世界最大級のホテルチェーンであるマリオット・インターナショナル(マリオット)は、ヨーロッパを中心にAirbnbなど約1,500の民泊運営代行を手掛けるHOSTMAKERと業務提携を行い、民泊仲介サイト「Tribute Portfolio」をローンチしたことを発表した。
マリオットは、127を超える国と地域で6,500を超える宿泊施設を擁し、2017会計年度では220億米ドル以上の収益を計上している世界最大のホテルチェーン。
J・ウィラード・マリオットおよびアリス・マリオットによる創業以来、マリオット一族による経営指揮のもと、90年近く続くた同社は、昨今急成長を遂げる民泊市場に参入する。
HOSTMAKERは、ロンドンやバルセロナ、パリなどヨーロッパを中心に民泊の管理運営を手掛ける民泊代行会社。Airbnb向けに貸し出す物件の内装インテリア、物件清掃、インテリアの写真撮影、物件メンテナンス、チェックインサービスなど民泊向けサービスを提供する。
もともとはAirbnbに特化した民泊代行会社としてAirbnbの成長とともにサービスを拡大させてきたHOSTMAKERは、マリオットと手を組みAirbnbの競合となる民泊仲介サイトを立ち上げる。
マリオットの民泊仲介サイトの強みとは
マリオットが立ち上げた民泊仲介サイト「Tribute Portfolio」では、Airbnbのように民泊物件を探し宿泊予約することができる。しかし、民泊仲介サイトというとAirbnbやHomeAwayなどすでに多数のサービスがあるが、これらとの違いとはどこにあるのだろうか?
まず、「Tribute Portfolio」に掲載されている民泊物件は、ホスピタリティーのエキスパートによって審査された物件のみとなる点が特徴だ。また滞在期間中は、エキスパートのHostmakerが24時間滞在をサポート。
また、高速Wi-FIやベッドリネン、ホワイトタオル、バスアメニティ、ベビーベッドや子供用チェアなどアメニティも充実している。
Airbnbなどの民泊仲介サイトでは、アメニティやゲストサポートなどは物件オーナーであるホストに委ねており、オーナーによって提供品質に差があった。
さらにマリオットならではの特徴としては、Tribute Portfolioに滞在するとマリオットリワードやスターウッドプリファードゲスト(SPG)のポイントを貯めることも挙げられる。
Airbnbでは、マリオットリワードやSPGようなポイントプログラムは提供されておらず、特にマリオットを利用している宿泊客にとっては喜ばれるサービスとなりそうだ。
ローンチ当初はベータ版のためロンドンのみで200室からとなるが、ゲストから寄せられるフィードバックを基づきサービスの磨き込み行い、良い反応が得られれば利用可能エリアやサービスを拡充させていく可能性はある。
Airbnbの新サービス「Airbnb Plus」と競合関係
Tribute Portfolioのサービスは、内装インテリアにこだわったハイクオリティな物件を提供するものとなるが、Airbnbの新サービス「Airbnb Plus」にサービスコンセプトとして近い。
「Airbnb Plus」は、ハイスタンダードな厳選された住宅コレクションで「考えぬかれたデザイン」「快適である」「充実した設備」「行き届いたメンテナンス」を満たす認証済みの民泊を指す。
Tribute Portfolioのサービスは、Airbnbの中でもAirbnb Plusに近いサービスであると言えるが、物件のインテリアや設備を中心とした厳選であるAirbnb Plusに対して、インテリアや内装だけではなく、ゲストへのサポートへも力を入れている点はTribute Portfolioだけのメリットだ。
マリオットリワードやSPGといった世界最大のロイヤルティプログラムを持つマリオットは、ザ・リッツ・カールトン・リワードを含む3つのプログラムが並立していたが、2018年8月を目処に会員組織を一つに集客し、囲い込みを強化する。
3つのロイヤルティプログラムで1億1千万人の会員規模を誇るマリオットによる民泊市場への参入は、Airbnbにインパクトを与える可能性もありそうだ。