
<マイナビオールスターゲーム2025:全セ7-10全パ>◇第2戦◇24日◇横浜
打って、走って、笑って、引き締めた。ソフトバンク山川穂高内野手(33)が「マイナビオールスターゲーム2025」の第2戦(横浜)を盛り上げた。5-0の2回、阪神村上から左翼越えの適時打を放つとあえて一塁でストップ。出場会見で約束していた二盗を試み、公称100キロ超えの巨体を揺らしたが、悠々アウトでスタンドのブーイングに包まれた。夢舞台をたっぷり満喫し、26日からはいよいよ後半戦がスタート。「大勝負」と気合を入れた大砲が、2差で追う首位日本ハム追撃を引っ張る。
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約束通りに巨漢の山川がスタートを切った。「シーズン中にはとても走るわけがないので。オールスターならではのところです」。二塁ベースを目指して100キロ以上の巨体を揺らしたが、捕手坂倉の送球で悠々アウト。「通算1個なんでねー、盗塁が。ハハハ」。有言実行の激走だった。
「みなさんに盗塁するって言ってたのもあるんですけどね」。山川は球宴出場会見で盗塁企図を宣言していた。5点リードの2回2死二塁の第2打席で、阪神村上から左翼越え適時打を放ったが、あえて一塁でストップ。「ヒットがいいなと思っていたので」。次打者の4番山本には「もし単独で一塁にいたら走るから、ちょっと待ってね」と事前に伝えていたという。アウトになると、オールスターにもかかわらず横浜スタジアムにブーイングが起こった。「ハハハ。すごかったですね。あれは。面白い面白い」。大笑いしながら、満喫した年に一度のお祭りを振り返った。
前日23日の第1戦は出場せず、この日も2打席で交代した。「もっと若い選手たちがこれからのプロ野球界を背負っていくと思う。若い子が楽しんでもらえたら」という気遣いからだった。「僕はもう、ちょっとふざけてすぐに代わろうと思っていた」。若きアーチスト清宮幸の本塁打や、牧のホームランダービー優勝にうれしそうにうなずいた。
オールスターが終われば26日の本拠地オリックス戦から後半戦がスタートする。チームは首位日本ハムと2ゲーム差の2位につけるが、今季最長6連勝中と波に乗って前半戦を終えた。「もう完全にスイッチを入れる。日本ハムに2ゲーム差ですよね。ここからがもう大勝負。絶対に打ちたい」と目の色を変えた。
打率は2割1厘にとどまるが、14本塁打、39打点はチームトップの数字だ。「なかなか状態が上がってこない前半戦でしたけど、ここは最後に。いいところに持っていきたい」。25日は福岡に戻り、個別調整を行う予定。「大勝負。しっかりやっていきたい」。オールスターの余韻が残る横浜の夜、山川の顔が引き締まった。【只松憲】