葉です。じつはロゴも鳥をモチーフにしているそう。
日本ではカタカナ読みで“オムニポロ”と書くことが多く、私もそう発音していましたが、カールさん、ヘノクさんが“オムニポヨ”と話していたので、これまで間違っていたのかと思い尋ねてみました。すると、スペイン語では「Pollo」を“ポヨ”と発音するため、彼らは“オムニポヨ”と発音するのだそう。
発音に関しては、チームでも何度もディスカッションしたそうです。ヨーロッパ圏では“オムニポヨ”と読むが、アメリカだと“オムニポロ”と発音されています。読み方に関しては「Omnipolloのブランドを利用する人たちが勝手に決めてくれればいいかな」と思っているのだとか。そもそもが造語なので、スペルは決まっているけれども、発音が国や地域によって変わることは理解できる。だから“オムニポロ”でも、“オムニポヨ”でも、どちらも間違いではないと考えているそう。
スラッシーマシーンでつめた~いビール
Omnipollos Tokyoで目を引くのは、ソフトクリームマシーンでビールをスムージー状にしたスラッシー。グラスにビールを注いだ後にスラッシーをのせて提供されます。スラッシーが溶ける前のひんやりとした食感や、時間が経ち液体のビールと混ざったときの口当たりや味わいの変化が感じられる一杯。
液体のビールとスラッシーにするビールは、同じ銘柄のときもあれば、違う銘柄のときもあります。組み合わせは日によって変わりますので、訪れる度にいろいろな組合わせを楽しむことができますね。
私が訪れた日は、スラッシーも液体も同じ銘柄『Noa Pecan Mud Cake Imperial Stout』で提供されていました。
ヘノクさんは12歳の頃にお菓子職人になることを夢みていたそう。これは、その頃の思い出を呼び起こし造ったビールで、コーヒー、チョコレート、キャラメルを使っています。ビアスタイル(ビールの種類)はインペリアルスタウト。
続いて、『Zodiak House IPA』をいただきました。これはOmnipolloを代表するハウスIPAの一つです。3種類のホップ(シムコー、シトラ、センテニアル)を使い、苦みと丸みのある癖にならないホップ感を楽しめるIPA。初めて来た人たちへの最初の1杯として楽しんでもらいたいビールとのこと。
ビールは10タップ(種類)で、グラス(290ml)とジョッキ(390ml)の2サイズで提供されます。提供サイズや価格は銘柄により変わりますので、店頭でご確認ください。
提供するビールは、素材のクオリティと製法にこだわったピルスナーやIPAから、フルーツビールシリーズの『マンゴーオレンジパッションフルーツクレームブリュレ』『マンゴースムージー』、スイーツを連想させるフレーバーの「ピーナツバターチョコレートビスケットバニラ』『ラズベリーメープルパイ」など、しばしば“脳が溶けそうになる味わい”とも形容される既存のラインナップのほか、新たに日本限定のフレーバーも提供する予定だそう。
日本限定のフレーバー、これを目当てに訪れるのもよさそうですね。現在、どのような味にするのか検討中とのことで、20個ほどのアイディアが出ているそう。早く飲んでみたいですね!
名物『アシッドドッグ』をお試しあれ
Omnipollos Tokyoでは、店内のアシッドカラーにちなんで『アシッドドッグ』と名付けられたホットドッグが3種類(税込1,000円前後)あります。
ベーシックな「ホットドッグ」(写真右)は、ネイキッドマスタードを塗ったパンにソーセージをのせたシンプルなもので、ピクルスと赤玉ねぎがアクセントに。「チャーシューを使ったホットドッグ」(写真中央)は、和がらしをぬったパンにチャーシューと鰹節をはさみ、一番上に発酵させた赤キャベツをのせたもの。最後のひとつが「ベジ」。パンにひよこ豆のフムス、アボカド、パクチーの順にはさみ、発酵させたダイコンと菊の花をあしらい、仕上げに黒にんにくのパウダーが振られています。
パンはビーバーブレッド(東日本橋)のブリオッシュを使っています。このブリオッシュは卵たっぷりで甘めの生地で、こちらのホットドッグに使うにはピッタリだったそう。
その他にサイドメニューとして、『フライドポテト』『スイートポテトフライ』『トルティアチップス』などがあります(いずれも税込500円前後)。
Omnipollos Tokyoのオリジナルグッズも登場!
カールさんがデザインした東京バージョンのロゴマークはカラフル。これまでのロゴマークは基本的にモノクロのものが多かったそうですが、今回の東京バージョンは特別な想い入れがあり、より表現力豊かで活気に満ちた印象を与えるようなオムニポロマークにしたいという想いが込められています。
カールさんによる手描きの水玉模様は「とてもオーガナイズされていると同時に、カオスでもあり有機的で遊び心があって活気がある」という東京の空気感を解釈したもの。文字の集合体がまるで動物など生き物のようなものに見える示唆に富むデザインとなっています。
また、Omnipolloのポップで独創的なデザインはスウェーデンやドイツでも大人気なんだそう!気になるのは、世界中でここでしか買うことができない東京バージョンのロゴマークのTシャツやグラス。どれにしようか迷っちゃいますね。
販売価格は、Tシャツ5,800円、 ロング Tシャツ6,800円、グラス1,800円、ジョッキ3,800円です(全て税込、8月1日時点での価格)。
人々の「目的地」となる場所に
Omnipollos Tokyoは、ビールが好きな人、そうではない人、いろいろな人たちにとっての目的地となるような場所になることを目指しています。
4個のスラッシーマシーンを導入したり、世界中のOmnipolloが提供されているビアバーでもあまり飲めないような銘柄を提供したりと、ここでしか体験できないOmnipolloの世界観を表現し、楽しんでもらいたいと取り組んでいます。
歴史ある建物をリノベーションし、伝統と革新を感じられる空間に誕生したOmnipollos Tokyo。直営店ならではの体験をしてみませんか。
Omnipollos Tokyo(オムニポロス・トウキョウ)
〇住所:東京都中央区日本橋兜町9-5
〇営業時間:15:00~22:00(L.O: Food 20:30/Drink 21:30)
〇定休日:水曜日
〇支払い形式:キャッシュオンデリバリー、キャッシュレス決済のみ
〇喫煙・禁煙:禁煙
※現在、新型コロナウイルス感染防止対策として入店人数を制限して営業中です。今後、状況により変更となる可能性があります。詳しくはSNSをご確認ください。
〇Instagram:omnipollostokyo
〇Facebook:Omnipollos Tokyo