以前、ガジェット通信でもご紹介した『ぼくたちに、もうモノは必要ない。』著者、ミニマリストの佐々木さん。
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当時、部屋に本気でモノがないスッキリとした生活ぶりに衝撃を覚えたもの。
今度は習慣化について書かれた書籍『ぼくたちは習慣で、できている。』をワニブックスより出版。ご自身の習慣についてや、現在のミニマリスト生活についても率直に伺ってみました。
『ぼくたちは習慣で、できている。』著者へインタビュー
――― 今回は習慣化について書かれていますが、前作『ぼくたちに、もうモノは必要ない。2』にしようみたいな話もあったのでしょうか?
佐々木典士さん(以下、佐々木さん):一切考えてなかったですね。モノを手放すことに関して、もちろん新しい情報もありますけど、ミニマリズムについてはほぼ書き尽くせたなと思っているんです。やっぱり同じような内容を書くのって辛いと思うんですよね。
“ミニマリストを職業にしよう”とも思ってなかったですし。同じことばかりすると飽きちゃいますし。次は違うテーマのものにしよう、と最初から決めていました。
『ぼくたちは習慣で、できている。』も“2”とか作らないです。よくよく考えると『ぼくたちに、もうモノは必要ない。』の本の中にも習慣のことも書いていました。テーマはすでに芽生えていたんです。モノが少なく、服の枚数も少ないから洗濯をちゃんとするとか、食べたらすぐお皿を洗うとか、毎日ちゃんとやるようになるんですよ。
ぼくは自分のことを家事ができない人間だと思っていたのですが、モノが少ないとできるようになった。性格が変わったわけではなく、環境次第で人が変わり習慣になる。そこが面白いなと思いました。
習慣化のコツは時間割を作ること? 「ジムへ“やる気が出たら行こう”だと行けない」
――― 習慣化についてですが、どこで「あっ、これは習慣づいたな」という時期というのはあるのでしょうか。
佐々木さん:タイミングはいろんな習慣によって違うのですが、「やらなきゃな」というときから、「やりたくてしょうがない」という時期に入ったときですね。
ランニングとか特にそうなのですが、うずうずするというか、走りたくなる。もはややらないほうが気持ち悪くて、進んでやりたいものです。そうなると、習慣といえますよね。
習慣になる前は運動を始めるきっかけは時間にしていました。15時半になったらジムに行く。“やる気が出たら行こう”だと行けないので決めた時間で習慣をスタートするんです。フリーランスになって仕事するのでも、きっかけがないとダラダラしてしまうので、時間が来たら図書館に「出勤する」とか考えたり。小学生が夏休み前に作る時間割みたいな感じでやっています。
昼寝はオススメ “やる気”も15分で満タンになってる気がする
――― 時間割、しっかりしていてすごいですね。
佐々木さん:でも、その時間割はよく見たら3回とか寝てるし。(笑)働いてる時間も短いし、めっちゃゆるいんですけどね。
――― 時間割の中の“戦略的二度寝”ってどうやるのですか?
佐々木さん:戦略的二度寝はですね。朝5時に起きていろいろやってると、いったん9時頃に眠くなるんですよ。二度寝で寝る時間はだいたい15分なんですけど。アレクサに9時頃「15分か20分後頃起して」って言って……。
――― アレクサはご自宅にいらっしゃるのですね。
佐々木さん:アレクサは試しに購入してみたら意外とずっといて欲しいと思ったというか(笑)。15分程度の短い睡眠ですが、15分で夢も見るし、“意志力”も15分で満タンになってる気がして。NASAとかNIKEも“こういう短い睡眠(パワーナップ)”勧めてるみたいですよ。意識高い会社じゃなくても普通の会社に欲しいですよね。昼寝できる施設。
――― あれ、昼にもう一度寝てるんですか。
佐々木さん:あ、15時ぐらいにも寝てるんですよ。寝まくってるな……。
2回パワーナップを取ってるんですが、朝9時の時間帯はさすがに“パワーナップ”というより二度寝だな、と思って“戦略的二度寝”って書いてますね。
――― お昼寝より「“パワーナップ”しています」のほうがいいかもしれないですね。
佐々木さん:そうそう。戦略的二度寝も“戦略的”って言葉をつけとけばあえてやっているようには見えますね。“戦略的”遅刻とかもありうるかも。(笑))10分の昼寝を作った学校は、成績があがった事例とかもありますし、逆に効率よくなるよ、というのが伝われば嬉しいです。
習慣化の記録はアプリ『Way of life』を利用
ーーー 著書『ぼくたちは習慣で、できている。』に習慣化の記録アプリの話がありましたが、どんな感じで使っていますか。そのほか興味のあるアプリやガジェットがあれば教えてください。
佐々木さん:『Way of life』というアプリを使っていますね。『Way of life』はiphoneアプリなので、アンドロイドだったら『Momentum(モメンタム)』とかありますね。
ーーー いろいろ試して『Way of life』のアプリになったのですか?
佐々木さん:そうですね。これが一番シンプルだったので。記録をみると、たとえばヨガを続けたいけど、この時期はできなかったな、とか。達成率とかグラフで把握することができるんです。
記録してないと「最近結構いい感じにできてるな~」と、自分では思っていても甘すぎりたりするんですよね。記録は冷徹で嘘つかないですから。
ーーー 記録自体をサボることはありますか?
佐々木さん:記録自体も習慣づいてないと忘れちゃったり「あっ、やってない」という時は、記録したくないので、「この日はなしね!」とスキップする機能を使ってしまったり。食べすぎて体重増えているだろうなーという時は体重計乗りたくないのと一緒で、サボりたくなるという……。まず記録を習慣づけるのは大事かもしれない。
ーーー 決まった時間に記録しますか?
佐々木さん:これは、僕は夜ですね。夜、寝る前に一日の記録をしています。
――― アプリは増やしたり減らしたりですか?
佐々木さん:ミニマリストの人だと「アプリは5つだけにしてます」という方もいるのですが、僕は、アプリを結構試して、入れたり減らしたりしてますね。
習慣について使っているアプリだと、数を単純に数えられる『+1』のアプリも入れています。Twitterを開きたい、けど見てしまったら時間がかかるな、という時に代わりにこのアプリを開くんです。このアプリは単純に数を数えるアプリで、タップすると数が増えていきます。
例えば、足を組むとかやめたいクセがあるじゃないですか。その癖が出そうな時に、代わりに『+1』を押すんです。ただ我慢するのではなく、他の行為をすることで何かしたいという欲求を満たすんです。アプリにTwitterという項目を作って、それが10溜まると10回我慢できたんだなという達成感もあります。そして10分、15分経ったら、見たいって気持ちもなくなったりするんで。欲求って永遠じゃないんだな、というのがわかりますね。
モノが必要ないならお金は何に使っているの? 率直に聞いてみた
――― 編集部の物欲の強いモノ好きスタッフから、質問がありまして。モノがない暮らしの場合、印税とか儲かったものはどうやって使っているのですか。
佐々木さん:印税や海外の版権は会社を辞めるまでは赤十字への寄付と、会社に入れていました。でも、今の時代お金ってモノにじゃなくてもいくらでも使えるんですよ。もともと旅とか経験に使うってところがあったのと、クラウドファンディングやったりとか。クラウドファンディングとかは家賃より多く使う月もあったりしました。
――― どういったクラウドファンディングに使われたりしたのですか?
佐々木さん:ジビエの工場を作るみたいなのだったり、本屋だったり、コミュニティ、場所づくりが多いですかね。廃校を活かして3Dプリンタとかものづくりの場所を作るプロジェクトとか。
こういう人との関係性にお金を使うというのはこないだイベントで話したPhaさんが早くやっていて。「1000円で漫画を読むより、ニートに1000円渡して何をするのか見たほうが面白い」というのをもう2012年くらいの本に書いているんです。1000円渡してそれをコンテンツとして楽しむというような。
欲しいものはもうあんまりないなー、という人も結構いると思うですよ。そういう人は人との関係性に使っているんじゃないかな。
僕も、友達が作っているさくらんぼとかビワとかそういうもの買ったりよくしてます。普通のものより高いんですけど、自然農法だったり有機農法ですごく美味しんです。それに友達から手書きでメッセージついたりしてなおさら嬉しかったり。
まあ……僕も物欲もありますよ。アレクサいますし(笑)
今は、試してみていらないなと思ったら『メルカリ』で高く売れるので。
『メルカリ』でどんどん回す? 手放す習慣のハードルが下がっているらしい
――― 『メルカリ』とか使ってるんですか?
佐々木さん:使ってますね。手放すという行為は『ぼくたちに、もうモノは必要ない。』を出した時よりハードルは遥かに下がっていますね。
例えば、この本『ぼくたちは習慣で、できている。』も300円くらいで読めるんですよ。
――― えっ?
佐々木さん:定価1200円で買って発売直後ならメルカリで1200円で売れます。かかる発送費が200円。メルカリに入れる手数料が120円くらいで、だいたい300円で読めるわけです。
本だけじゃなくて大概いろんなものが今そうですよね。だからちょっと試してみるハードルも低いですし、、まさに所有から利用へという形に移りつつある。。。
「ワンシーズンに服を30着以上着ていますが、どんどんメルカリで回してるから、手元にはいつも10着しかありません」という方のもいると思うんです。その状態はミニマリストなのかなんなのか?
そうなってくると、モノが多い少ないって一面的に言えないんじゃないかな、と思ったり。
小さい習慣から達成してみてほしい
――― モノ好きのスタッフからの質問なのですが、モノがなくて良かったら何を目標・目的にして生きていますか?
佐々木さん:ずいぶんざっくりしていますね(笑)
僕の場合は好奇心だと思いますね。『ぼくたちに、もうモノは必要ない。』を書いたときは幸せについて根本的に考えたいな、と思ったし。
『ぼくたちは習慣で、できている。』だと、運動するとか早起きするとかやっぱり最初できなくて。でも掃除や片付けはすぐにできるようになったよな、この違いはなんだろう? という疑問が生まれてきて。
しれで意志力のことを脳科学的に知りたい、と思ったり。ぼくは才能というのは「与えられる」ものじゃなくて、習慣によって後から「作られる」ものだと思っているので、才能というものを解き明かしてみたいとも思いました。そういっ好奇心を執筆することによって満たすというか。わかったことを本にするんじゃなくて、自分でもわからなかった疑問を解決しながら書いています。の時感じている好奇心をを自由に満たしたい。
――― 最後に読者へメッセージをお願いします。
佐々木さん:自分なりの習慣を作ってほしいな、と思います。忙しい人は「なかなか習慣なんて……」といったこともあるかとは思うのですが、例えば、早起きの習慣で、昨日より5分はやいとか10分はやいだけでも、1日のスタートを切る気持ちは変わってきます。毎日5分昨日より早起きすれば、12日で1時間早く起きられます。こんな風に小さい習慣から達成してみてほしいですね。
――― 小さい習慣だとオススメは早起きですか。
佐々木さん:早起きは習慣の中でも結構レベル高いですね。僕のオススメはやはり片付けですね。歯磨き中、空いている片方の手で、部屋の中のいらないもの探すとか、ドライヤー中にスクワットするという人もいますし、そういう小さな習慣からでも達成していけば、より難易度の高い習慣にチャレンジできるようになると思います。
――― ありがとうございました!
……と、ここまででインタビューは終わりなのですが、ここからは好奇心旺盛な佐々木典士さんにインタビュー終了後なぜかインタビューされた記者の話です。
おまけ。読むとすぐ習慣化したくなった記者の話
佐々木さん:ビジネス書って何か答えがあるかもと、次々新しいものを読んでジプシーになる方も多いんですよね。この本はだからそういう近道はないよ、という地味な本なんです。とにかく毎日コツコツやるしかない。そしてそのためには習慣が有効です。
記者:あ、でも著書を読んだ時点で何か習慣化しよう! という気分はアガりましたね。
佐々木さん:えっ、何か習慣に始められましたか?
記者:絵を描こうというのは少し前から行っていたのですが、読んでからは、毎日「# 5分だけ描く」というものを始めました。
佐々木さん:へー、Twitterですね。絵はどうやって描いてるんですか?
記者:いろいろですけど、iPad Proと Apple Pencil。あとは、紙とペンと油絵ですかね。
佐々木さん:僕もipadでお絵描き始めようと思ってるんですよ。
記者:おすすめですよ! iPad Proと Apple Pencilのみだと小スペースなので。
佐々木さん:“iPad Pro”のお絵描きアプリは何をつかってるんですか? あっ、アプリいっぱいありますね……。
記者:お絵描きアプリは“Procreate”と“Paper”を使っていますね。結局多くの人が使ってるアプリのほうがわかんない操作を調べやすいので。
佐々木さん:絵を描いたり文章を書いたりって大人になると「プロになれたり、お金になるわけでもないし……」という理由でやめてしまったりするけど、子供たちがキャーキャーいうような美術の時間・図工の時間が大人にもあった方がいいと思うんですよね。
これもぜひ記事に反映させてくださいね。本読んだらやる気でたみたいなこと。(笑顔)
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