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JN2クラスではRC Fがレクサスブランドとして初の全日本優勝!


2021年JAF全日本ラリー選手権第3戦「ツール・ド・九州2021in唐津」が、4月10日(土)~11日(日)、佐賀県唐津市周辺で開催された。この唐津戦のステージはターマック。総走行距離283.13km、スペシャルステージ(SS)10本の総距離66.94kmとなる。

奴田原文雄がGRヤリスにスイッチして全日本ラリー初登場。

第2戦新城ラリーでは新車投入の予定だったGRヤリスが間に合わなかった奴田原文雄選手がこの唐津戦からエントリーとなり、全日本ラリーにADVANカラーが戻ってきた。また、2020年末の唐津戦でいち早くデビューしたDUNLOP CUSCOヤリスGR4は再び牟田周平/加瀬直毅組で参戦だ。




また、TOYOTA Gazoo Racingの2台にK-ONEの1台と、GRヤリスはJN11クラスに合計5台が参戦。一方、第2戦新城ラリーを制したWRX勢は、鎌田卓麻組は新城で負傷しリハビリのため欠場、そして新井大輝選手はラリー・サンレモに参戦するため今回の全日本をスキップしており、新井敏弘組のみの1台となった。

上位陣が拮抗したタイムでバトルを繰り広げたLEG1。

無観客での開催となるなか、レグ1(初日)は、奴田原文雄/東 駿吾組(ADVAN KTMS GRヤリス)がトップに立つ。それを1.4秒差で福永 修/齊田美早子組(アサヒ☆カナックOSAMU555ファビア)のシュコダ・ファビアR5が追う展開に。さらに3番手には勝田範彦/木村裕介組(GR YARIS GR4 Rally)が0.1秒差という非常に僅差で続いた。

SUBARU WRX STIは新井敏弘組のみの1台に。

一方孤軍奮闘という状態となったWRXの新井敏弘/田中直哉組(富士スバル AMS WRX STI)は、SS1でトップタイムを叩き出したものの直後のSS2のでスピンにより大きなタイムロスとなり、初日レグ1でトップと25.9秒差と水をあけられてしまう。

勝田範彦/木村裕介組のGR YARISは4位フィニッシュ。

そして迎えたレグ2(2日目)。


6つのSSで構成されるその最初のSS5「白木木場1」で福永組がトップに立った。一方の奴田原組は5.4秒の差をつけられ4秒のビハインド。続くSS6「八幡1」は奴田原組がトップタイムで福永組に2.3秒差をつけ、さらにSS7「眉山1」は福永組がトップタイムを獲得するというように、SSごとのコースの性格によって車両の特性がタイムに現れるという展開に。そうしたなか、午前中のSS7を終了した時点でのトップは福永組。それを追う奴田原組は3.8秒差で続く。

サービスに戻りひと息つく福永選手。

福永選手は「八幡ならいけるが、白木木場のステージでヤリスとどう戦えるか、と思っていたのですが、白木木場でうまくタイムを稼ぐことができました」と午前中の走りを評価。一方、奴田原選手は「ストップ&ゴーのコースはやはり立ち上がりが遅くて、R5のほうが有利。予想していたより白木木庭でギャップができてしまった」と苦戦の状況を語っていた。

歓喜の福永 修/齊田美早子組

そして午後のSS8「眉山2」ではさらに大きく差が開く展開となり、最終のSS10「白木木場2」では、フロントをヒットしタイムを落とした福永組に4.5秒巻き返すも、最終的にはこれを覆すことができず。逆に、同じくファビアR5の柳澤宏至/保井隆弘組(ADVAN CUSCO FABIA R5)にもコンマ1秒差で抜かれ、3位でフィニッシュとなった。




福永組にとっては2017年の若狭以来、実に4年ぶり2度目の優勝となった。「(最終SSで)フロントタイヤの摩耗が激しく少しロスしましたが、アドバンテージがあったおかげで無事に勝てました。プレッシャーもありましたが、レグ2は一本目からバシッと行けましたし、少し気持ちにゆとりができましたね」とコメント。一方コ・ドライバーの齊田選手は「今日は大変でした。実は崩れまくりで、それでもなんとか落とし穴を乗り越えたって感じです」と。

最後の2つのSSでトップタイムを刻んだ柳澤宏至/保井隆弘組(ADVAN CUSCO FABIA R5)が逆転で2位フィニッシュ。

GRヤリス勢では奴田原組が最上位の3位表彰台を獲得。それに続き、GAZOO RACINGの勝田範彦/木村裕介組(GR YARIS GR4 Rally)が5位、眞貝知志/安藤裕一組(GR YARIS GR4 Rally)は6位に入った。WRXの新井敏弘/田中哉組(富士スバル AMS WRX STI)はSS9でエンジントラブルによりストップ、リタイアとなってしまった。

2台のトヨタ・ハイエースが全日本ラリーにデビュー!

今回もう一つの注目であったのが、トヨタ・ハイエースである。国沢光宏/大西恵理組(CAST RACINGマルトクハイエース)と、喜多見孝弘/木原雅彦組(CAST RACINGサンコーハイエース)の2台が、トヨタ86などが参戦するJN3クラスへ初参戦となった。ハイエース用の機能性パーツを展開するCASTのカラーリングを施されたその2台ともが、簡単なシェイクダウンをしたのみの状態で参戦。そのため、2台ともに序盤は慎重にタイムアタックをこなし、その後ペースアップという展開となった。タイム的には他の競技車両とは大きく離されており、順位こそ変化はなかったが、徐々にペースを上げていく。

恐る恐る走り始めたハイエースだったが、走行を重ねるたびにペースアップした。

2台ともに完走と言いたいところだが、残念ながら喜多見組の26号車が最終SSで脱輪リタイア。SS9からすでにその兆候が見られていたというパワーステアリングのトラブルによりコース復帰は叶わなかった。残念ながらリタイアとなってしまった喜多見選手は「パワステの異常は分かっていたんですが、全力で走り切りたいので頑張ってしまったのが良くなかった。いきなりロックしたみたいになってしまって脱輪してしまいました。もう腕がパンパンで」という。「でもデータも取れたし今回の参戦で得られたものは多かった」と語っており、次回の参戦へ準備を進めるとしている。

2台のハイエースを駆るドライバーは自動車評論家の国沢光宏選手(右)と喜多見孝弘選手(左)。

この2日間を終えて国沢光宏選手は「ギヤ比が合ってなくて、馬力もない。でもポテンシャルはあるからまだまだ速くなる伸びしろはある。もっとこれから詰めていけばJN6クラスの背中は見えてくるんじゃないかな?」と完走後にコメントしている。

86 R3やシビックユーロRといったライバルを抑えてレクサス初優勝を遂げた石井宏尚/竹下紀子組(CUSCO DL LEXUS F)。

また、JN3クラスでは石井宏尚/竹下紀子組(CUSCO DL LEXUS F)がレクサスブランドとして全日本ラリー初優勝を達成した。ドライバーの石井選手は「全日本初優勝は本当に感無量です! サポートいただいた皆様、初戦からコ・ドライバーを担当してくださった寺田さん、車両製作に協力いただいた方々、本当にありがとうございました」と感謝を述べた。




写真&レポート:青山 義明

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