ソフトバンク石川柊太投手(32)が今季取得した国内フリーエージェント権(FA権)を行使する意向を固め、8日にも申請書類を球団に提出することが7日、分かった。すでに球団には決断を伝えているとみられる。石川の今季推定年俸は1億2000万円。人的、金銭ともに補償不要のCランクで、宣言残留を認めるソフトバンクと他球団による争奪戦に発展する可能性が高い。
タカの「育成の星」が今オフの国内FA市場に出る。石川が国内FA権の行使を決断し、早ければ8日にも申請書類を提出してFA宣言する。
最速150キロ台中盤の直球に、宝刀「パワーカーブ」と呼ばれる魔球はパ・リーグの強打者たちも手を焼いてきた。投球テンポの速さにも定評があり、その能力は他球団からも高評価を受ける。昨オフの契約更改では単年契約を結んでおり、今季の日本シリーズ終了後には「終わってすぐなところもあるので。いま現状で自分がそれに関して言えることはないです」と話していたが、熟考を重ねた上で行使することを決断した。すでに球団には伝えているとみられる。
石川は都立総合工科-創価大を経て13年育成ドラフト1位で入団した。16年7月に支配下登録され、プロ11年目を迎えた今年の6月にFA権を取得。主に先発と中継ぎの両輪で活躍し、通算成績は185試合登板、56勝41敗、8ホールド、防御率3・32。20年は11勝と勝率7割8分6厘で最多勝と最高勝率の2冠を獲得。同年の4年連続日本一に大きく貢献した。直近4年は2ケタ勝利から遠ざかるも、23年にはプロ野球88人目(通算99度目)のノーヒットノーランを達成している。今季は先発、中継ぎの両面で活躍し、7勝2敗、防御率2・56でリーグ優勝に貢献した。
今季推定年俸は1億2000万円。人的、金銭ともに補償不要のCランクの見込みだ。ソフトバンクは宣言残留を認める方針で、他球団との争奪戦に発展する可能性が高い。移籍前提の権利行使ではないが、石川自身の評価が球界の市場価値として示される。14日に「FA宣言選手」として公示され、翌15日から他球団との交渉が可能になる。メッツ千賀や同僚の甲斐、牧原大、周東らと「育成のホークス」の礎を築いた右腕が大きな決断を下した。
◆石川柊太(いしかわ・しゅうた)1991年(平3)12月27日生まれ、東京都出身。総合工科-創価大を経て、13年育成選手ドラフト1位でソフトバンク入団。16年シーズン中に支配下へ昇格し、4年目の17年に1軍戦初登板を果たす。20年に最多勝(11勝)最優秀勝率(7割8分6厘)で2冠を獲得した。185センチ、88キロ。右投げ右打ち。