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ペキニーズと狆(ちん)違いとは?それぞれの性格や特徴についても解説


ペキニーズってどんな犬種?

ペキニーズ

Eric Isselee/shutterstock.com

みなさんは「ペキニーズ」という犬種をご存知ですか?ペキニーズは日本ではたくさん飼育されている犬種のひとつであるシーズーに似ています。中国を原産国とするペキニーズは「狆(ちん)」とよく似ているとも言われています。

では、ペキニーズと狆にはどのような違いがあるのでしょうか?この記事ではペキニーズと狆について詳しく解説していきます。ではまずペキニーズの特徴からみていきましょう。

ペキニーズの歴史

「ペキニーズ(Pekingese)」は名前通り、中国の北京を名前の由来としている中国原産の犬種です。祖先犬はチベット原産のラサ・アプソ、もしくあチベタン・スパニエルのどちらかと言われています。

ペキニーズに関する最も古い記録は8世紀頃ですが、ラマ教の教主から中国の皇帝に貢物として贈られていたことから紀元前から存在していたのではないかと考えられています。

ライオンに良く似た優雅な容姿をもつペキニーズは”獅子犬”とも呼ばれ、神聖な動物として秦の時代から中国の歴代の皇帝たちに飼われて愛されてきました。あの西太后が愛した犬もペキニーズだったようです。

ペキニーズは宮廷外へ連れ出すことは許されていない門外不出の犬として、宮廷内のみで繁殖と飼育が行われていました。中国だけに存在したペキニーズが官邸の外に持ち出され、イギリスに渡ったのは1,860年のことです。

アヘン戦争で中国と戦ったイギリスの軍人が宮廷に取り残されていたペキニーズを保護し、ビクトリア女王のために持ち帰ったことがきっかけとなります。この時保護され持ち帰ったペキニーズは西太后の愛犬だと言われています。

イギリスに渡ったペキニーズはビクトリア女王に可愛いがられ、王室や貴族だけに飼育されていました。そして時は流れ1,893年にペキニーズが一般に紹介されてドッグショーに出品され、あっという間に人気犬種となって広く飼育されるようになり現在に至っています。

ちなみに原産国の中国ではペキニーズは「京巴(ジンバー)」、英語圏では英語のつづりPekingeseを略して「Peke(ピーク)」とも呼ばれています。鼻ぺちゃの顔を意味する「Peke Face」がペキニーズの元になっている言葉ではないかとも言われています。

ペキニーズの性格

ペキニーズは可愛い外見をしていますが、猫のような性格と言われるほど独立心が強くてマイペースで、飼い主に依存していないプライドの高い性格をしています。

愛玩犬として古くから愛されていますが、見知らぬ人はもちろん、飼い主さんやその家族に対しても愛想良く振る舞うことはありません。飼い主さんやその家族以外には警戒心を抱きやすく、散歩中に他の犬に遭遇すると警戒して吠える子も中にはいます。

自分から他の犬に攻撃を仕掛けることはあまりしませんが、一度ケンカになると負けず嫌い気質をしているので、なかなか自分から引くことはありません。

ペキニーズの特徴

ペキニーズは体高15~20㎝、体重3~5㎏(オスは5㎏以下・メスは5.4㎏以下)の小型犬に分類されています。体全体が長い毛で覆われているため、体格自体ははっきり見ることはできませんが、胴体はがっしりしているため、抱っこすると見た目よりも重さを感じます。

そしてペキニーズの最大の特徴と言えば、何といっても長い被毛です。まるでライオンのたてがみのような毛が顔の周りを覆っています。さすが宮廷で飼育されていた犬種にふさわしい、気品と上品さを感じさせる外見をしていると言えるでしょう。

ペキニーズの被毛の色はさまざまなカラーが認められています。具体的にはクリームなどの単色をはじめとし、金色に黒がミックスした2色、3色が均等に配置されているパーティーカラーなどが挙げられます。

さらにペキニーズの特徴として、マズルの短さもあります。鼻がやや潰れたような鼻ぺちゃの顔立ちにつぶらな瞳が印象的な可愛らしい顔立ちが人気となっています。

ペキニーズの価格

ペキニーズの子犬の価格はおよそ15~25万円程度で販売されています。ペットショップではさらに高額で取引される傾向があるため、店舗にもよりますが30万円以上の価格が付けられていることもあります。

ペキニーズだけでなくどんな犬種にも言えることですが、子犬の価格が親犬の血統が大きく影響してきます。親犬がドッグショーなどでチャンピオンを獲得している場合は、必然的に子犬の価格も高くなっています。また人気のある毛色や、月齢が若い小さな子の方が高値が付く傾向にあります。

ペキニーズの寿命はどれくらい?

ペキニーズの平均寿命は12~15歳程度と言われているので、小型犬の標準的な平均寿命と言えるでしょう。もちろん個体差や飼育環境も寿命に大きな影響を与えますので、15年以上健康で長生きすることも可能です。

ペキニーズはマズルが短いので、他の犬種よりも体内の暑さを体外へ放出することを苦手としています。ですから夏の暑い時期は熱中症に十分注意し、冷房で室温管理されている環境を提供してあげるようにしましょう。

狆(ちん)はどんな犬種?

狆

Alena Kazlouskaya/shutterstock.com

続いてペキニーズによく似ている狆(ちん)の特徴をみていきましょう。

狆の歴史

「Japanese Spaniel」「ジャパニーズ・チン」という名前でも呼ばれている「狆」は、古くから日本人と共に暮らしてきた日本犬の一種です。狆という名前の由来は、”ちいさいいぬ”と言われています。

狆のルーツにはさまざま諸説あります。たとえば仏教が伝来した500年代に入ってきた、632年頃に朝鮮から贈られた、戦国時代に日本に入ってきた、日本の使者が中国もしくは挑戦から持ち帰ったなどの説が言い伝えられており、どの記録が正しいのか定かではありません。

また狆の特徴とも言えるマズルの短さや鼻はペキニーズの血統を強く感じさせるため、中国から朝鮮を経て日本に渡ってきたチベットの小型犬ではないかとも考えられています。

愛くるしい容姿をしている狆は、江戸時代には”犬公方(いぬくぼう)”と呼ばれた5代将軍徳川綱吉に江戸城で飼われ、当時は皇族の家や高級武士の家などでの飼育が一般的だったようです。

その頃は人間がうらやむような豪華で贅沢な生活を送っていたと言われています。上流家庭のみで飼われていた狆でしたが、庶民の生活が安定しゆとりができることで、一般家庭でも広く飼育されるようになりました。

長く日本人に愛されてきた狆ですが、日本開国と共にさまざまな洋犬が国内に広まり、狆の人気は低迷し、結果として頭数が徐々に次第に減ってしまいます。しかしイギリスやフランスの愛好家たちが交配を続けることで、再び狆の人気を確立することができました。

現在はチワワやトイプードルなどの小型犬が国内での人気を占めているため、狆は愛玩犬としてマイナーな犬種ですが、海外では狆に魅了されている愛好家が多く、人気が急上昇しています。

狆の性格

狆はとても聡明で、飼い主さんの様子やその場の状況をしっかり読み取ることができ、それに適した行動をとることができる賢い犬種です。そのため、人とも協調性をもって共に生活することができます。

ただ飼い主さんやその状況に敏感に反応することができるため、繊細で神経質な一面も備えています。攻撃的な行動をすることはありませんが、小さなお子さんがしつこく触るなど構いすぎると、自分から距離を置く猫のような行動をすることもあります。

また、狆の多くは大人しい性格をしています。穏やかで温厚な気質をしているのも狆の特徴と言えるでしょう。さらに人懐っこくて愛嬌のある性格をしているので、飼い主さんの側にいつでも寄り添ってきます。知らない人や動物とも仲良くすることができる人懐っこさが魅力です。

狆の特徴

狆は体高25㎝ほど、平均体重が2~5㎏の小型犬ですが、個体差が大きく小さい個体の子は1.5㎏、大きい個体だど6㎏以上の子もいます。体長と体高はほぼ等しいスクエアタイプの体型をしており、耳や首の周り、尻尾、足などの飾り毛が特徴です。

そしてペキニーズのようにマズルが短くてつぶらな瞳をしており、垂れ耳をしています。狆の被毛の毛色は白色ベースに黒、もしくは赤・赤茶色の班のみが公認カラーとして認められています。班は目周辺から耳全体にかけて左右対称にでていることが狆として望ましいとされています。

被毛はフワフワとしたシルキーのような手触りのロングコートのシングルコートです。基本的には抜け毛が少なくトリミングやカットを必要としているわけではないので、比較的お手入れがラクな犬種と言えるでしょう。

しかし被毛は長いので、絡まったり毛玉になったりしないよう、顔周辺やお尻付近だけを汚れ予防にカットすることができるかもしれません。いずれにせよ、定期的なブラッシングを欠かさないようにしましょう。

狆の価格

狆は10~40万円と幅広い価格が付いています。なぜなら狆の顔にある班模様にはそれぞれ名称が付いており、それが狆の評価と関係しているからです。班の位置、色、間隔などが評価に影響を与え、人気が高い模様であればあるほど高値で販売されています。

狆の寿命はどれくらい?

狆の寿命は12~14歳程度と言われています。犬の場合、大型犬よりも小型犬の方が長生きする傾向にあり、小型犬の平均寿命は12~15歳なので、狆の寿命は平均的と言えるでしょう。

しかし近年ペットの寿命は長くなってきていますので、健康管理をしっかりするなら15年以上元気に過ごすことも可能です。つまり個体差も関係していますが、飼い主さんの飼育環境次第とも言えるのです。


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