旧車価格が高騰して久しい。なかでも歴代スカイラインGT-Rは人気の的で、世界中から引き手あまたな状況にある。特にケンメリGT-Rは200台以下と生産台数が少なかったこともあり、5000万円の値を付ける中古車もあるほどだという。4月25日に長野県の富士見パノラマリゾートで開催された富士見自動車博覧会には数台のスカイラインGT-Rが参加していたが、その中から最もオリジナルに近いと思われる希少なケンメリGT-Rを紹介しよう。
生産台数が197台とされている希少車がケンとメリーのスカイラインGT-R。1972年にフルモデルチェンジすると「ケンとメリー」というキャッチコピーが付けられた4代目スカイライン。先代の「ハコスカ」と呼ばれた3代目で追加設定されたS20型直列6気筒DOHCエンジンを搭載するGT-Rが、この4代目にも1973年に追加された。ところがS20型エンジンの数が少なく、当時発表された資料では197台しか存在しないとされていた。
余談だが筆者は過去に歴代スカイラインの専門店である「プリンスガレージかとり」の協力を得て、この台数を検証してみたことがある。市販されたケンメリGT-Rは車台番号が判明しており、KPGC110-000051から000245までの195台。カタログ撮影用として日産が保管してある2台を含め197台なのだが、ほかにも000011や000023、さらに000018と000021、さらには『旧車人』という本で取材したケンメリGT-Rはメーカー自ら車台番号を打ち替えて市販した事実を確認している。
入手当初はレース用部品だったマグネシウムホイールにワイドタイヤを履かせていた。ただレース用とはいえ14インチサイズだから今となっては小径だし、スポーティなタイヤが選べなくなってきた。
そこで試しにノーマルのスチールホイールに175/70R14タイヤを履かせてみた。これが大正解でケンメリGT-Rにはパワーステアリングが装備されていない。ワイドタイヤ時代は非常に重かったステアリング操作が劇的に軽くなり、運転がとてもラクになったという。それに今見るとオーバーフェンダーの奥に引っ込んだスチールホイールは逆に新鮮で、古いクルマらしい風情があると思えないだろうか。