ライディングスクール講師として豊富な実績を持つケニー佐川が、楽に楽しく安全にバイクを操るためのコツを記事と動画で分かりやすくアドバイス!バイク初心者はもちろん、リターンライダーからベテランまで目からウロコの楽ネタ満載です。今回はブレーキペダルの操作方法について!
REPORT●ケニー佐川(SAGAWA Kentaro)
PHOTO●星野耕作(HOSHINO Kousaku)/山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
MOVIE●倉田昌幸(KURATA Masayuki)
リヤブレーキはあまり器用ではない
リヤブレーキはフロントブレーキはと違ってあまりデリケートな操作は期待できません。なぜなら足で操作しているから。足は手より大きな力が出せる反面、微妙な力加減は苦手。特にバイクでは分厚い革のブーツを履いての操作になるのでなおさらです。
もうひとつの理由は、バイクという乗り物の運転特性によるものです。通常のバイクはテレスコピックタイプのフロントフォークを採用しているため、前後ブレーキを同時にかけるとフォークが沈んで車体が前傾します。これをピッチングモーションと言いますが、強くブレーキをかけるほど、その動きも大きくなります。ブレーキ入力の割合は前7:後3などと教習所でも習ったと思いますが、本当に限界近い強いブレーキではリヤが浮き上がってしまうこともあり、先ほどの入力割合で言えば前10:後0になってしまうわけです。そうなれば、後輪と路面との摩擦抵抗はゼロになってしまうわけで、当然リヤブレーキは簡単にロックしてしまいます。
一定入力のままキープがキモ
そこで、リヤブレーキのかけ方ですが、力任せにガツンと踏み込むのはもちろんNG。じんわりとペダルに入力しつつ、ある程度の踏み応えが出てブレーキが効き始めたら、それ以上は強く踏み込み過ぎないのがポイント。一定の入力のままキープする感じです。その上で、より強いブレーキングや繊細な速度コントロールに関しては、器用な手で行うフロントブレーキに任せたほうが確実です。
最近のABSはプロライダー顔負け
それでもリヤブレーキがロックしてしまったら、後輪が滑り出す前にペダルの踏み込みを弱めてロックを解除するのが基本です。ABS装備の場合はロックしても自動的に解除してくれるため安全に止まることができますが、一方で制動距離が伸びる場合もあります。厳密に言えばABSが作動する直前の状態をキープできれば制動距離を短くできますが、それは職人芸の世界です。特に最近のABSは電子制御化されて精度も向上していて、プロライダー以上のブレーキング性能を発揮するシステムも出てきていますので、万が一の場合に使いこなせるよう普段からABSを体験しておくことをおすすめします。