世界最大手のオンライン旅行サイト Expedia Group(エクスペディア・グループ)が、1,200人以上のホテル経営者を対象に行った新たな調査によると、ホテルチェーンは独立系の小規模ホテルに比べ約2倍の確率で、テクノロジー投資を優先することが明らかになった。
また独立系の小規模ホテルでは、チェーンホテルに比べ約1.5倍の確率で部屋のリノベーションを優先しており、ホテル経営者の間でテクノロジーへの投資スタンスにギャップが存在することが示された。
ホテル業界では、戦略的なテクノロジー投資によっていかに競争優位な状態を確保できるかが認識されるようになり、テクノロジーへの投資がますます重要になっている。
Hospitality Technologyの最新レポートによると、ホテルの54%が2019年のテクノロジー予算を増加させる計画であると回答する一方で、テクノロジーへの投資を減らす計画だと回答したのはわずか8%にとどまる。
しかし多くのホテル経営者にとって、テクノロジー導入のコストは引き続き大きなハードルになっている。調査対象となった小規模ホテルの約半数は、テクノロジーへの投資の決定は手頃かどうかに基づいていることを示している。一方、ホテルチェーンの半数以上は、既存システムとシームレスに統合できるかどうかでテクノロジーの採用を優先するようだ。
テクノロジーに対する投資が、ホテルの明暗を分ける可能性も
日本のホテル業界では、宿泊料金の設定を自動化するレベニューマネジメントツールや宿泊客のスマートフォンを客室の鍵として利用するスマートキーを導入するなど、テクノロジー投資を強化するホテルも増えてきている。
その一方で、スタッフのスキル上の問題から宿泊予約の管理を紙に書いて管理したり、電話対応がメインとなっているなど新しいテクノロジーを導入できない宿泊施設も数多くある。最先端のテクノロジーの導入を推進するホテルとそうではないホテルの間の格差は徐々に広がりつつある。
Expedia Groupのシニアバイスプレジデント Ait Voncke氏は「ホテルチェーンがテクノロジーへ多額の投資をしているのを目にするようになってきており、そのような投資ができない施設間との格差を広げる可能性が出てきている」と述べた。
Expedia Groupの調査によると、小規模な独立系ホテルのうち、4分の1がテクノロジー導入の最大の課題について複雑さを挙げており、また3分の1が使いやすさをソリューション評価時の優先事項と答えた。
最近では、ホテル業界に最先端のテクノロジーを持ち込むことで急拡大させているインド発のホテルチェーン OYO Hotels &Homes (オヨ・ホテルズ&ホームズ)の動きも見逃すことができない。
2013年に創業した OYO Hotels &Homes は、創業6年とまだ間もないベンチャーながら、全世界で110万室を有する世界第2位のホテルチェーン(客室ベース)に急拡大した。同社はビックデータやAI(人工知能)といった新しいテクノロジーをホテル業界に持ち込み、物件の契約締結にかかる時間を大幅に短縮し驚異的な拡大を実現している。
テクノロジーの進化はめまぐるしいが、ホテル業界ではテクノロジーに対する投資を早い段階で決めることができるかは、宿泊施設の将来の業績を大きく左右する可能性があると言えそうだ。