往復運動部がないロータリーエンジンの振動特性を生かし、発電機駆動用エンジンとして利用する。いわゆるレンジエクステンダーユニットとしての使い方だ。本家マツダ以外にもその長所に着目した会社があった。
2010年の「人とくるまのテクノロジー展」AVLのブースにひっそりと展示されていたレンジエクステンダーユニット。同年のジュネーブ・モーターショーで発表されたアウディA1 e-tronに搭載されていたシステムと同じものである。
単室容積254cc/18kWのロータリーエンジンを主原動機とし、5000回転の定常運転でエキセントリックシャフトに直結した永久磁石式誘導モーターから320~420Vの出力を得る構造。モーターよりもREのサイズのほうが小さいことに注目。訊けば、REに関してマツダの協力は得ていないとのこと。ロータリーエンジンの低振動低騒音のメリットを充分に生かすとともに、さらにシステムを収めるエンクロージャーにも防音対策を施すユニットに仕立てている。
ピュアEVは航続距離と充電の問題がどうしてもつきまとう。そのため、インフラの整う都市部での使用がいまのところ有力とされている。それなら発電用のエンジンを積み航続距離を延ばし、インターシティでもEVを使えるようにすればいいというのがレンジエクステンダーEV。アウディは発電ユニットとしてシングルローターのロータリーエンジンを選定。かつてのNSUを想起させる選択だ。