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ARスマートヘルメットが建築の現場を変える


ARヘルメットを付けた作業者


建設業では、しばしばVR技術が利用されている。


VRを使えば、実際の工事に取り掛かる前の段階で顧客に完成後のイメージを掴んでもらうことができるからだ。設計図や3Dモデルを使った完成予想図を見せるよりも、VRで体験してもらえばギャップを埋めることができるだろう。


デザイナーと現場の作業者がすり合わせを行うときなどにも利用でき、建設業とVRの相性は良いと言えそうだ。


一方で、ARを建設の現場に導入する取り組みも行われている。建設作業の途中で図面を表示させたり、検査を行うときに壁の向こうにある配管を表示したりと、用途は豊富だ。


DAQRIのスマートヘルメット


DAQRIのスマートヘルメット


ターゲットは建築現場


DAQRIが開発したスマートヘルメットには、工業生産の現場、特に建設・建築の現場で使用することを想定したAR機能が搭載されている。建築家やエンジニア、そしてデザイナーといった人たちがこの製品のターゲットとするユーザだ。


このスマートヘルメットを使えば、建物の構造情報モデルを「装着可能な形で」工事の現場に持ち込むことが可能となる。ARによって設計の空間的な理解を容易にし、設計上の誤りの早期発見を助けてくれる。平面図よりも直感的に理解できる情報は、迅速な判断を可能とする。


DAQRIのチーフプロダクトオフィサーであるRoy Ashokは、スマートヘルメットが現場の作業者に判断の権限をもたらすという。


「これがあれば、現場で判断を下すことが可能になります。シフトの終わりを待って上司に確認を取る代わりに、その場で意思決定が行えます」


こうした性質が上手く発揮されれば、建築に当たってのコスト削減や作業効率の向上に繋がりそうだ。


DAQRIはMortenson ConstructionやAutodeskと協力して、このスマートヘルメットの短期試験を行っている。Mortenson Constructionは試験の一環として、ミネアポリスのヘネピン・メディカルセンターの建設時にこのヘルメットを使用している。


まだ開発段階なので、ヘルメットは一つ15,000ドル(170万円)とかなり高価だ。しかも、まだその全性能を発揮できてはいないようだ。担当者は、ビルの情報モデルを現場に導入するのはヘルメットが持つ能力の25%に過ぎないという。


ARデバイスの失敗例としては、Google Glassがある。だが、このヘルメットはGoogle Glassと異なり、業務用だ。そのためプライバシーへの懸念は少なく、自然に受け入れられていくかもしれない。


ハードウェアの性能


ヘルメットには、三つの異なるタイプのカメラが搭載されており、全てのデータを組み合わせてユーザの位置を特定する。


最初は166度の広角グレースケールレンズだ。周囲の状況を認識し、1cm単位の正確さでユーザの場所を割り出せる。


次に、深度の測定が可能なIntelのRealSense LR200。空間の奥行きを認識し、ドア、窓、テーブルといったオブジェクトの位置を知らせるという。空間にバーチャルなオブジェクトを配置し、それを記録させることも可能だ。


最後に、熱を感知するカメラがある。3Dレンダリングされたオブジェクトに温度の数値を加えて表示したり、温度に合わせて視界に入るオブジェクトを塗り分けたりといった機能を持ち、異常の発見に利用できる。


システムは完全にハンズフリーで動作し、頭の動きや視線の動きに反応する。


現場でARを使う難しさ


ARヘルメットを付けた作業者


ARを建築現場や工場で使うことにはメリットもあるが、危険性もある。


作業の現場では火花が散っていたり、高圧電流の流れる電線が露出していたり、触れれば指が飛んでしまうようなスピードで回転するファンがあったりする。他のARデバイスでも言えることだが、デバイスの操作に気を取られてしまえば非常に危険だ。


当初、スマートヘルメットの操作には手によるジェスチャーが採用される予定だった。


ハンズフリーの操作体系に変更された理由の一部は、こうした危険の存在だ。ヘルメットに指示するために動かした手が、電線や機械のスイッチに触れてしまうこともあり得ないとは言い切れない。


もう一つの理由は、純粋に信頼性が低いからだ。ヘルメットの開発が開始された頃、手によるジェスチャーは99.99%の信頼性が確保されるほど成熟していなかった。これがユーザの疲労に繋がる可能性があるため、ハンドジェスチャーによる操作の採用は見送られたのである。


 


安全性を考えてデザインされたヘルメットは、工業の現場を大きく変える可能性を秘めている。元々ヘルメットを着用する現場であれば、新しいデバイスを身につけることへの抵抗も少ないだろう。


試験に使われたものは15,000ドルと高価なので、製品版でいかにコストを下げられるかがこうしたデバイスの普及を考えるポイントになりそうだ。


 


参照元サイト名:Redshift

URL:https://redshift.autodesk.com/augmented-reality-in-construction/


参照元サイト名:DAQRI

URL:https://daqri.com/products/smart-helmet/


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