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藤竜也「愛のコリーダ」の台本読み「セックスシーンが多い」ぼう然も「人間そうだもんな」と納得


83歳の俳優、藤竜也が第6回大島渚賞記念上映会で自身が主演した映画「愛のコリーダ」について語った。映画は1936年に実際に起きた「阿部定事件」を基にした作品で、1976年に公開された際にはカンヌ映画祭にも出品されている。当初、藤は主演する予定ではなかったが、大島監督のチーフ助監督の崔洋一からの依頼で出演することになったという。当時、脚本を読んでセックスシーンの多さに驚いたが、最終的にはその背後にある男女の情念を表現することに共感したというエピソードを明かした。この日、藤は映画監督の黒沢清と対談し、現在の状況について「失業中」と冗談を交える場面もあった。

第6回大島渚賞記念上映会「愛のコリーダ」上映後のトークイベントに登壇した藤竜也(撮影・村上幸将)

藤竜也(83)が16日、都内で行われた第6回大島渚賞記念上映会に登壇した。この日、大島監督が手がけ、藤が主演した1976年(昭51)年の映画「愛のコリーダ」が上映された。

「愛のコリーダ」は、1936年(昭11)に発生した愛人の女性が交際中の男性の性器を切り取る猟奇事件「阿部定事件」をモチーフに、男女の情念と官能の世界を描いた。主演の藤は料亭「吉田屋」の主人の吉蔵、松田英子(暎子)さんが店の住み込み女中の定を演じた。76年にカンヌ映画祭(フランス)監督週間に出品。同年の日本公開時は製作サイドが納得しないまま大幅な修整とプリントをカットした形で上映。00年には、ノーカットながらもボカシが入った「愛のコリーダ2000」が、24年ぶりに劇場公開された。

藤は「最初、私の予定じゃなかったみたいで」と当初は吉蔵役にキャスティングされていなかったと明かした。「製作発表の2、3日前に崔さんから『赤坂の事務所で大島さんに会ってくれませんか?』と電話があった」と、大島組のチーフ助監督だった崔洋一さんから連絡があったと説明。その後、台本と巡り合った。「その場で読んで欲しいと読み始め…セックスシーンが多いんで、ぼう然としちゃいましたけど。これ、映画になるのかな? と」と、セックスシーンがあまりに多く、驚いたと振り返った。それでも「セックスシーン、セックスシーンと重ねた向こうの、男と女の情念を表現できる。実際、人間は、そうだもんな、いいなと思った」と納得したという。

その後、プロデューサーを務めていた若松孝二監督から「飲みに行きましょうか」と誘われ、新宿ゴールデン街に飲みに行き「お互い、何となく朝の3時までジーッとしていた」中、出演を求められ「やらないつもりだったら、この時間まで飲んでいませんよ」と正式に受諾。翌日に製作発表だったという。

藤はこの日、03年「アカルイミライ」で自身を起用した、黒沢清監督(69)と対談した。近況について聞かれ、黒沢監督が「次回作を準備中という名の失業状態…うまくいけば年内に撮影に入れれば」と答えた。藤も「失業しております。本(台本)を書いてくださる、というのはあるけれど、いつか分からない感じ」と笑った。

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