Meta社は、同社ブログ記事において、ARバイザー「Meta 2」がSteamVRに対応することを発表した。
ARホログラムとVRオブジェクトのシームレスな表示が可能に
2017年9月6日付の同社公式ブログ記事は、ハイエンドARバイザーMeta 2がSteamVRに対応することを発表した。
Meta 2とは
「Meta 2」とは、Microsoft社が開発しているHoloLensのようなハイエンドなAR体験を可能とするARバイザーである。
同バイザーの最大の特徴は、HoloLensに迫るグラフィック能力を有しながら、その価格がHoloLensのおよそ1/3の$950(約¥103,000)であることだ(HoloLensは$3,000)。
同ARバイザーのグラフィック性能は、以下のデモ動画を見るとわかる。ユーザーの操作に対するレスポンスがHoloLensに比べてやや遅いことは否めないが、まだ開発版であることとその低価格を考慮すると、HoloLensを脅かすライバル・デバイスであると言える。
SteamVRに対応する意味
以上のようなMeta 2が、VRゲーム配信の世界最大のプラットフォームSteamで採用されている規格SteamVRに対応するとは、何を意味しているのだろうか。
同ARバイザーがSteamVRに対応することによって、同じくSteamVRに対応しているVIVEのVRコンテンツにアクセスできるようになるのだ。このことによって、同一のVRオブジェクトをMeta 2ユーザーはARホログラムで、VIVEユーザーはVRオブジェクトでそれぞれ同時に見ることが可能となる。
Meta社は、さらに以下のような機能を同ARバイザーに実装する予定だ。
- ・ハンドジェスチャー・コントロールの実装
- ・光学的SLAMトラッキングの実装
- ・VIVEコントローラーへの対応
以上の機能のうち、光学的SLAM(Simultaneous Localization And Mapping:同時位置測定マッピングの頭文字)トラッキングとは、ARバイザーに実装されたトラッキングセンサーを活用して、リアルなモノをARホログラムあるいはVRオブジェクトに変換する機能を指している。
このSLAMトラッキングは、今年末に一斉にリリースされるスタンドアロン型VRヘッドセットにおいて注目されている技術である。事実、HTCと共同してスタンドアロン型VRヘッドセットを開発しているQualcomm社は、SLAMトラッキングを可能とする画像処理技術を発表している。
Meta 2にSLAMトラッキングを実装することによって、同ARバイザーから見えるリアル・オブジェクトをARホログラムおよびVRオブジェクトに変換することが可能となる。
以上のような開発プランを実行することで同ARバイザーが目指しているのは、ARユーザーとVRユーザーでシームレスにビジュアル体験をシェアすることだ。もっとも、こうしたビジョンは、MicrosoftもHoloLensとWindows VRヘッドセットを使って実現しようとしてる。
Meta 2は、HoloLensを擁するMicrosoftに技術的にキャッチアップすることで、ハイエンドAR市場における「Microsoftのライバル」という立場をあくまで堅持するつもりのようだ。
Meta 2カスタマーの声
このほど発表したSteamVR対応は、Meta 2のカスタマーに好意的に迎え入れられた。
3Dビジュアル・ソフトウェアを開発しているTechVizは、今回の発表に関して以下のようにコメントしている。
TechVizは、すでに幅広いVRとARデバイスのサポート業務に携わっています。
今回のMeta 2のSteamVRの統合には感謝しており、またMeta社がわが社をサポートしてくれることは、事業成功の近道だと思っております。
また。医療機関に対してCTスキャンした画像やMRI画像を3Dオブジェクトに変換する技術を提供しているVirtual Radiologys社は、以下のように述べている。
ARは、わが社の顧客にVRでは不可能なソリューションを提供しています。
それゆえ、(ARとVRをシームレスに接続する)Meta 2がSteamVRに対応するという新機能に関して、とても興奮しています。
現在、VRとARは機能的にもデバイス的にも別個のものとして捉えられている。しかし、近い将来、互いの差異を意識することなくVRとARを体験することが実現するかも知れない。
ARバイザー「Meta 2」がSteamVRに対応することを発表したMeta社ブログ記事
https://blog.metavision.com/the-meta-2-now-supports-rendering-of-steam-vr-applications
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