人気女優・松本穂香さんが主演の映画『君が世界のはじまり』が7月31日(金)公開になり、若手実力派として注目を集める金子大地さんが出演しています。劇中でブルーハーツの不朽の名曲「人にやさしく」が流れますが、その歌詞が切なく熱く観る者の胸の奥に響くような、誰もが甘くほろ苦く思い出す過ぎ去りし日の青春群像であり、本作のふくだももこ監督の非凡なセンスが弾ける新たな青春映画として話題にもなりそうです。

このほど本作の公開を前に金子大地さんにインタビュー。劇中で東京から大阪に転校してきた伊尾というキャラクターについてうかがいました。

●今回の役柄は金子さんが演じていることに気づかないような、まったくいままでのイメージにないようなキャラクターのような気がしましたが、ご自身としても表現の幅を変えたいような意欲があったのですか?

そう思っていただけてうれしいです。どの作品でもそういう気持ちはもちろんあるのですが、今回台本を読ませていただいた時点ですごく面白いと思いましたし、僕が出演するパートでは作品の色も自然と変わるんです。いきなり官能的なシーンにもなったりしますが、単純に伊尾には共感できる要素も多かったので、演じやすかったというのはあります。

●どのへんに共感しやすかったのですか?

伊尾の学生時代と僕の学生時代は、全くと言っていいほど違うものなんですが、高校を卒業した直後の感じが似ているんです。内容は全く違うけれど、環境が変わっていくところ、ですね。僕はもともと北海道にいて、東京に出てきた頃の孤独や恐怖があったので、そこは彼との距離を縮めていく上でのヒントになっていたのかなあと思います。

●その孤独とは、放り出された感じ?

単純にホームシックにもなりましたし、それまでとは全く違う環境で生きていかなければならないということ、また、今までは学生だったのに…という想いもあったので、それを思い出して演じました。

●伊尾というキャラクターの人間性は、どのように受けとめて演じていたのですか?内面が複雑な想いでいっぱいの感じもありました。

純(片山友希)が彼に振り向いてほしくて頑張っているようで、実は彼のほうが振り回されているような関係性なので、そういう意味ではいろいろと考えて演じる必要がありました。彼にとって純は、思っていることを吐き出せた唯一の相手だったなと思うんですよね。

●実は伊尾のほうが正直になれたという。

そうですね。なので、青春ものではあるんですが、伊尾にとって純との思い出が青春なのではなくて、伊尾はたぶんミナミ(億なつき)さんとの関係が彼にとっての高校生活の青春で、その退屈な穴を埋めるために肉体関係にもなっていると思っていて。結果的に自分の言いたいことを言い出せる相手が純、ということなんだと思います。

●そういう感情の理解は、どのようにして進めていったのでしょうか。事前に監督に聞いたりするものなのですか?

彼はザ・ブルーハーツの曲をよく聴いている設定だったので、伊尾は音楽に助けを求めていたのかも知れません。僕自身も音楽に助けられたことがあったり、映画に救われたこともあったりしたので、この作品で誰かが救われたらいいなという想いはあります。細かく監督と話し合って撮影していったわけではなかったのですが、そういう気持ちを込めて演じていたところはあります。

●ちなみにどういう映画に救われたのですか?

たくさんあります。『トイ・ストーリー』が大好きなので、よく観ています。あとは『ロード・オブ・ザ・リング』のようなファンタジー系もよく観ます。日本映画では、こういった青春群像劇をよく観ていますね。

●余談ですが、『トイ・ストーリー4』は衝撃でした。

そうですね。僕もかなり衝撃を受けました。彼らと一緒に育ってきたので(笑)。

●音楽面では、どういう曲がお好きなのですか?

エレファントカシマシやザ・キングボーイズにはよく救われました。それこそザ・ブルーハーツも、ドラマで「人にやさしく」を知り、「リンダ リンダ」も有名ですよね。世代が違ってもここまで愛されるって、すごいですよね。いまでも嫌なことがあると聴いて、救われています。

●しかし今回の作品、ファンの方の反応が気になりますよね!

それは本当に気になりますね。たぶん演じていた僕たちとは、違う感想が出てくると思いますし、それも楽しみです!学生生活を経験した人たちは共感できると思いますし、ひとりでも多くの人に観てほしいです。

【あらすじ】

大阪の端っこのとある町。深夜の住宅地で、中年の男が殺害される。犯人は高校生だった。
この町の高校2年生のえん(松本穂香)は、彼氏をころころ変える親友の琴子(中田青渚)と退屈な日々を送っていたが、琴子がサッカー部のナリヒラ君(小室ぺい)に一目惚れしたことで、二人は徐々にすれ違うようになっていく。同じ高校に通う純(片山友希)は、母が家を出ていったことを無視し続ける父親に何も言えぬまま、放課後ショッピングモールで時間をつぶす。ブルーハーツを聴きながらふと通りかかった屋上で、東京から転校してきた伊尾(金子大地)と会い、求めるものもわからぬまま体を重ねるようになる。偶然ナリヒラ君の秘密を知るえん。急接近した二人を見て見ぬふりをする琴子。琴子に思いを寄せる、サッカー部キャプテンの岡田(甲斐翔真)。思いの捌け口を見つけられない純。田舎に閉じ込められた自分と義母を重ねる伊尾。変わらない町―。そんなある朝、父親殺しの犯人が逮捕され……。郊外の気怠い空気とそれぞれの感情が混じり合い、物語は疾走していく。

2020年7月31日よりテアトル新宿ほか全国ロードショー
(C) 2020『君が世界のはじまり』製作委員会
配給:バンダイナムコアーツ

(執筆者: ときたたかし)

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情報提供元:ガジェット通信
記事名:「映画『君が世界のはじまり』金子大地インタビュー:「官能的なシーンにもなったりしますが、共感できる要素も多かった」