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1人で100台のドローンを指揮できると証明!ロボット戦争の幕開けか!?


アメリカ国防高等研究計画局(DARPA)の「OFFSET」プログラムにおいて、1人の人間が100台以上のドローンを同時に制御できるかどうかの研究が行われました。オレゴン州立大学の研究者も参加し、実験は米軍の都市型訓練施設で実施されました。結果、1人のオペレーターが100台以上の異種ロボット群を効果的に監督できることが確認されました。実験では、作業負荷が一時的に増す場面があったものの、ピークは短時間にとどまりました。この成果により、災害対応や軍事作戦の効率化が期待されますが、通信の安定性やセキュリティ、倫理的問題など、解決すべき課題も多く残されています。

近年、ロボット技術の進歩は目覚ましく、特に災害対応や軍事作戦など、危険な環境での活用が期待されています。

しかし、複数のロボットを同時に制御する際、人間のオペレーターに過度な負担がかかることが大きな課題とされてきました。

そんな中、アメリカ国防高等研究計画局(DARPA)の「OFFensive Swarm-Enabled Tactics(OFFSET)」プログラムにおいて、1人の人間が100台以上のドローンを制御できるかどうかを検証する研究が行われました。

オレゴン州立大学(OSU)の研究者もこのプロジェクトに参加し、2024年2月にその成果を発表しました。

この研究の詳細は、2024年11月19日付でに『IEEE Transactions on Field Robotics』にて発表されました。

目次

  • オペレーターはドローンを何台まで操作できる?
  • 1人のオペレーターが100台以上のドローンの群れを制御できる

オペレーターはドローンを何台まで操作できる?

ロボット技術は、工場の自動化から家庭用掃除機まで、私たちの生活に深く浸透しています。

特に、災害現場や戦場など、人間が立ち入るのが困難な環境でのロボットの活用は、人命救助や任務遂行において重要な役割を果たしています。

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1台でも難しいドローンの制御。何台まで同時制御できるのか!? / Credit:Canva

しかし、複数のロボットを同時に制御する際、各ロボットの操作や監視に多くの人手が必要となり、効率性や安全性の面で課題がありました。

そこで、DARPAはOFFSETプログラムを立ち上げ、大規模なロボット群(スウォーム)の制御技術の開発を推進してきました。

スウォーム技術とは、昆虫の群れのように、多数のロボットが協調して動作し、個々のロボットが単独では達成できない複雑な任務を遂行する技術です。

この技術の実現により、少人数のオペレーターで多数のロボットを効果的に運用することが可能となり、災害対応や軍事作戦の効率化が期待されています。

実験では、地上ロボット(UGV)と空中ドローン(UAV)を組み合わせた100台以上のスウォームを使用しました。

オペレーターは、Smart Information Flow Technologies社が開発した仮想現実(VR)インターフェースを活用し、高度な指示を出すことでスウォームを制御しました。

米国陸軍の都市型訓練施設で複数回実施され、各フィールド演習では追加の車両が導入されました。

オペレーターは10分ごとに自身の作業負荷やストレス、疲労感についての情報を提供し、最終演習では生理学的センサーを用いて作業負荷が評価されました。

1人のオペレーターが100台以上のドローンの群れを制御できる

実験の結果、オペレーターの作業負荷はロボットの急な環境適応が必要な際や、複数の指示を同時に出さなければならない場面で一時的に高まることがありました。

特に、障害物を回避しながらの自律移動や、ロボット間の調整が必要なミッションでは、作業負荷が通常時の1.5倍以上に上昇することが観測されました。

しかし、この負荷の増加は比較的短時間にとどまり、各ミッションの転換時に数分間発生するのみでした。

研究者は、「全シフトにおける推定負荷の過負荷状態は全体のわずか3%にとどまった」と報告しています。

そのため、オペレーターは負荷のピークが発生した際も短時間の適応を行うことで、長期的な負担の蓄積を回避できたと考えられます。

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実験により、1人の兵士が100台のドローンを指揮できると判明 / Credit: Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部

全体として、1人のオペレーターが100台以上の異種ロボット群を効果的に監督し、任務を遂行できることが示されました。

これは、従来の理論で考えられていた人間の制御限界を超える成果であり、スウォーム技術の実用化に向けた大きな一歩と言えます。

この技術が実用化されれば、少人数の人員で大規模なロボット群を運用する道が開かれ、災害対応や軍事作戦のみならず、農業や物流、インフラ管理など、さまざまな分野での応用が期待されます。

もちろん、ロボット間の通信の安定性やセキュリティ、予期せぬ事態への対応など、解決すべき課題も残されています。

特に、大規模なロボット群がサイバー攻撃を受けた場合のリスクや、人間の判断を完全に代替できるかどうかなどの倫理的問題も今後の研究テーマとなるでしょう。

今後は、さらに多様な環境下での試験や、より直感的なインターフェースの開発が進められるでしょう。

このように、1人の人間が100台以上のロボット群を制御する未来は、もはやSFの世界だけの話ではありません。

戦争では一人の兵士の戦力が100倍にも跳ね上がるかもしれず、これが世界を混沌へと誘うかもしれません。

全ての画像を見る

参考文献

Just How Many Robots Can One Person Control at Once? A DARPA project overturns longstanding assumptions
https://spectrum.ieee.org/darpa-robot

One person can supervise ‘swarm’ of 100 unmanned autonomous vehicles, OSU research shows
https://news.oregonstate.edu/news/one-person-can-supervise-%e2%80%98swarm%e2%80%99-100-unmanned-autonomous-vehicles-osu-research-shows

元論文

Can a Single Human Supervise a Swarm of 100 Heterogeneous Robots?
https://doi.org/10.1109/TFR.2024.3502316

ライター

大倉康弘: 得意なジャンルはテクノロジー系。機械構造・生物構造・社会構造など構造を把握するのが好き。科学的で不思議なおもちゃにも目がない。趣味は読書で、読み始めたら朝になってるタイプ。

編集者

ナゾロジー 編集部

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