買い物をする時あちこちで見かけるようになった「dポイント」。NTTドコモユーザー以外でもポイ活(=ポイントをためる行為)のために、ポイントプログラム「dポイントクラブ」に加入する人が増えています。
その「dポイントクラブ」が、2022年6月3日に大幅リニューアル。直近3か月のポイント獲得数が100ポイントからと、よりランクアップがしやすく、ポイントを多くためやすくなるといいます。
今回のリニューアルについて、その狙いと、ポイ活民が最も気になる「dポイントクラブ」の将来像をNTTドコモの担当者にうかがいました。
話をうかがったのは、NTTドコモの山本さん。インタビューはリモート形式で行いました。
■ リニューアルの内容
まず、今回の「dポイントクラブ」リニューアルのおさらいから。街やネットにおける加盟店での買い物や、ドコモのサービスを利用してdポイントを多く獲得するほど、それ以降でよりポイントがたまりやすくなるものになりました。
会員のランクは5つに分かれ、直近3か月でのポイント獲得数が100ポイント未満だと「1つ星」。ここからは100ポイント以上で「2つ星」、600ポイント以上で「3つ星」、1500ポイント以上で「4つ星」、5000ポイント以上で「5つ星」となり、2つ星以上ではdポイントカード利用時のポイント獲得倍率が1.5倍~2.5倍にアップする仕組みです。
また、ドコモ回線契約者向けの特典もリニューアル。「長期利用ありがとう特典」として、誕生月に「d払い」の還元率が継続利用期間3年以上、6年以上、10年以上の場合、ランクに応じて2%~20%アップします。
■ リニューアルの狙いは?
--dポイントクラブのリニューアルとしては、2018年にドコモユーザー以外にも広く「dポイント」を拡大させて以来になると思いますが、今回の狙いはどのようなところにあるのでしょうか?
【NTTドコモの山本さん】
dポイントは2015年12月にスタートしたのですが、おかげさまで利用者数が右肩上がりでして、会員数は直近では8700万人、同時に加盟店様も多くなっています。そこで今後は、よりdポイントを使っていただけるように、魅力的だと思っていただけるようにしたい、というのが主な目的です。
--これまでのdポイントクラブについて、会員からはどのような声が上がっていたのでしょうか?
街のお店や、ネットでの買い物でdポイントがたまる・使えるというのが魅力だ、という声を多くいただいております。そこで、街のお店やネットでの買い物で、これまで以上にポイントがたまりやすい形に改定した、というところです。
--今回の改定を通じて、どのような効果を期待してらっしゃいますか?
これを通じて、dポイントをメインに使われるお客様が増えるとありがたいと感じていますし、将来的にはdポイントをきっかけに、ほかの「d払い」や「dカード」など弊社の決済サービスやドコモ回線、2022年3月にスタートした「ドコモでんき」といったサービスの利用につながれば、と考えています。これらのサービスを利用することでポイントもたまりやすく、ランクも上がっていきますから、普段のお買い物で利用できるポイントも増えると思います
■ 会員ランク改定について
--今回のリニューアルでは、会員ランクの決定基準がこれまでの「直近6か月」から「直近3か月」のポイント獲得数となり、そして2つ星の基準が「600ポイント」から「100ポイント」、3つ星では「1800ポイント」から「600ポイント」となりました。この基準の見直しについてうかがいたいと思います。
社内でも相当議論を重ねて、今回の基準が出来上がったわけなんですが、まず多くのお客様に「お得」を感じていただけるように、ということを重視しました。そこで2つ星と3つ星のハードルを従来より下げて、少しお買い物されればランクアップする、という部分と、上位ランクのプレミアム感も維持するという部分を両立させる形にしています
--従前の「6か月間」から「3か月間」と、期間を短く区切るようになった理由は、どういったものなのでしょうか?
これまでの6か月という期間ですと、どうしてもポイントをためるというモチベーションの継続がしづらいのではないか、という点から、半分の3か月にして、さらに2つ星、3つ星の基準を下げることで、ちょっと頑張れば届く、とモチベーションを維持しやすい設計にしました。
2つ星の基準となる100ポイントを例に挙げると、ドコモ回線のご契約者ではない場合、100円で1ポイントなので1万円のお買い物が必要ですが、ドコモ回線をご契約いただいていますと、月々の利用料金が3000円ならば3か月で90ポイント、これに1000円分のお買い物で100ポイントに到達します。
--ドコモ回線のユーザーにとって「お得感」ある仕組みはそのままなんですね。会員ランクごとのポイント獲得倍率アップ特典については、どのように考えて設計されたのでしょうか?
今回2つ星で1.5倍、3つ星と4つ星で2倍、5つ星で2.5倍という特典をご用意したんですが、現在街のお店では複数のポイントプログラムに加盟されているケースがあり、利用者様でどのポイントをためるか選べるようになっています。そういった場合にdポイントを積極的に選んでいただけるように、という思いから倍率を設定しております。
■ スマホアプリの見直しについては?
--現在スマホアプリとして「dポイント」と「d払い」が提供されていて、相互がシームレスに連携する仕組みになっていますが、今回のリニューアルを機にアプリ側の機能で考えていることはありますか?
もちろん、日々使いやすいものになるよう改良を重ねているところですが、今回の会員ランク改定を受けての改良も続けています。自分がどれだけポイントをためていて、あとどれくらいで上のランクにと到達するかなど、アプリ上で簡単に確認できるように改善等もしていきたいと思っています。
--アプリ上で次のランクまでの必要ポイント数が確認できれば、より積極的に使っていこうという動機づけになるかもしれませんね。
やはり、ユーザーの皆さんが「どれだけためているか」という実感だったり、特典を提供しても「どれだけお得になっているのか」というのが分からなかったりだと、手応えを感じにくいと思いますので、そういう点をしっかり分かりやすく、アプリを改善していくというのは必要だと思っています。
■ 長期ユーザーに対しての特典について
--ドコモ回線を長期にわたって契約しているユーザー向けの特典として、従来の「ずっとドコモ特典」でポイントが付与される、という形から「長期利用ありがとう特典」として、誕生月の間「d払い」の還元率がアップされる形に変わりました。この点については?
これまで「ギガホ」「ギガホライト」のプランをご契約いただいている方に、感謝の気持ちをお伝えする「ずっとドコモ特典」を進呈していたんですが、その一方でエントリー制を採用していたため、知らなかったり忘れていたりでもらえなかった、というお声も頂戴していたんです。それをどうするか、というのを社内でずっと検討しておりました。
--今回の「長期利用ありがとう特典」は、エントリー不要で自動的に契約年数に応じて「d払い」のポイント還元率に反映される作りに変わったんですね。
長期ご契約いただいているお客様が、どういったサービスを利用されているかを見ていまして、そういった中で「d払い」を利用される方が多かった、というのを反映させた形になります。進呈ポイントの上限につきましても、従来の3000ポイントから5000ポイントに引き上げました。「ギガホ」をお使いのお客様にとっては、よりメリットがあるのではないかと考えています。
■ dポイントプログラムの未来像は?
--街中で「d払い」に対応するお店も増え、また「ドコモでんき」といった新しいサービスもあり、dポイントをためる・使える機会が増えてきたと思います。今後「dポイントプログラム」は、どのように育てていこうとお考えでしょうか?
もちろん、パートナーさんあってのdポイントだと思っておりまして、使えるお店や場面を広げるよう取り組んでいきます。一方で3月から始まった「ドコモでんき」など、ドコモのサービスでもたまるという点も継続してやっていきたいと思っています。
--dポイントを利用できる場面についてはいかがでしょうか?
dポイント加盟店や「d払い」で使えるというのはもちろんですが、それ以外の価値ということに関しても考えていきたいと思っています。
直近ですと九州大学さんと一緒に実証実験して、混雑回避にdポイントが活用できないか試していたりですとか、あるいはウクライナへの人道支援にdポイントで募金できるといった、社会貢献やサステナビリティなことなど、新たな価値創造にも取り組んでいきます。
--これまでdポイントプログラムには、会員のランクごとに利用できる各種クーポンの存在がありましたが、今回のリニューアルでランクごとの区分けをなくし、一律にクーポンを利用できるようになりました。
クーポンについては、今回ランクに関わらず広く使っていただけるように、拡充する方向で改定しました。これまではクーポンがあっても利用されない方も多くいらしたので、より多くの方の目に触れるよう訴求していくという取り組みをしていこうと思っています。
--たとえば、ドコモユーザーに提供されている「my daiz」と連携して、現在ですと近くのdポイント加盟店が分かる形になっていますが、もう少し踏み込んで「クーポンが使えるお店」情報も提供する、といったことはお考えでしょうか?
具体的なことについてはまだお話しできない部分があるんですが、my daizはユーザーさんとの大切な接点だと思っていますので、そういったものも利用して「クーポンはお得なんだな」と感じていただけるようにしていきたいとは考えています。
■ ユーザーの反応はどのように感じている?
--dポイントプログラムのリニューアルが発表されたのは、2022年2月25日。それから1か月ほどが経過しましたが、現時点での反響はどのように捉えていらっしゃいますか?
おかげさまで多くのメディアの皆様に取り上げていただいて、同時に特設サイトも開設してユーザーの皆様にお知らせしているところです。
今のところ、少し頑張ればランクアップしてポイントが多くためられるという点に好意的な反応も頂戴していて、心強く感じています。まだまだ6月の新プログラム開始に向けて期間がありますので、さらにしっかりとお知らせして、メリットを感じていただけるように努力していきたいと思います。
(了)
取材協力:株式会社NTTドコモ
(取材:咲村珠樹)