
休憩時間に男性トイレには長い行列ができていた。休憩時間が25分と長いので、ちょっと遅めにトイレに行ったら、20人ぐらいが並んでいた。5分後に再び開演する旨のアナウンスが流れた時にトイレを出ることができたが、それでもまだ何人かが並んでいた。
これは6日に東京・竹芝の四季劇場「秋」で初日を迎えた劇団四季のミュージカル「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のプレビューでのこと。1985年に公開されて世界的に大ヒットした映画をミュージカル化したもので、2020年に英国マンチェスターで初演され、その後ロンドン、ブロードウェーでも上演された。今年最も話題のミュージカルだ、
プレビューだから、男性の招待客が多かったけれど、それでも、男性トイレがここまで混雑するなんて珍しいことだった。そういえば、四季の吉田智誉樹社長は稽古取材の会見で「映画の『バック・トゥ・ザ・フューチャー』はコアな男性ファンが多く、今回のミュージカルでも男性客が多くなると思う」と話していたが、言葉通りのことが起こっていた。
トイレの話ばかり書いて恐縮ですが、肝心の舞台はというと、英国の劇評の五つ星評価にならうなら、五つ星満点の「最高!」の舞台でした。驚きと笑いがいっぱい詰まっていて、歌やダンスもいい。何より、作品の根底にある「夢を諦めるな」というメッセージもしっかりと伝わってきました。休憩を含めて約3時間という上演時間の長さをまったく感じない。プレビューに出ていたマーティの立崇なおと、ドクの野中万寿夫、母ロレインの海沼千明、父ジョージの斎藤洋一郎がそれぞれに役にドはまりで、あのタイムマシン「デロリアン」も見事に再現されていました。その登場シーンや疾走シーンは、瞬きせずに見てほしい。9月までのチケットは完売。10月以降のチケットが発売中だが、すでに完売日が続出している。昨年初演されたミュージカル「ゴースト&レディ」といい、四季の「いい仕事」が続いています。【林尚之】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「舞台雑話」)