アナログ派自動車評論家・瀬在仁志(ヒトシ君)が助手の75(ナコ)とともに、話題のクルマに乗ってオイシイモノを食べに行くという食いしん坊企画。少々間があきましたが、やっとのことで第10弾。道中、感じたことや気がついたことを言いたい放題しつつ、最終的にはオイシイモノにありつくというユルッユルな企画。今回は、その大きさに一瞬ひるむスバル フォレスターをチョイス。大きいSUVって、運転しづらいんじゃないの? に迫ります。
講師:瀬在仁志(Hitoshi SEZAI)
助手:生江凪子(Naco NAMAE)
今回のお題は、最上級グレードe-BOXER!
アナログ派自動車評論家のヒトシ君と助手の75のかけ合い漫才も10回目。今回は第2回目で取り上げたレヴォーグ以来、スバル フォレスターの登場である。スタート地点は東新宿の編集部。7月にさしかかり非常事態宣言が解けたとはいえ、県境をまたいでの移動はちょっと憚られるドライブとなった。
ヒトシ君:あのさ、いつもアナログ派と言われているオレだけど、おととい新しいスマホを買ったんだよね、Xperia5。カメラの性能がすごいのよ。今日はオレも、コレで写真を撮るよ。
助手75:使いこなせるのぉ~? じゃあ、ケータイカメラ部に入れてあげるよ。ワタシのiPhone11Proの3眼カメラと対決ね!
ヒトシ君:そんな部があるの? いいねぇ。
助手75:部員、ワタシだけだけど。
と、妙な盛り上がりを見せるふたり。
PH担当:そういう企画じゃないんだけどなぁ(小声)。
ドライバーモニタリングシステムは「必要」?
ヒトシ君:さ、今日はスバル フォレスターだね。どうしてフォレスターにしたの?
助手75:前にフォレスターに試乗、あ、例によってほぼ同乗ともいいますが、そのときに好印象だったのよ。BOXERだっけ? 2.5ℓ水平対向エンジンモデルだったんだけど、最上級グレードにe-BOXERっていうのがあるって聞いたから、今回はそれ。「e-BOXER」って、なんだか音がカッコいいじゃない?
ヒトシ君:……うん、それはよくわからないけど相変わらずカッコから入るのね。じゃあ、e-BOXERの説明からしようか?
助手75:いえ! まずは「ドライバーモニタリングシステム」で登録をっ。これ、e-BOXER搭載のAdvance(アドバンス)だけについている機能なの。どうやって設定するのかな。えーっと……。
と言っておもむろに説明書を読み始める助手75。借りる前にチェックしておかないのは、毎度のこと。
助手75:まずは、ヒトシ君ね。ちゃんとドライビングポジションを決めてください。はい、決めたわね。サイドミラーの角度も合わせてね。そしたら、これをこうして……、はいこれで登録できたわ。名前はどうする?
ヒトシ君:「運転手1」でいいよ。
助手75:相変わらずツマらないわね。さ、どいてどいて、次はワタシ。名前はちゃんと「Naco」って入れてっと。はい。これで出発しましょう。よし、ヒトシ君、運転してっ!
ヒトシ君が運転席に座ると、シートポジションとサイドミラーの位置が自動的に調整された。
ヒトシ君:ほ、ほぅ。なるほどね。家族4人とかで共用するクルマなら便利かも。で、今日はどこへ行く? こんな状況だからね、越境しちゃいけないんだよ。
助手75:ということで、今日は「都内」です。奥多摩の檜原村へ行きましょう。蛇の湯温泉。秘湯ですよ、秘湯。ワタシ、お風呂セット持ってきちゃった!
ヒトシ君:混浴?
助手75:なわけないでしょ。さ、いきますよ。
助手75:フォレスターは、世界でもっとも売れているスバル車なんですよ。ご存じだと思いますが。
ヒトシ君:もちろん知ってるよ。スバルのメイン市場であるアメリカで一番売れているスバル車が、このフォレスター。アメリカ人好みになってるよね。よくいえばおおらか、悪く言えばちょっと緩い感じ? でもさ、アメリカにもe-BOXERモデルってあるんだっけ?
助手75:アメリカは2.5ℓのみ。e-BOXERはありません。で、そもそもe-BOXERってなによ?
説明のために、ヒトシ君がマルチファンクションディスプレイを切り替えてエネルギーモニターを表示する。
e-BOXERはマイルド寄り
助手75:ふむ。つまり、ハイブリッドってわけね。
ヒトシ君:ハイブリッドといっても、モーターの出力が13.6ps(10kW)だから、「マイルドハイブリッド」と言っていいね。
助手75:つまり燃費がいー(e)ボクサーってことね。あまりご飯食べなくても12ラウンド闘えるような。
ヒトシ君:面倒くさいから突っ込まないで話を進めるけどさ、ところがそうでもないんだよ。燃費でいうと
2.5ℓモデル(Premium)
WTLCモード燃費:13.2km/ℓ
市街地モード9.6km/ℓ
郊外モード14.6km/ℓ
高速道路モード16.4km/ℓ
e-BOXERのアドバンス、つまり、このモデルは、
WTLCモード燃費:14.0km/ℓ
市街地モード11.2km/ℓ
郊外モード14.2km/ℓ
高速道路モード16.0km/ℓ
で、燃費の差は大したことないの。郊外モードや高速道路モードでは2.5ℓのほうがいいんだよ。
助手75:じゃあ、なんのためのe-BOXERなのよ!
ヒトシ君:それはね……で、高速道路、どこで降りるの? 山梨県に行ったらいけないんだよ。
助手75:ああああ、上野原ICで降りてください。
ヒトシ君:はい。で、檜原街道を進めばいいのね。
助手75:気持ちいいわね。緑が美しい。雨の予報だったけど、晴れ女のワタシのおかげで晴れているし。このあたりは、東京とは思えないほど自然が豊かだわ~。
ヒトシ君:そうだね。いまはもうなかなか来ないけど、奥多摩いいね。若い頃は、腕を磨くために走りにきたものよ……。ふぅ。
助手75:遠い目をしない! さ、もう少しで蛇の湯温泉よ。
ヒトシ君:あ、あれだ。
助手75:いいねぇいいねぇ! さぁ、行くわよ! レッツ朝風呂!
ヒトシ君:じゃあ、ご飯はどこで食べる? とりあえず、進むけど。
助手75:フフフ。ちゃんと考えてあるわよ。今日は日本蕎麦。この少し先にあるみたいなの。どんどん進んで。
e-BOXERはターボモデル代わりの位置づけ
ヒトシ君:なんのためのe-BOXERなのか。
助手75:??? なに? あぁ、さっきの続きね。はいはい。
ヒトシ君:先代フォレスターには、ターボエンジン搭載モデルがあったんだ。FA20型2.0ℓBOXERターボで280ps/350Nmという高出力モデルだったんだよ。いまでこそ、ハイパワーのSUVは珍しくなくなったけど、当時は280psエンジンを積んで走りを追求したSUVなんてなかったんだよ。
助手75:ふむふむ。で、このe-BOXERはどれほどの出力なんじゃ?
ヒトシ君:エンジンが2.0ℓ(FB20)で145ps/188Nm。モーターが13.6ps/65Nm。
助手75:エンジンとモーターを足しても280ps/350Nmにならんじゃんかっ!!!!!
ヒトシ君:なぜ、アナタが怒る? そうなんだよ。でも、スバルはe-BOXERをターボモデルの代わりに位置づけたんだよね。で、e-BOXERの「e」、つまりモーターを「電動ターボ」みたいに使うっていうんだ。
助手75:でも、ターボっぽくはないわね。ターボと言えば、「ドッカーン」ってパワーが湧き出すんじゃないと。
ヒトシ君:でたな! 昭和オンナ! それはアナタが青春を過ごした昭和時代のターボでしょ。まぁでも、もうちょっとパワーがないとターボモデルみたいな走りにはならないよね。モーターだからターボラグがないのはいいけど。でもさ、こうやって中速コーナーが続くこういうコースだと、モーターがアシストしてくれるのは悪くない。気持ちいいよ。ターボのフォレスターを知っている身からすればモノ足りないけど、これはこれでアリだと思う。
お昼にありつく前に奥多摩周遊道路の月夜見第一駐車場にフォレスターを駐める。眼下には奥多摩湖が見える。
ヒトシ君:よし、じゃあXperia5とiPhone11Proの写真対決しようぜ。どれどれ。あれ? え~っと、75、これ、どうやって使うの?
助手75:……Xperia(Android)の操作なんて、もうすっかり忘れちゃったよ。
といいながらも、ヒトシ君に教えるくらいの知識は持っているようで、こうして、ああして、とふたりで手をあっちこっちに伸ばしながら撮影をしている。もはやなんでもアリな「オイシイモノドライブ」企画……。
クルマもニンゲンもハラヘリです
助手75:ダメだ! もうハラヘリだっ!
ヒトシ君:あぁぁぁぁっ
助手75:なに? どした。
ヒトシ君:クルマもハラヘリだぁぁぁ! ガソリンがあんまり残ってないよ。今日満タンスタートじゃなかったんだ。
助手75:……編集長がだいぶ試乗したらしいです。いつも文句言うのに入れておいてくれませんでした。でも、それにしてもちょっと早いですね。
ヒトシ君:そうだ。e-BOXERは燃料タンク容量が小さいんだった。2.5ℓが63ℓなのに、e-BOXERは48ℓだ。燃費が思ったほど差がないとしたら、容量が15ℓ違うと、脚の長さがずいぶん差があることになるね。とりあえず、ガソリンスタンド探して。なかったらどうしよう?
助手75:あ、携帯によると、奥多摩駅の近くにあります。着けそう? でも、行きたかったお蕎麦屋さんがどんどん遠くなっていくぅ。
このサイズは豪雨そして細くツイスティなコースには不向き?!
ヒトシ君:ひどい雨だね。でもオレ、行きたいところがあるんだよ。日原鍾乳洞。知ってる?
助手75:知らない。けど、きっと近くにお土産屋さんがありそう。行ってみてもいいわよ。ま、この雨もすぐに止むでしょ。
ということで、豪雨のなか、日原鍾乳洞へ向かうふたり。道は交互通行できないほど狭くツイスティ。なかなかチャレンジングなコースだ。
ヒトシ君:こういうシチュエーションだと、いいな、これ。高速道路を走っているときは、ゆったり大らかな乗り味で、ちょっとアメリカ~ンな感じだったけど、こういうコースになると俄然ハンドリングは精緻正確。ボディの動きも無駄な動きがなくていいよ。
助手75:うん。横に乗っていても変な揺れがなくていい。この悪天候だとAWDのありがたみがわかる? ってことかな?
ヒトシ君:AWDといってもセンターデフ方式じゃない、オンデマンドのカップリング式だけど、後輪へのトルク配分がうまいね。プッシュアンダーの度合いが少ない。
助手75:ホラ、雨止んだわ。自分の晴れ女っぷりに脱帽。神社もあってなんだかこの静寂、厳かでいいわぁ。心が洗われるわぁ。
ヒトシ君:相変わらず自画自賛大爆発だねぇ。そうだねぇ。……汚れてるからねぇ。
助手75:小声で言おうと聞こえとるわっ! 〆※∴ゞ£⁑∵☆♯∈×♩■▲◎♫☆(文字に起こせません)
助手75:このあとまた奥多摩駅通る?
ヒトシ君:うん。なんか、嫌な予感するけど……。
一般道を走り続けたくなるクルマ!
ヒトシ君:さ、そろそろ東京へ帰ろうか。
助手75:…………ここは、東京ですが……。
ヒトシ君:そ、そっか。じゃあ、このまま五日市街道をずーっと行こう。
助手75:いやだわっ! 時間がかかりすぎだわっ! 高速道路に乗ります。
ヒトシ君:え〜つまんない。じゃ、高速乗ったら運転代わってね。
助手75:普通逆な気もするけど。どんだけ一般道走りたかったのよ。でも、考えてみたらすごい感想よね。一般道を走り続けたいって、クルマがそれだけ楽しいってことでしょ? オッケーオッケー。じゃ、高速に向かってね。
ということで、石川PAでドライバー交代。助手75が運転席に座った。
助手75:あああ! 「Hello Naco」って出たわよ。シートポジションもミラー位置も変わった! スゴイ! なんだかとってもうれしい。クルマに受け入れられた感じがする。これ、いいわぁ。やだ、これだけで欲しくなった!
仁志くんがドン引きするくらいの感動のしようである。
ヒトシ君:そう? そんなに大げさに喜ぶほどかな。ま、いいや。で、運転してどう?
助手75:フォレスターってボディが大きいけど運転しやすいわよね。前にちょこっと運転したときもね、背が低くて小さいインプレッサよりもフォレスターのほうが運転しやすかったって印象だったんだけど、今回乗ってやっぱりその印象は変わらずだわ。とっても運転しやすい。これ、いいわね。同じく背が高めのXVも良かったけど、XVよりも、インプレッサよりも、フォレスターが運転しやすいかも。
ヒトシ君:運転しやすいっていうのは、クルマにとって最高の褒め言葉だね。
助手75:ところで、次のPAってどこ? 首都高に入っちゃったよ。あれ、永福料金所のところに、PAってなかったっけ? あれ、通り過ぎた?
ヒトシ君:乗りやすいってことで、このまま行こうよ。あ、ちなみにいま通り過ぎたのが代々木のPAね。
助手75:ひぃー。このまま行ったら首都高環状線じゃない!あわあわ。運転に自信がない人に首都高環状線は鬼門なのよ! おじいちゃんの遺言でも首都高環状線には乗るなって言われてるのに!
ヒトシ君:なんだよそれ。いやいや、大丈夫だよ! このまま行こう。幸い渋滞もなくきれいに流れているし、フォレスター、運転しやすいでしょ。SUVだから視点も高くて視界も広い。
助手75:ふー。ふー。ひー。ひー。あ、早稲田だ。ここで降りればいいわね。
アメリカ向けの大味なSUV? さにあらず
ヒトシ君:緊張した? 全然乗っていて安心だったよ? あ、クルマのおかげか(笑)。でも、楽しかったでしょ? じゃあ、早稲田大学の大隈講堂の前でクルマ駐めて。今日、何km走った? 燃費はどうだった?
助手75:255.8km走って、燃費は11.1km/ℓ
ヒトシ君:まぁまぁだね。ワインディングでは基本的にスポーツモードの「Sモード」で走ったし。75、フォレスターe-BOXER、どうだった?
助手75:ワタシとしては、アリ。SUVが苦手なワタシでも運転しやすかったし、あの豪雨の狭い峠道で見せた動きと乗り心地は高評価ね。ヒトシ君は?
ヒトシ君:オレも、アリ。乗り始めた時は、アメリカ向けの大味なSUVかと思ったけど、さにあらず。なかなかよかったよ。でも、話を蒸し返すけど、e-BOXERはターボの代わりにはならない。ターボ搭載モデルもあったらいいなぁ。
助手75:あ! 蒸し返すで思い出した! 結局、温泉に入れなかったじゃんっ!
ヒトシ君:あ、やっぱり気づいちゃった? 新型コロナが収束したら、編集部みんなでいこうよ。奥多摩、近くていいところだったからさ。ね。どうどう。
ふたりとも満足! の評価でスバル フォレスターの試乗終了。記事内で紹介していない、おまけ写真も入れてありますので、ぜひ「すべての写真」からご覧ください! 今回の珍道中もご機嫌麗しく、無事に終了。それではまた次回お会いしましょう。
【本日のルート情報】
東新宿(会社)が出発点。首都高速~中央自動車道〜都道33号経由で蛇の湯温泉へ。温泉のオアヅケを喰らい、ぶーぶー言いながらも次なる目的地ランチへ向かうが、予想もしないガソリン不足により急遽進路変更、奥多摩湖を経由し奥多摩駅へ。無事にクルマと人間に給油ができたのち、日野原鍾乳洞を目指す。が、こちらも休業中。奥多摩駅へ戻り、おやつを堪能。日の出の直売所で野菜を買い込み、帰路につく。
【本日のオイシイモノ&オミヤゲ情報】
※おまけ写真が、ギャラリーに入っていますので、ぜひそちらもご覧ください。
蛇の湯温泉 たから荘
東京都西多摩郡檜原村数馬
042-598-6001
10:00~18:00(日帰り入浴)
不定休
日帰り温泉料金:大人:1000円/子ども(小学生):500円/幼児(3歳以上):500円/2歳以下:無料
日原鍾乳洞
東京都西多摩郡奥多摩町日原760 日原保勝会
0428-83-8491
9:00~17:00(4月〜11月)/9:00〜16:30(12月〜3月)
入場料金:大人(高校生含む):800円/中人(中学生):600円/小人(小学生):500円
※上記入場料は一般金額。団体料金あり(別途ご確認ください)
駐車場:無料
氷川食堂
東京都西多摩郡奥多摩町氷川199-7
1428-83-2401
11:00〜18:00(ラストオーダー17:00)
火・水曜定休(祝日は営業)
JAあきがわ 日の出町ふれあい農産物直売所(日の出の直売所)
東京都西多摩郡日の出町大久野17-2
042-587-0010
9:00~17:00
年末年始を除き無休
※営業時間・定休日は変更となる場合がございますので、ご来店前に店舗にご確認ください
スバル・フォレスター アドバンス
全長×全幅×全高:4625mm×1815mm×1730mm
ホイールベース:2670mm
車重:1640kg
サスペンション:Fマクファーソンストラット式 Rダブルウィッシュボーン式
エンジン形式:水平対向4気筒DOHC
エンジン型式:FB20
排気量:1995cc
ボア×ストローク:84.0mm×90.0mm
圧縮比:12.5
最高出力:145ps(107kW)/6000rpm
最大トルク:188Nm/4000rpm
過給機:×
燃料供給:筒内燃料直接噴射(DI)
モーター:MA1型交流同期モーター
使用燃料:レギュラー
燃料タンク容量:48ℓ
最高出力:13.6ps(10kW)
最大トルク:65Nm
WTLCモード燃費:14.0km/ℓ
市街地モード11.2km/ℓ
郊外モード14.2km/ℓ
高速道路モード16.0km/ℓ
車両本体価格 315万7000円
apparel|tops:någonstans/skirt:någonstans/shoes:New Balance/bag:VIOLAdʼORO【公式】蛇の湯温泉たから荘(外部リンク)【公式】日原鍾乳洞(外部リンク)【公式】氷川食堂(外部リンク)【公式】日の出の直売所(外部リンク)