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インサイトの凄さはトランクを見れば分かる! 新型ホンダ・インサイト公道試乗記


ホンダ・インサイトが三代目に移行した。ユーザー側から見れば、なぜいま、市場が限られたセダンを出すの?とか、ボディはシビックと共用?とか、いろいろな疑問も浮かんでいるかもしれない。ではまず、新型インサイトの成り立ちから紹介しよう。




PHOTO●平野 陽(HIRANO Akio)/ニューモデル速報編集部


【新旧比較】新型インサイトと初代&二代目のボディサイズを比べてみる〈HONDA INSIGHT〉


新型ホンダ・インサイトとトヨタ・プリウスのボディサイズとラゲッジスペースを比較してみる

 新型(三代目)インサイトは、文字通りホンダの環境車の方向性を示すブランドとして、より具体的にいうと、ホンダ・ハイブリッド車を牽引する存在として販売されてきた。初代は2シーターに割り切ってまで燃費にこだわった先鋭的モデル。二代目はIMAシステムとともにハイブリッド車自体を普及させる目的のハッチバックボディだった。

1999年発売の初代インサイト。“ミライのクルマ感”はハンパない。ハイブリッド車でありながら、車両重量は驚愕の820kg。

二代目インサイトは2009年発表。プリウスのライバルとして量販ハイブリッド車の役割を担った。これまでの小型ハイブリッドカーの多くがハッチバックスタイルを採るのは、空力だけでなく、ユーティリティを確保するためにハッチバック構造を採らざるを得ないという事情もあった。

 三代目インサイトは、2018年末に登場。搭載車両を拡大し続け、そのたび高評価も拡大しているスポーツハイブリッドi-MMDを満を持して新投入している。パワー感や燃費の良さもさることながら、よりリニアリティの高い上質なドライブフィールをもつi-MMD投入を機に、一気に上級上質なサルーンを目指すキャラクターとなったのだ。セダンボディが選ばれたのは、メインマーケットの北米で、従来型インサイトの小さく狭いハッチバックボディでは勝負にならないから、というのが大きな理由のひとつで、北米でもっとも多くの人が欲しいと感じる正統派のCセグメントセダンカテゴリーに投入されることになった。

初代、二代目が積んだIMAシステムに替えて、伸張著しいスポーツハイブリッドi-MMDを積む。これまでのi-MMD車は、PHV(=クラリティ)を除いてすべて2.0Lエンジンとの組み合わせだったが、インサイトでは初めて1.5Lエンジンとの組み合わせて搭載される。1.5L i-MMDが出来たことで、さらに別車種への搭載の可能性が広がった。

 インサイトは確かにシビックとの共通点も少ないないモデルだが、ハイブリッド専用車のインサイトと、コンベンショナルなエンジン車のシビックでは、ライドフィールはまったく異なる。むしろ資源の有効利用と考える方が適切で、元々、歴史上初めてタイプRまでをも初期計画に含めて開発された現行シビックのボディやプラットフォームは非常に基礎体力が高く、よりスポーティに(シビック)振るにも、上質に(インサイト)振るにもやりやすかったとメーカー開発者も認めるところだ。

乗り心地や静粛性や、ドライバビリティ、ACCを含めたリニアリティ、などなどの面で、とにかく走りの上質感がもの凄い。

“3シリーズ”のように低いヒップポイント

 最近はSUVやミニバンに乗る機会が多いせいもあるけれど、インサイトに乗ると、とにかくシートの低さが印象的だ。まるで、3シリーズに乗り込んだときのよう。明らかにお尻をシートに落とし込むスタイル。サイドシル越しに路面に手が届く、と言ったら大袈裟だけれど、昔のクルマ好きなら大好物なスポーティなシートポジションであることは間違いない。シビック比で最低地上高を5mm下げたぶん、シート高もシビック比で5mm低くなっている。全高1410mmという数値も、現代の乗用車としてはかなり低い方だろう。キャラクターラインを極力排して、シンプルで品良く、かつスタンスの効いたロー&ワイドな美しいフォルムをつくるのにも、この低全高が効いている。

低全高でも室内は決して狭くなく、後席もこの通り余裕の居住空間が広がる。シート下にはIPUが備わるが、クッション不足を感じることもない。

 実はこのローフォルムなセダンフォルムでハイブリッドを実現しているところが、新型インサイトのキモなのだ。ハイブリッドバッテリーを含むIPUを後席シート下に押し込み、12Vバッテリーはセンターコンソール下に置くという、ホンダならではのパッケージング力が遺憾なく発揮されている。なかなか外観だけでは分からないので、ディーラーでインサイトを見るときは、ぜひトランクを開けてみてほしい。ハイブリッド車のトランクといえば、バッテリー搭載などの事情で、トランクの床が高い、奥行きが短い、トランクスルーが出来ない、というのが当たり前のはず。ところが新型インサイトは、このどれもが当てはまらないのだ。床は低い、奥行きは長い、トランクスルーは出来ないどころか大開口でこれを実現している。ハイブリッド車オーナーこそ、このパッケージングには驚きを隠せないだろう。

新型インサイトの凄さがもっとも分かるカットがこの1枚だ。トランク自体の広さと大開口トランクスルーのユーティリティに、ハイブリッドユーザーなら驚きを隠せないはずだ。

 さて、発進時はもとより、かなりの領域を電気で走ることもあり、非常に静かでスムーズなことが印象的だ。足のいなしもしっかりしたもので、登場初期のホンダ車にありがちな”硬すぎる”ということもない。そして、常に感じられるのが、ボディ、シャシーのしっかり感だ。ほぼ同寸のシビックと比べると車重の増加は80〜100kg で、この重さも味方に付けている。失礼な言い方かもしれないが、この骨太なしっかり感は、ひと昔、ふた昔前のホンダ車のイメージでないことは確かだ。軽快だけど少々薄っぺらい、という印象とは反対。しなやかさを伴った剛性感にとにかく関心させられる。

写真はインパネにウルトラスェードが貼られるEX・ブラックスタイル。インテリアの上質感も相当なものだが、それを超える動的質感の高さが新型インサイトの特徴だ。

 ホンダのi-MMDは本当にドライバビリティに優れたパワートレーンで、これを搭載した近年の新型モデルには、どれも出来が良い。インサイトのようなオールニューの新型モデルならなおさらである。ACCを含めたホンダセンシングもそのフィーリングの進化が著しいが、これもi-MMD(電動)とのセットでセッティングが上手くいっていることが実感できる。新型インサイトの購入者は、旧型インサイトやアコードなども多いそうだが、各上のアコードと比べても、上級感で確実に上回る。こればかりは乗ってみないと分からないが、ぜひ一度、見るだけでなく、試乗してみることをお勧めしたい一台だ。

写真は唯一16インチを履くベーシックグレードのLX。上級グレードと変わらぬ走りの上質感、ホンダセンシングの標準装備など、ベースグレードでも十分満足感が高い。16インチは乗り心地でも有利だ。


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