三菱電機は、業界最高性能となる車両後測方の物体を100m程度の遠方から早期にカメラで認識する「電子ミラー向け物体認識技術」を開発した。接近する物体を早期に検出すると同時に種類を識別し、ドライバーに注意を促すことで車線変更時などの事故防止に貢献する。
自動車のバックミラーやサイドビューミラーをカメラとモニターで代替する電子ミラーシステムは、2016年6月に欧州や日本で認可されている。バックミラーは、ミラーとモニターを切り替えられる電子ルームミラーの採用が始まっている。サイドビューミラーに関しては、モニターの配置、見せ方などクルマのHMIを大きく変える必要があるため、現在、実際の市販車に搭載されて登場するのを待っているタイミングだ。
三菱電機が開発した「電子ミラー向け物体認識技術」は、100m遠方の物体を早期に検出できるというから、鏡がモニターに変わる以上のメリットをドライバーにもたらすことになる。
独自の「視覚認知モデル」により、100m程度の遠方の物体を早期に検出
視野内の目立つ領域に優先的に注目する人間の視覚的注意(視野内の目立つ領域に優先的に着目する無意識下での生理反応)を模倣した独自のアルゴリズムによる「視覚認知モデル」を開発し、遠方の物体でも早期に検出できるようになった。
従来の物体認識技術では30m程度あった最大検出距離を業界最高性能となる100m程度にまで拡大し、検出精度を14%から81%に向上させた。最大検出距離とは、見通しの良い直線道路で、乗用車程度の大きさの物体を検出可能な最大距離のことをいう。
また検出精度とは、自車位置から100mまでを10mごとに分割して、各区間で求めた検出精度の平均値をいう。
三菱電機のAI技術「Maisart」により、リアルタイムに物体を検出・識別
「視覚認知モデル」を三菱電機AI技術「Maisart」(Mitsubishi Electric's AI creates the State-of-the-ART in Technology)に取り入れることにより、検知した物体の種類(人、乗用車、トラックなど)を識別することで、検出から識別までを低演算量で実現する。
低演算量の「視覚認知モデル」とコンパクトなAIの組み合わせにより、車載向け組み込みシステム上でリアルタイムに動作する。