ホンダは6月11日、従業員が持つ独創的な技術・アイデア・デザインを形にし、社会課題の解決と、新しい価値の創造につなげる新事業創出プログラム「IGNITION(イグニッション)」の全社展開を開始したと発表した。
さまざまな部門の従業員が持つアイデアや夢を実現することで、まだ世の中にないモノやコトを創造し、新しい風を起こしていく
イグニッションは、2017年にホンダの研究開発を担う子会社である株式会社本田技術研究所で開始したプログラム。開始以来、イグニッションにはたくさんの事業アイデアの応募があり、ホンダの事業と親和性が高い数点の提案は、すでに社内での事業化を目指し推進されている。
一方、ベンチャーを起業し、その特性を活かして取り組んだ方が、より早く社会に価値を提供できる提案もあったため、2020年に「社内での事業化」に加え、「ベンチャーを起業して事業化を目指す」という方法をイグニッションに追加した。
同日設立を発表した株式会社Ashirase(あしらせ)は、イグニッションのベンチャー企業第一号となる。
さらに、2021年4月からはイグニッションの全社展開を開始。これにより、すべての従業員が新事業創出にチャレンジできるようになった。技術者だけでなく、生産や営業、管理などさまざまな部門の従業員が持つアイデアや夢を実現することで、まだ世の中にないモノやコトを創造し、新しい風を起こしていく。
なお、イグニッションはベンチャーキャピタルと連携して実施しており、イグニッションの最終審査においては審査員として参画してもらい、投資家としての厳しい目で審査を受けている。また、イグニッションの審査過程において、提案者はベンチャーキャピタルのアドバイスや支援を受けることができる。
●「イグニッション」の特長
・勤続年数や所属部門に関わらず、日本のホンダ正規従業員は誰でも応募可能
・最終審査を通過したアイデアは、社内で事業化、あるいは起業しベンチャーとして事業化
・事業化判断までの期間は6カ月間を基本とし、期間中は専門スキルを持った社内人材によるタスクフォースチームが結成され、提案者をサポート
・審査過程において、ベンチャーキャピタルがアドバイスや支援を実施
・起業したベンチャーの独立性を担保するため、ホンダの出資比率は20%未満
このたびの発表に際して、同社の常務執行役員でイグニッションの審査委員長を務める水野泰秀氏は次のように述べている。
「ホンダには独創的な技術やアイデアと、人の役に立ちたい、社会に貢献したい、という熱い想いを持つ従業員がたくさんいます。イグニッションはそうした従業員の技術やアイデアを育て、形にし、新しい価値を創造して社会課題の解決に結びつけるプログラムです。そこに今回、起業という新たな挑戦の全社員向け展開を始めました。起業のハードルは非常に高いですが、このイグニッションをきっかけに、ホンダのチャレンジングスピリットをさらに活性化し、既存事業の枠を超えて、世の中にないモノ・コトを創造し、新しい風を起こしていきます」