価格帯別に3台を選んでくれた岡本幸一郎さん。最も身近な1台は、スズキ・スイフトスポーツだ。現行型になって初めてターボ化されたエンジンだが、1.4リットルという排気量から想像できないほどの走りを披露してくれる。また、2ペダル車がCVTではなくトルコンATというのも、スズキのこだわりが感じられてうれしくなるのだ。
TEXT●岡本幸一郎(OKAMOTO Koichiro)
1台目:スズキ・スイフトスポーツ【エンジン:K14C】
せっかく3台なので、低、中、高価格帯から1台ずつ選んでみました。
低価格帯では、なんといってもスイフトスポーツ。140ps、230Nmを発生する「K14C」は、ターボらしからぬレスポンスと、いかにもターボらしいトルクフルな加速を兼ね備えていて感心しきり。1トンを切る軽量な車体との組み合わせで、気持ちよ~く軽快に走ることができます。
シフトフィールがよくギア比のつながりもよい6速MTで楽しむのももちろんよし、このクラスとしては珍しくCVTではなくトルコンATが与えられた2ペダル車の走りも上々です。
2台目:日産スカイライン 400R【エンジン:VR30DDTT】
中価格帯では、最近乗った中でとくに感銘を受けたのがスカイライン400Rです。
名前からして期待せずにいられないところですが、乗ってみてもまさに期待どおり。405ps、475Nmを発生する3.0リッターV6ツインターボエンジンは、これまたターボとは思えないほどレスポンスがよくて、踏み込むと澄んだV6サウンドを聴かせながら、爽快かつ豪快な吹け上がりを楽しむことができます。
高級セダンとしての上品さの中にも、日産車らしい男気を感じさせる仕上がりです。
3台目:アストンマーティン DB11 AMR
そして高価格帯では、すごいクルマがたくさんある中から、筆者はアストマーティンのV12を選びたいと思います。
アストンといえばまず、あのスタイリングに見とれてしまうわけですが、エンジンの美しい響きも官能的とか芸術的という言葉がピッタリ。これまでは自然吸気のみだったアストンも、ついにターボ化に踏み切ったわけですが、“らしさ”はまったく損なわれていません。エンジンスタート時から始まる独特の乾いたサウンドはアストンのよき伝統。音は派手でも吹け上がりは極めて滑らかで力強くて最高に気持ちのよい、ホレボレするエンジンフィールです。
読者のみなさまもなかなかこれを味わう機会はないこととは思いますが、街でV12のアストンを見かけたら、その姿だけでなくエキゾーストサウンドにもぜひ耳を傾けてみてください。きっとその世界観を大なり小なり感じ取っていただけることでしょう。
【近況報告】
今年の梅雨はやけに長く、夜は肌寒いくらいだし、日中もこのところほとんど太陽の姿を拝めずにいる。そんな中、なぜか連日ロケの時間だけは雨に降られずにすんでいる。自分、晴れ男なのか...?
【プロフィール】
業界に入って28年超、フリーランス歴22年あまり。これまで25台の愛車を乗り継ぎ、高級輸入車から軽自動車まで幅広く網羅。2020年5月に念願のシャッター付き車庫を確保。
『気持ち良いエンジンならこの3台』は毎日更新です!
内燃機関は死なず! 世の中の流れは電動化だが、エンジンも絶えず進化を続けており、気持ちの良いエンジンを搭載したクルマを運転した時の快感は、なんとも言えないものだ。そこで本企画では「気持ち良いエンジンならこの3台」と題して、自動車評論家・業界関係者の方々に現行モデルの中から3台を、毎日選んでいただく。明日の更新もお楽しみに。(モーターファン.jp編集部より)