アメリカ・デンバーに拠点を置く、Boom Technology(ブーム・テクノロジー)は、超音速試験機「XB-1」をロールアウトした。日本時間10月8日午前2時(アメリカ東部標準時10月7日午前11時)から開催された、オンラインによるロールアウトイベントで公開した。
超音速試験機「XB-1」は、全長21メートルで、ゼネラル・エレクトロニック製のJ85-15エンジンを3基搭載。今年後半にも試験プログラムを開始し、2021年にもカリフォルニア州モハーヴェで初飛行を予定している。当初の計画からは3年以上遅れた。
ブーム・テクノロジーは、「XB-1」を活用し、安全で効率的な飛行を実現するための重要な技術を証明することを目指す。持続可能な代替燃料により、完全なカーボンニュートラルを達成するなど、環境への配慮にも力を入れる。
商用機として開発を予定する「Overture(オーバーチュア)」は、全長51.8メートル、全幅18.3メートル。巡航速度は、洋上はマッハ2.2、陸上はマッハ0.95。順高度は最大60,000フィートで、乱気流の影響を受けない。全席をビジネスクラスとした場合、55席から75席を配置できる。操縦はパイロット2人が担い、客室乗務員は4人が乗務できる。
ニューヨーク〜ロンドン間を3時間15分、東京〜シアトル間を4時間30分、東京〜サンフランシスコ間を5時間30分、シドニー〜ロサンゼルス間を6時間45分で結ぶ。大西洋横断路線は直行が可能であるものの、太平洋横断路線などの長距離路線は、途中給油が必要になるという。
ブーム・テクノロジーによると、「オーバーチュア」の機体価格は2億米ドルで、現在のビジネスクラスの運賃と同等の価格で利用できるように設計しているという。型式証明の取得は5機の試験機で2025年にも開始し、2029年にも取得することを目指す。
ブーム・テクノロジーは2014年に設立。日本航空(JAL)が2017年12月に1,000万米ドルを出資し、20機の優先発注権を得ている。植木義晴取締役会長もビデオで祝辞を寄せ、ロールアウトを祝った。この他に、ヴァージン・グループも出資し、2社から計30機の仮発注を受けているとしている。