はじめに
モノづくりの分野において、二代目、三代目にあたる若い世代が、革新的な後継者となる傾向が高まる台湾。特に顕著なのが食文化です。食の安全を追求し、原始的な手法とテクノロジーを融合させた農業、酪農、養殖業を営む若者が市場の活性化を牽引しています。地鶏を育てる「元榆牧場」も、そのひとつ。人気商品の鶏エキス「滴鶏精」なら、トラベラーも手軽に試せます。
ブロイラー市場と養鶏法に新風を吹き込むブランドが誕生!
高雄発の「元榆牧場」は、3人の若者が起ち上げた地鶏のブランド。“サーフィン鶏”との別称を持つ黒羽地鶏を育て、生肉をはじめ、調理不要の加工品を販売し、注目を集めています。
オーナーの1人、陳立言氏は養鶏家の2代目。30数年にわたり地鶏を育ててきた父の背中を見ながらも家業を継ぐつもりはなく、名門・台湾大学の電機関連の大学院を出たのち、テクノロジー系の企業に就職。しかし2〜3年後に、ブロイラー市場が大手の独占市場になりつつある現状を知り、高雄に戻ることを決意。行き詰まった感のある今の養鶏法を改革すべく、妻の莊又端氏と共に立ち上がります。そこへフィンランドのアールト国立大学でEMBAを取得した親友の江本渝氏も加わり、父から受け継いだ土地で、オリジナルブランド「元榆牧場」を立ち上げるに至りました。
十分な運動、野菜の飼料、薬物不使用にこだわり、じっくり飼育。
「元榆牧場」というブランド名は“鶏肉は牧場で育つもの”という概念に由来。
“鶏思いの飼育”にこだわり、薬物不使用、低密度飼育、成熟化の三大理念に基づく養鶏を行っています。鶏たちは、十分な運動スペースのなか、陽の光を浴びながら走り回り、成長促進剤や抗生物質を打たれることなく、3食とも大豆やトウモロコシを食べ、通常は5〜11週で出荷となるところを、16週までじっくり時間をかけて育てられます。また、自動噴霧器による鶏舎の消毒を朝晩の2回行うことで、環境衛生にも万全を期しています。
江本渝氏は「台湾原産の黒羽地鶏は、元々とても活動的で、広々とした飼育空間が必要な鶏。牧場は2000坪もの広さがありますが、飼っているのはわずか5000羽あまり。平均すると1坪に2〜3羽という計算です。さらに、日当りのよい敷地内に数多の止まり木を設置して運動量を増やしているほか、植樹を行うことで木々が発するフィトンチッドを存分に浴びられるよう工夫しています。自然の恵みのなか、自由自在に駆け回る様は、さながらサーファーのよう。それが元榆牧場の黒羽地鶏が“サーフィン鶏”と呼ばれるゆえんです」と語る。
運動量の多い地鶏は、身が締まっていて弾力があるのが特徴。また、16週まで育てることで、低脂肪高タンパクの肉質になるそう。手塩にかけて育てた地鶏の肉は真空パックしてマイナス18℃で急速冷凍し、台湾全土に配送されます。
「我々3人にとって、養鶏は不慣れな分野でありましたが、自分たちがやっていることをただひたすら信じることで困難を乗り越えてきました。そして、異業種での経験や新しいテクノロジーの活用も“真に健康で安全な地鶏”を育てていく大きな力となっています」。
調理不要の加工品も大好評!
多角的な経営を目指す「元榆牧場」では、台湾の伝統食に関する研究、手軽に食べられる調理済み食品の開発にも意欲的。加工品なら、旅行者も滞在中に軽食代わりに食べることができますね。
地鶏の滋養を凝縮! 疲れた体にしみわたります。
その筆頭が“滴雞精”と呼ばれるスープエキスです。雞精は、台湾では栄養ドリンクのように飲まれているもので、競合メーカーは多数。「元榆原味滴雞精」は、水を一切加えず、弱火で10時間以上煮込む、伝統製法で作られています。臭みも脂っこさもない澄みわたる飲み口が特徴で、低脂肪で、アミノ酸、タンパク質はたっぷり。吸収率も高く、疲れた体に嬉しい一品です。
お酒好きなら、おつまみとして。ホテルで食すのに適した品々。
滞在中のおつまみにぴったりなのが、スモークチキンの「煙燻甘蔗雞」。こちらは、サトウキビで黒羽地鶏を丸ごと燻したもので、金色に輝く鶏からほのかに香るキャラメル風味、引き締まった肉質と食べ応えが特徴。人気メディアのリンゴ新聞で2020年のオススメお正月料理に選ばれたばかりの看板商品です。
台湾ローカルはスナック感覚でつまむ“塩茹で鶏”。
軽食の定番「鹽水雞」は、鶏の骨のスープで茹で、天然の塩と氷砂糖で味付けした茹で鶏。もちろん、うまみ調味料などは無添加。めんどりならではの自然な甘みと柔らかさを引き出した人気商品です。
台北市内の取り扱い店は多数。トラベラーも立ち寄る価値大!
「元榆牧場」ブランドの商品は、インターネットと小規模生産者マーケットでの販売を経て、高雄に第1号店をオープン。生肉の切り売りや各種商品の試食が人気を呼び、今では台北、台中、台南に直営店を展開するまでに。また、日本の生協に相当する「主婦聯盟生活消費合作社」や百貨店内のスーパーなどでも広く販売中。観光客が立ち寄りやすい場所で手に入るので、台湾の若き生産者の心意気を感じる味わいを、ぜひ確かめてみて。
◆元榆牧場
台北東門店
住所:台北市中正區金山南路一段94號1樓
電話:+886-2-2391-6535
誠品生活亞東醫院店
住所:新北市板橋區南雅南路二段21號B1
電話:+886-2-6637-7768#512
台北民生店
住所:台北市松山區民生東路五段14號1樓
電話:+886- 2-2747-4266
台中門市
住所:台中市西區健行路1049號3F
電話:+886-910-699260
台南府連店
住所:台南市東區府連東路51號(大東夜市近く)
電話:+886-6-200-5939
高雄美術館店
住所:高雄市鼓山區美術東五路48號
電話:+886-7-586-7457
高雄澄清店
住所:高雄市鳳山區文鳳路36號
電話:+886-7-780-8136