NTNは、自動車のタイミングチェーンの張力を維持する油圧式オートテンショナにおいて、構造の簡素化によるチェーンテンショナの小型化と、作動に必要なオイル量の大幅な削減によるエンジンの低燃費化に貢献する「低燃費対応小型チェーンテンショナ」を開発した。
チェーンテンショナは、自動車エンジンのクランクシャフトとカムシャフトを同期して回転させるタイミングチェーンの張力を自動調整する装置。油圧式のチェーンテンショナの場合、エンジン内部のオイルポンプから供給されるオイルを用いてチェーンの張力を維持するが、昨今は低燃費化を目的にオイル使用量の削減が求められている。また、エンジン停止時にはオイルポンプの駆動が止まりオイルの供給も停止するため、再始動時にはオイルの供給が不十分となり、チェーンの張力不足による異音が発生しやすいという課題があった。
今回開発した「低燃費対応小型チェーンテンショナ」は、独自設計により、チェーンテンショナの構造を簡素化し、チェーンテンショナ自体の小型・軽量化を実現するとともに、オイルポンプからテンショナに供給、排出しているオイルをテンショナ内部に貯留させる構造とし、従来と同様に高い信頼性・耐久性を維持しながら、必要な供給オイル量の大幅な削減を可能にした。オイル量を削減することでオイルポンプの小型化が可能となり、ポンプ稼働の負荷を減らし、エンジンの低燃費化に貢献する。また、さらに、テンショナ内部にオイルを貯留する構造としたことで、エンジン始動直後にも適正な油圧でチェーンの張力を維持することが可能となり、チェーンの張力 不足による異音を抑制する。
NTNは、本開発品を 5月22日~5月24日にパシフィコ横浜で開催される「人とくるまのテクノロジー展2019横浜」に出展する。
【特長】
低燃費化:新規オイル貯留構造の採用でオイル使用量を従来の 1/10 とし、オイルポンプの小型化、低燃費化に貢献
小型・軽量化:従来品比で軸方向 18%短縮、質量 10%以上の小型・軽量化を実現
異音を抑制:テンショナ内部にオイルを貯留し、エンジン始動時からチェーン張力を維持、チェーンの張力不足による異音を抑制
【用途】二輪車/四輪車のエンジン用タイミングチェーンの張力調整
【販売目標】2024年度 約10億円/年