メーカーのグッズというと、「クルマのイラストやロゴを業者に渡して、あとはお任せ」で出来上がるのかと思っていた。しかし、マツダはクルマだけでなくグッズの制作にも妥協を許さないメーカーであった。マツダのオフィシャルグッズ「マツダコレクション」のこだわりは、尋常ではない(褒め言葉)!
マツダ社内で企画・開発したからこその完成度!
コルクの製造から始まったマツダの歴史は、2020年1月30日でちょうど100年を迎えた。その創立100周年を記念して6月25日から発売が開始されているののが、マツダのオフィシャルグッズ「マツダコレクション」である。
マツダコレクションはマツダのデザイン本部が監修して企画・開発された。担当チーフデザイナーの諌山慎一さんは、次のように述べている。
「お客さまと共に歩んできた100年 。これまでマツダを支えて下さったすべての方に感謝の気持ちをお伝えしたい。そんな想いを持って、『歴史(HERITAGE)&未来(VISION)』のテーマのもと、100周年マツダオフィシャルグッズを作りました」(プレスリリースより)
さて、このマツダコレクションがユニークなのは、マツダ社内のリソースをフル活用していること。今回、デザイン本部の木村幸奈さんと寺島佑紀さんが、開発にまつわるエピソードを教えてくれた。
グッズの定番といえばモデルカーだ。マツダコレクションでもR360クーペや787Bなど、マツダの歴史を彩った代表的な40車種を順次リリース予定である。
そんなモデルカーで肝となるのは、どれだけ忠実に実車の雰囲気を再現しているかということ。そのため、開発にあたってはバックヤードにある実車で3Dスキャンを行い、モデルのデータを作成することで高い再現度を実現できたという。カラーリングも同様で、実車と直接色合わせをしただけでなく、その昔、実際に使っていた塗料を倉庫から引っ張り出すこともしたそうだ。
Tシャツのデザイン手法もユニークだ。クルマのデザイン図面をモチーフにすることは他にもあるかもしれないが、「RX-VISION」のTシャツは、ありものの図版を流用したのではなく、実車の製作に用いた3Dモデルから線画をわざわざ起こしたのだという。「Tシャツに図面を使うとおもしろいね...じゃぁ、図面もらえる?』ってすぐ相談できたのは、社内で開発した強みですね」と、木村さん&寺島さん。
今後発売が予定されているキーホルダーも、芸が細かい。金属部分は、実際にマツダ車の内装で用いられているサテンクローム仕上げとなっているのだ。また、レザーアイテムに施されているパーフォレーション(穴開け)加工も、CX-8などのレザーシートのものとまったく同じ寸法・配置だというから驚きだ。マツダ車のオーナーならば、思わずニヤリとしてしまうことだろう。
試乗会などでマツダの開発者の方々からお話を聞いていると、「そんなところまでこだわりますか!?」と驚かされることが多い。「(良い意味で)クセが強い!」と思うこともしばしばだ。でも、そうした開発者の情熱が、マツダ車の魅力につながっているのだと思う。そしてマツダコレクションからは、クルマと同じようなこだわりが感じられるのである。
「今後も色々なアイテムを企画していますので、楽しみにしていてください(木村さん&寺島さん)」とのこと。マツダのディーラーやオンラインショップで購入可能なので、ファンならずとも要チェックだ。