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【美しすぎるクルマ・ベスト3(安藤眞)】いすゞが遺した世界遺産級クーペ! 巨匠ジウジアーロの美学が息づく「いすゞ117クーペ」


安藤眞さんが選んだ美しいクルマのベスト3は、ランドローバー・レンジローバーとレクサスLC、そしていすゞ117クーペ。1968年に登場し、いすゞのフラッグシップとして長く愛された117クーペの流麗なシルエットは、今見ても決して色あせていない。




TEXT●安藤眞(ANDO Makoto)

第3位:ランドローバー・レンジローバー(2代目)

ランドローバー・レンジローバー(2代目)。偉大な先代の影に隠れがちなため、中古車市場での相場も低め。しかし、その走破性能は「レンジローバー」の名に恥じないもの。機能美を体現したデザインも味わいがある。

どんなに凝ったデザインでも、“感性の押しつけ”のようなものには美しさを感じない。その点、レンジローバー シリーズ2のスクェアなデザインには、押しつけがましさはまったくない。




フロントフェンダーの両端が盛り上がった部分は“キャッスル(城郭)”と呼ばれ、シリーズ1からの伝統だが、これも“ボディの前角を視認させる”という機能的な狙いがある。単に縦横に線をつないだだけのように見えるフロントマスクやボディサイドも、線の角度が少し変わっただけで“これじゃない感”が出てくるのではないかと思う。




結局、僕にとっての“美しさ”とは、“無駄がないこと”に尽きるのだと思う。

第2位:レクサスLC

安藤さんが選んだ3台のなかで、唯一の現行モデルがレクサスLC。2012年発表のコンセプトカー「LF-LC」のデザインが好評だったため、そのイメージを忠実に再現すべく市販モデルが開発されたレクサスのフラッグシップクーペ。2019年にはコンバーチブルモデルも追加された。

デザインは好みに左右される要素が大きいので、日頃は意識して言及しないようにしているし、技術者となって以降は、機能を体現した形にしか美しさを感じなくなってしまったのだが、純粋に見た目が美しいと感じた数少ないクルマがレクサスLC。




Aピラーのプレスラインはフロントフェンダーからボンネットにつながっているように見える一方、ハイライト面はホイールアーチに向かって伸びているなど、線や面が“踊るように”融合しており、どこにも“取って付けた感”が見られない。難点があるとすれば、僕の普段着であるアウトドアウェアで乗ると、いかにも“借り物”に見えてしまうことか。

第1位:いすゞ117クーペ(1期型)

いすゞ117クーペは1966年のジュネーブショーでの大反響を受けて1968年に発売。カロッツェリア・ギア時代のジョルジエット・ジウジアーロがデザイン手掛けた。写真は1型で、ヘッドライト下のフロントウインカー、フロングリルの横バー、クロームメッキの砲弾型ミラーなどが特徴。

小学校に通い始めたばかりのころ、通学路の途中に置かれていた真っ赤な117クーペに目が釘付けとなった。曲面を多用した流麗なフォルムは、我が家で乗っていたブルーバード(410型)のずんぐりしたイメージとは正反対。窓から中をのぞき込むと、本杢のステアリングやシフトノブが見えた。丸形速度計のスケールは220km/hまであり、横長で140km/hまでしか表示のなかった我が家のクルマより、はるかに高性能であることが垣間見えた。




そのクルマは、いつも同じ場所に露天駐車されていたのだが、いつもピカピカに磨かれており、汚れた状態で置かれているのを見た記憶がない。このときの衝撃が、クルマに興味を持つきっかけとなった。

『美しすぎるクルマ・ベスト3』は毎日更新です!




どんなに走りが楽しくても、どんなに乗り心地が良くても、ブサイクなクルマには乗りたくない。そう、デザインはクルマの命。ということで、これまで出会ったクルマの中からもっとも美しいと思ったベスト3を毎日、自動車評論家・業界関係者に選んでいただきます。明日の更新もお楽しみに。
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