<全国高校サッカー選手権:大津4-0福井商>◇29日◇1回戦◇柏の葉
高円宮杯U-18プレミアリーグFINAL王者の大津(熊本)が、全国2冠へ好発進を切った。6バックの奇策を講じてきた福井商を粉砕。エースFW山下景司(3年)のゴールなど4得点で快勝した。
プレミア西地区得点王の山下景は、キックオフから程なくして、戸惑った。
「ビックリした。これまで5枚はあったけど、6枚は初めて」
最終ラインに6人を並べた守備陣形。ボールを保持する大津はアタックを重ねたが、枚数を割く福井商の壁に何度もはね返された。
それでも大津は妥協しない。攻撃の手を緩めない。「サイドから突破できる感触があったので、慌てずにできた」と山下景。圧力をかけ続け、前半36分、ついに最初のゴールをこじ開ける。DF野口悠真が右サイドから上げたクロスに、MF兼松将が頭で合わせて先制点。後半に入り、さらにリズムをつかむと、山下景の右足などで3点を追加した。
チームは夏の全国総体(インターハイ)で、まさかの1回戦敗退を喫した。初戦の難しさは身に染みて分かっている。山下景もこの日、序盤は思うような動きができなかったという。
「いろいろな思いを背負って戦う選手権は、いつも通りのプレーをすることが本当に難しい。そういう雰囲気の中で今日、勝てたことは良かった。1試合こなすことができたので、次は最初から普段通りのプレーができるようにしたい」
本来の姿を取り戻し、上積みを見せられれば、破れない守備網はない。U-18プレミアでは22試合で20得点。決勝まで進めば全6試合を戦う今大会は、首都圏開催以降では1大会最多となる10得点(08年度、鹿児島城西・大迫勇也)を目標に掲げる。
初戦。まず1ゴールを挙げた。31日の2回戦は札幌大谷(北海道)と戦う。14人目までもつれ込んだPK戦を制し、一丸となって立ち向かってくるはずだが、チームに2つ目の全国タイトルをもたらすべく、エースは得点を量産していく。【奥岡幹浩】