ハッチバックと基本コンポーネントを共有しつつも、正統派セダンとして仕立てられているAクラスセダン。もはやプレミアムセダンとなったCクラスに代わり、カジュアルに付き合える身近な存在として人気が高まっている。
TEXT●塚田勝弘(TSUKADA Katsuhiro)
PHOTO●神村 聖(KAMIMURA Satoshi)
※本稿は2020年3月発売の「メルセデス・ベンツAクラス/Bクラス/CLAのすべて」に掲載されたものを転載したものです。
ハッチバックとホイールベースは同値だが、全長を130㎜延長して3ボックスに仕立てられた。全高はわずか10㎜高くなっているが腰高感はない。力強いショルダーライン、天地方向に薄いテールランプなど、スポーティテイストを適度に強調している。ホイールベースと全幅が同値で、全高が10㎜しか違わないため、キャビンの広さ感はハッチバックと変わらない。ただし、リヤバルクヘッドを備えるセダンは、より安心感は高いだろう。後席に頻繁にゲストを乗せるのであれば、ハッチバックよりも遮音性など快適性でも有利だ。
パワートレーンは1.3ℓ直列4気筒ガソリンターボを積む「A180」系と、2.0ℓガソリンターボの「A250 4MATIC」で、2020年2月には2.0ℓディーゼルを搭載する「A200d」が追加された。トランスミッションは、ガソリン車が7速DCT、ディーゼル車が8速DCTになる。なお、セダンは車両重量がハッチバックの同等グレードよりも10㎏重くなるが、全長が延びた恩恵もあってCd値はハッチバックよりも0.01低い0.22と、空力性能で上回っている。1.3ℓエンジン仕様で比較すると、WLTCモード燃費は、僅差だが0.3㎞/ℓほどセダンの方が優れている。
キャビンから独立したトランクルームを備え、その荷室容量は420ℓと、4ドアクーペのCLAには及ばないものの、ハッチバック比で全長が130㎜ストレッチされた恩恵を感じさせる。なお、ハッチバックは370ℓ〜1210ℓで、通常時はセダンの方が上回っている。大きな開口部を持つハッチバックは、大きな荷物の出し入れなど積載性に優れるが、セダンも広さでは十分に健闘している。
装備面では、自然対話式音声認識機能を備えた「MBUX」や、多彩な先進安全運転支援機能で構成する「レーダーセーフティパッケージ」をオプション設定するのはハッチバックと同じだ。ただし、セダンには、パワーシートやシートヒーターなどの充実装備が自慢の「A180スタイル」を用意し、上級志向に応えている。
COCKPIT
SEAT
LUGGAGE SPACE
CLAクーペよりも奥行きは短いものの、荷室高は最も低い所で20㎜ほど高くなっている。また、開口部の地上高は、逆に約10㎜低くなっていて、CLAよりも重い物や大きな荷物の出し入れなどはしやすくなっている。