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松村雄基、大映ドラマデビューで「役者やめろ」 反発で「不良少女と呼ばれて」番長役に/連載6


松村雄基(撮影・中島郁夫)

俳優松村雄基(61)が、26~31日に東京・日本橋の三越劇場で舞台「祖国への挽歌~日系人マフィア モンタナジョーの生涯」に主演する。実在した日系アメリカマフィア、モンタナ・ジョーを演じる。日系2世としてカリフォルニアに生まれ、第2次世界大戦中は強制収容所に入れられ、日系人の442部隊に所属してヨーロッパ戦線で活躍した。19年、23年に次ぐ2年ぶり3度目の上演に臨む、松村に聞いてみた。【取材・構成=小谷野俊哉】

  ◇  ◇  ◇

俳優デビューは1980年(昭55)から81年にかけて放送されたテレビ朝日系の連続ドラマ「生徒諸君!」だった。

「現場ではケチョンケチョンでしたね。当時は、もう何をやったって、怒られてばっかりでした。ド素人でしたから。今は若い子に対して怒っちゃいけないみたいな感じですが、当時は言われたことをできなかったら怒って、何だったら手も出てっていう時代でした。僕は手を出された経験はなかったけど、今から考えると僕自身もメチャメチャでした。顔のアップで、目の前にカメラがあるのに大あくびですもん。そしたらカメラマンから『お前なぁ、テレビのカメラの前であくびすんなよ。役者10年やってからだよ』って感じで怒られたんです。それで、『10年後にやってやろう』と思ってね。そんな程度のちょっと頭が悪い高校生だから、怒られて当然なんですけどね」

84年にTBSで放送された「少女が大人になる時 その細き道」で、その後に“レギュラー”となる大映テレビ制作の“大映ドラマ”に初めて出演した。

「『少女が大人になる時』の時が一番怒られました。主役はいとうまい子さんと金田賢一さん。それに利重剛さんと伊藤かずえさんが出ていました。僕は初めて大映ドラマに出たんですけど、クランクインの時に僕のことを知っていたのは、助監督さんと衣装さんだけなんです。他のスタッフは僕のことなんか知らないんですよ。もちろん新人ですから、デビューした時に『出番じゃない時もカメラの後ろで全部見てろと』と習ったように、カメラの後ろで見ていたんです。最初、ロケで伊藤かずえさんが出て来るところを望遠で撮っていたんです」

カメラの後ろで姿勢を正していたら、通行人に話しかけられた。

「見ていたら『何やってるんですか』と通りすがりの人が聞くので『撮影です』『誰が出てるんですか』『金田賢一さんとか伊藤かずえさん』『どんなストーリーなんですか』と。細かく丁寧に説明をしていたら、本隊がずっと先に行って撮影していたんです。『松村君、序盤は出番なんてないですから』って言った監督が『バカ野郎、女としゃべってるんじゃねえ。お前なんか役者じゃねえ、帰れ』。これが、みんなの前での第一声ですよ。『おはようございます』を言う前に、『松村雄基さんです』って紹介される前に『バカヤロー、役者やめろ』って言われたんですよ。それが最初でした。今だったらコンプラ的に多分、ダメなんですけど、そのドラマの7話を撮る2、3カ月の間は毎日でした。『そこにいるな』『邪魔だ』。そこから、ずっとダメでした」

パワハラという言葉も、コンプライアンス(法令順守)という言葉もない時代。言い訳など許されない、監督の言うことは絶対だった。

「ただ、そうは言っても、その監督はただただ理不尽なだけじゃなかった。脚本を読んで『監督、僕どうしても分からないところが』と聞きに行ったんです。監督の台本を見たら、バーッといろんな説明が書いてあるんです。それで、分かるんですよね。言葉の意味も全部分かっていて、それをメモっている。びっくりしたんですけど、『俺もこう思うんだけどねって』言って、真摯(しんし)に答えてもらえたんです。ただ、それでもやっぱり芝居は下手だし、現場でのせりふの言い方もうまくいかなかった。とにかくダメでした。今の人たちは達者だし、起用ですけどね」

撮影が進んでいっても、現場の雰囲気になじめないままだった。

「だから僕、誰ともしゃべらなかったんです。伊藤かずえさんとも、いとうまい子さんとも、金田賢一さん、利重剛さんとも『お疲れさま』しか言わなくて。それで3カ月過ごして、その反発していた雰囲気がプロデューサーに伝わりました。その時のプロデューサーが大映テレビの春日千春さんという有名な方です。春日さんが『自分の若い時に似ている』と。早稲田で演劇をやってた方なんですが、その春日さんが次の『不良少女と呼ばれて』の番長に使おうと言ってくれたんです。それで、不良グループ東京流星会の会長役になったんです。その時の反発した雰囲気だから。最初の頃は本当に怒られて、怒られてばっかりでしたから。それで全員敵だと、鋭い目つきになってたんですね」(続く)

◆松村雄基(まつむら・ゆうき)1963年(昭38)11月17日生まれ、東京都出身。80年テレビ朝日「生徒諸君!」で俳優デビュー。84~85年TBS「スクール☆ウォーズ」。88年映画「恋子の毎日」。94年(平6)NHK連続テレビ小説「ぴあの」。99年舞台「ミュージカル 南太平洋」。18年映画「聖域 組長の最も長い一日」主演。178センチ。B型。

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