保育現場のデジタルトランスフォーメーションが進む中、特に注目されるのがICTデータの活用です。約9割の保育園が運営改善や保育の質向上にICTを導入しており、その利用状況や今後の方向性についてを探っていきます。いったいこれまでどのような変化があったのか、興味深い調査結果をもとに深掘りしていきましょう。
株式会社明日香が運営する保育研究プロジェクト「子ねくとラボ」の調査によると、2025年の時点で約9割の保育園がICTデータを運営改善や保育の質向上に活用していることが明らかになりました。この数字は2022年と比較し、14.9ポイントの増加を示しています。今回の記事では、保育園におけるICT活用の具体的な状況とその背景を探ります。
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調査によると、保育園で最も多く導入されているICT機能は「園児台帳の作成・管理」で、57.7%の園が利用しています。他にも「保護者との連絡」や「職員のシフト作成機能」など、多岐に渡る機能が導入されていることが分かりました。また、収集しているデータの中で「子どもの食物アレルギー」が最も多く、55.8%でした。これに対し「子どもの健康状態」を扱う割合は48.1%に減少し、2022年の調査結果と比べて18.6ポイントも低下しました。
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収集したデータについて、81.7%の保育園がその分析や振り返りを行なっており、これも2022年から9.2ポイントの上昇を示しています。特に、収集したデータを「運営改善や保育の質向上」に十分に活用できていると答えた保育園は88.4%に達しており、このことから保育の質向上に向けた期待が高まっていることが伺えます。
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さらに、今後集めたいデータとして約66.3%の保育園が「子どもの生活リズム」を挙げており、2022年よりも16.3ポイント高い結果となりました。これは、教育活動や健康管理の質向上に対するニーズの波を示しています。
一方で、ICT活用の導入に関連した課題も浮き彫りになりました。「職員の理解・協力が得られない」という意見は50.0%にのぼり、次いで「導入・運用コストが高い」が44.2%、「操作が複雑で使いこなせない」も43.3%と続いています。これらの課題解決に向けた取り組みが必要です。
今回の調査結果を踏まえ、保育業界全体のデジタルトランスフォーメーションを進めることが求められています。保育現場でのICT導入は、業務の効率化や保育の質向上に繋がるため、適切な施策と職員への教育が今後の鍵となるでしょう。
このように、保育園におけるICTの活用状況は着実に進展してきており、今後のさらなる展開が期待されます。保育の質向上を目指すためには、ICTによるデータ収集と分析が不可欠であり、園が一体となってその目的に向かっていく姿勢が重要です。詳しくは「株式会社明日香」の公式ページまで。
レポート/DXマガジン編集部熊谷