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次世代の日産e-POWERは3気筒ターボ1.5ℓロングストローク。最大熱効率50%/λ2.0のリーンバーン運転。


日産は10月上旬にオンライン開催されたアーヘン・コロッキウムにおいて、次世代e-POWER専用エンジンの姿を発表した。

エンジン形式:1.5ℓ / 3気筒 / ターボ過給


内径x行程 (S/B比):79.7mm x 100.2mm (1.26)


コンロッド長:150.3 mm


圧縮比:13.5


最高出力発揮時エンジン回転数:4800 rpm


バルブトレーン:Roller Rocker


燃料噴射/インジェクター位置:Direct Injection/Central Injection


ターボチャージャー:Fixed Geometry Turbocharger

 3気筒エンジンであることは現行HR12DEと同様、しかし違うのはロングストローク設計とし、直噴ターボ化したことである。圧縮比(幾何学的容積比)は過給ながら13.5と途方もない数字、ノッキング回避のために用いる手段のひとつがミラーサイクルである。実圧縮比が低くなるミラーサイクルには早閉じと遅閉じの2通りがあり、本機は早閉じを採用する。




 発電専用エンジンということで、最高効率点をピンポイントでねらえる運転が可能。これにより各種の損失低減を実現させ、まずはストイキ運転で最大熱効率45%を図る。さらに次のステージとしてλ2.0のリーンバーン、冷却損失回復、熱回収などを駆使して50%をねらう。

 将来的なリーンバーンを含め、本機はSTARCと称する新しい燃焼方式を提案している。Strong Tumble and Appropriately stretched robust ignition channelの接頭語であるSTARCの中身は、高タンブル流の燃焼室と高エネルギーの点火システムによって、高率EGR燃焼を図るもの。スロットルを持つガソリンエンジンでは低負荷時のポンピングロスが高効率への大きな妨げになり、それを補う術としてEGRが急速に普及している。ただし、「燃えかす」である排気を筒内に再循環させることで、混合気が着火しにくくなるのは不可避。そこで高エネルギーの点火装置を備えることで、着火性を高める。




 高タンブル流によって、直噴インジェクタからの燃料と空気をよく混ぜ合わせ、良好な燃焼を図るのは近年のトレンドのひとつ。本機でもそれを吸気ポートのストレート形状化で大きな流動を創生する。タンブルが強くなると、点火プラグの消炎作用が懸念されるところ、先述の高エネルギー点火装置が寄与しているようだ。




 直線形状のために、バルブシートには「コールドスプレイ」と称する技術でバルブシートレスとした。トヨタのレーザクラッド式と似たものだと思われる。

 11月13日発売のモーターファン・イラストレーテッド Vol.170「技術の日産 Next」では、この次世代e-POWERエンジン技術について、畑村耕一博士が徹底解説。多くの図版とグラフから、同機の構成とねらいを考察する。

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